【毎週日本系業ウォッチ】


最近、NHKによるドキュメンタリー『インサイド・トヨタ』が放映された。中国の著名な産業ウォッチャーでセルフメディア・クリエイターの寧南山氏は視聴後に発表した記事で、そのドキュメンタリーから「日本車はもう終わり」という兆しをかすかに感じ取ったと述べた。


当研究院は寧氏の見解に完全に同意するわけではないが、一理あると考える。以下に寧氏の文章の主な内容を転載する。


同ドキュメンタリーから、現在トヨタ内部が極度の焦燥を抱えていることが見て取れる。主な理由は、中国の競合他社が大規模に海外展開しており、しかも製品の更新サイクルが極めて速いことにある。新カローラのプラットフォーム開発エンジニアである福岡孝和氏は、「市場が大変厳しいという状況がございます。このままだと戦えない、利益を出せない車両になってしまいますので」と語る。開発担当の鈴木雅之氏は、「世界で見たらやっぱり、中国に負けつつあると思っている」と述べている。


こうした状況を受け、トヨタのエンジニアたちは「リードタイム(開発期間)を短くしないことには(中国と)勝負できない」と口を揃える。しかし、同ドキュメンタリーで見られる彼らの開発期間短縮の手法は、新しい技術革新を適用したものではなく、単なる残業と工程の統合によるものだ。例えば、従来はシャシープラットフォームを先に開発し、次に上部のボディを開発し、最後に完成車を生産していた。今はシャシープラットフォームと上部ボディを同時に開発し、その後完成車に組み上げる。ドキュメンタリーでは、試作車の時間を節約するために、なんとプリウスのボディを新カローラのプラットフォームに取り付けようとしており、うまく適合せずに隙間が生じるという場面も見られた。


実際、より効率的な開発は、単純な残業や工程統合ではなく、組織構造の変革、サプライチェーンの効率的な連携、設計の簡素化(例えば、モジュール化設計による部品点数の削減)、デジタル技術の応用(高効率オフィスソフト、高精度コンピュータシミュレーションによる実測回数の低減)、ソフトウェア・ハードウェアの分離(さもなければソフト変更時にハードも変更せねばならない)などが必要だ。しかし、このドキュメンタリーではそうした取り組みは見られなかった。過度の焦りが、トヨタに理性的な判断を失わせているのかもしれない。


次に、ドキュメンタリー全体を通して「スマート化」という言葉が一度も出てこない。様々な会議の場にいる開発メンバーの中に、バッテリー担当、スマートコックピット担当、自動運転担当の技術者が議論に参加している姿は一切なかった。ドキュメンタリーが映し出す開発は、衝突試験や現場製造の精緻さなど、従来型の自動車製造技術に留まっていた。


ドキュメント全体を通して、豊田章男氏が出席する会議でも、自動運転、スマートコックピット、バッテリーなどの重要技術の応用計画についての言及はなかった。豊田氏はむしろ、「電気自動車(EV)が急速に普及する」という予測が完全に外れたことで営業部門を批判し、予測を信じない姿勢を示していた。明らかにトヨタは依然として電動化を一つの選択肢としてしか捉えておらず、主力投入とは見なしていない。現在中国の自動車業界では「前半戦は電動化、後半戦はスマート化」と言われているが、トヨタは2026年7月現在でも前半戦にすら完全には参入していない状態だ。


さらに、ドキュメンタリーの中でトヨタは中国との差を認識してはいるものの、その認識は十分なものではない。トヨタのエンジニアたちは、中国企業との最大の差は開発サイクルの速さ(中国は24ヶ月でモデルチェンジできるが、トヨタは6年かかる)にあると考え、あらゆる会議で開発サイクルと期間の短縮方法を研究している。しかし、これは中国メーカーが日本を凌ぐ唯一の点ではない。中国メーカーの急速充電技術、スマートコックピット技術、自動運転技術、プラグインハイブリッドの低燃費技術、長距離航続技術、電池ボディ一体化技術、多機能統合型電動パワートレイン技術、全域ハードウェアOTA対応、集中型コンピューティングプラットフォーム、車体制御システム(フルアクティブサスペンション)などは、いずれも日本を超える分野だ。トヨタのエンジニアたちは時間短縮だけに注力するのではなく、これらの基礎技術のブレークスルーをより重視すべきである。


もし中国のBYD、吉利(Geely)、奇瑞(Chery)、蔚来(NIO)、小鵬汽車(XPeng)、小米(Xiaomi)など多くのメーカーが一群の狼だとすれば、トヨタは依然として孤高の虎だが、いかに強い虎でも、群狼の包囲攻撃に耐えるのは難しい。


2025年に日本メーカーの中国市場シェアは10%未満にまで縮小した。今年5月には、中国ブランドの欧州31カ国市場での販売台数が日本メーカーを初めて上回った。中国ブランドは東南アジアやオーストラリア市場でもシェアを拡大し続けている。寧氏は、「日本メーカー最大の地盤である北米市場でも、もし米国とカナダが中国ブランド車の販売を禁じていなければ、日本メーカーの状況は楽観視できなかっただろう」と述べている。


トヨタ自動車が7月30日に公表したデータによると、今年1〜6月の世界販売台数は前年比2.9%減、世界生産台数は同1.2%減となり、トヨタにとって上半期の販売・生産両方の減少は2年ぶりとなった。


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