【毎週日系企業ウォッチ】


研究院オリジナル 今週の注目は、全体的に消費が低迷する中国市場で持続的に成長する日本酒、競争激化する電池産業が日立にもたらす好機、横浜ゴムによる中国市場戦略の高度化などである。


消費低迷の中国市場で、なぜ日本酒は持続的に成長しているのか


財務省の貿易統計によると、2026年第1四半期の日本酒における中国大陸向け輸出量は前年同期比8%増、輸出額は同11%増となり、より高価格帯への集中が見られた。


消費が低迷する中国市場で、なぜ日本酒は持続的な成長を遂げているのか。業界関係者の分析によれば、中国の90後や00後の消費者が、ほろ酔い感覚、宅飲み、アウトドア、火鍋や焼き肉の場での飲酒を好むことが、日本酒浸透の土台となっているという。彼らは「小紅書(RED)」でクチコミをチェックし、インターネットで注文し、即時配達サービス(インスタント・リテール、クイック・リテール)で自宅まで酒を届けてもらうことに慣れている。


これは販売チャネルの変化にも反映されている。盒馬(フーマー)などの大手スーパーでは、日本酒の陳列スペースが比較的大きくなっており、中でも「獺祭(だっさい)」が最も代表的なブランドとなっている。オンラインチャネルでも日本酒の販売は盛り上がりを見せている。一部のトップクラスのライブコマース配信者や輸入酒類専門のライブコマースルームでは、獺祭などのブランドが頻繁に販売されており、ライブコマースにおける日本酒の受け入れ度は高まっている。また、即時配達も日本酒を消費者に届ける新たな窓口になりつつある。例えば「歪馬送酒(Waima)」では、日本酒の人気ランキング上位製品のほとんどが(中国国内で生産されたものではなく)日本産のものである。


メディア報道によると、杭州のあるスーパーチェーンの責任者は、「最近の消費者は、日本酒を必ずしも日本食レストランで飲むためだけに買うのではなく、友人との集まりなどでも楽しんでいる。ショート動画やライブコマースでブランドを知り、実店舗に買いに来たりしている若い消費者もいる」と語っている。


また別の分析では、以前は日本酒についてよく知らない消費者が多かったが、ここ数年中国国産の清酒(日本酒に似た中国醸造酒)の台頭によって、日本酒というカテゴリー全体の消費ベースが広がり、市場全体が発展した結果、日本の中高級日本酒を購入する人も増えたとの見方もある。


中国電池市場は競争激化、なぜ日立は好機と見るのか


5月13日から15日まで、第18回深圳国際電池技術交流会(CIBF2026)が深圳で開催された。日立は今回の展示会で「One Hitachi」の形をとり、電池関連チェーンに携わる複数の事業を統合展示した。これらの事業は、日立サイエンス器械、日立アナリティカルサイエンス、日立コンプレッサー、日立ハイテクノロジーズなど複数の中国現地子会社に分散しており、それらの企業が「One Hitachi」の形で出展して、日立が中国電池市場への本格参入を開始したことを示している。


中国の電池生産量は世界全体の約7割を占め、業界の競争は熾烈である。なぜ日立はこれを好機と見るのか。日立の見解では、競争が激しいからこそ、今後業界の再編が進む可能性があり、電池市場は急速な世代交代と構造調整の転換点を迎え、ハイエンドでスマート、かつ環境に配慮した製造技術やソリューションに対する需要が生まれる。日立の技術的優位性が新たな市場機会を得ることになる。


日立(中国)有限公司のCMO兼副総経理である龍剣氏は、「日立が次に重点を置くのは、中国の電池の顧客の生産工程、生産フロー、工場建設におけるニーズだ」と語る。現在、日立の電池業界の顧客には、電池製造企業や電池材料企業など、多くの上流・下流のサプライチェーン企業が含まれている。


例えば、リチウムイオン電池セパレーターメーカーの江蘇厚生新能源科技有限公司は日立と協力している。同社の責任者は、「現在、中国国内の電池に対する品質要求は日増しに高まっており、サプライチェーン企業にも非常に高いレベルが求められている。日立はよりリーンな生産ソリューションと極めて安定性の高い設備を提供してくれる」と述べている。


電池の研究開発・製造段階に加えて、日立はリチウムイオン電池のリサイクル分野にも注力している。現在、日立は中国国内のリチウムイオン電池リサイクル・再生産のトップ企業と協力し、日立ハイテクのグローバルネットワークを活用してリチウムイオン電池の再生可能資源貿易ビジネスを展開しようとしている。例えば、海外の再生材料を一定の加工を経て中国国内のトップ企業に供給し、精製処理後に再生利用を実現する。これは電池サプライチェーンの脆弱な部分を補完するものであり、政府が長年懸念していた環境汚染問題への対応としても強く支持されている分野である。


横浜ゴム、中国戦略を高度化


5月11日、横浜ゴム(優科豪馬橡膠)は、中国杭州の新開発センターが今月正式に稼働開始することを発表した。この新開発センターは、中国市場に適合する製品の全プロセスの研究開発を単独で完了することができ、これまでの海外開発への依存体制を変える。重点は、新エネルギー車(NEV)向けタイヤや大径ハイエンドタイヤなどの技術開発に置かれており、自動車の電動化・ハイエンド化の需要に適合していく。


中国市場では、乗用車の国内販売台数が23.4%減少するという全体的な環境に影響され、横浜ゴムの第1四半期の新車装着用タイヤおよび補修用(リプレイス)タイヤの合計販売台数は前年同期比5%減少した。しかし、その一方で、リプレイス市場での販売台数は前年同期比28%という大幅な増加を記録。業界関係者は、「これは同社のローカライズされたチャネル革新政策の有効性を示すもの」と分析している。


2025年11月、横浜ゴムは総投資額約35億元(約700億円)の杭州銭塘スマート工場を稼働させ、年間生産能力は乗用車タイヤ1400万本に達した。そしてわずか半年後には新開発センターが稼働。この「中国スピード」は、近年の外資系企業では極めて珍しい。


実際、横浜ゴムの最近の決算報告書は、中国戦略の高度化を明確に示している。杭州スマート工場は中国国内向けだけでなく、日本やその他のアジア諸国にも輸出している。これは横浜ゴムの中国戦略が、「現地生産・現地販売」から「現地生産・現地販売+グローバル供給」という高い次元の形態へと移行したことを意味している。


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