【毎週日系企業ウォッチ】
研究院オリジナル 今回注目のテーマは、日本企業が注目する中国ロボットのコストパフォーマンスと量産能力、ローソン中国総裁が語る「中国のフードデリバリー・プラットフォームに対抗するコンビニの戦略」、ホンダが中国で直面する複合的危機などである。
中国ロボットの何が、日本企業に最も評価されているのか
日立(中国)有限公司はこのほど、中国のロボット企業である優必選(UBTECH)と戦略的提携契約を正式に締結した。両社は、日立グループが強みを持つエレベーター、ビルシステム、医療・健康、産業機器、半導体製造装置などの分野で協業を深め、優必選の人型ロボット技術と、日立のスマート製造・システムインテグレーションにおける豊富な知見を活用し、さまざまな生産現場に対応したインテリジェント・ソリューションを共同開発する。すでに両社の協力は実証段階に入っており、日立は一部の製造現場において、優必選の産業用人型ロボット「Walker S2」を導入している。
実際、日本企業が中国製ロボットを導入する動きは、もはや一つの潮流となっている。これまでに、中国の宇樹科技(Unitree)が開発した人型ロボットは、羽田空港や筑波大学附属病院に導入されている。また、優必選の子会社である優奇(UQI)は本田貿易と連携して人型ロボットを開発しており、将来的には日本市場への販売拡大も視野に入れている。
日本はロボット開発の先進国であり、サーボモーターや減速機などのハイエンド部品では優位性を誇っているものの、人型ロボットの完成機としての統合や量産・実用化の段階では、市場の期待を大きく下回り、遅れを取っている。そのため、拡大する市場需要に応えられない状況が続いている。
一方、中国製ロボットは、極めて高いコストパフォーマンスと量産能力を兼ね備えている。日本のGMO AI&ロボティクス商事の内田朋宏社長は、「私たちは可能な限り多くの人型ロボットを導入しようと努力している。しかし現時点で量産が可能で、販売体制が整っており、実際に購入できるのは中国製の製品だけだ」と語っている。例えば、羽田空港に導入された宇樹科技のベーシックモデル「G1」の価格はわずか8万5千元(日本円で約170万円)であり、これは日本のグランドスタッフ(地上職)の約4か月分の給与に相当する。
また、中国の人型ロボット企業にとっても、国際企業が持つ成熟した産業シーンを活用できる今回のような協業は、国際化・産業化に向けた重要な一歩となる。
三宅示修ローソン中国総裁の「守り」と「変革」
中国のデリバリー・プラットフォームは「30分以内配送」を日常的なサービスとして確立し、飲食分野から全カテゴリーの実物小売にまで領域を拡大している。これに伴い、中国の「即時小売(インスタント・リテール)」市場はかつてない変革の局面を迎えている。こうした中、従来型のコンビニエンスストアはどのように対応すべきか。ローソン中国の総裁である三宅示修氏は、最近、かつてないプレッシャーを感じているという。
三宅氏は率直に認めている。「2025年のローソン中国の総売上は前年とほぼ同水準だったが、フードデリバリー・プラットフォームによる価格競争の影響を受け、販売は打撃を受けた」。消費者がわざわざ「足を運ぶ」必要がなくなった今、コンビニが持つ物理的な距離の優位性は失われつつある。
これに対し、ローソン中国は次の3段階の対策を講じている。
第一に、デリバリー・サービスを積極的に取り入れることだ。現在、デリバリーの注文はローソン中国の総売上の約10%から25%を占めている。第二に、実店舗の特性を維持しながら「即時小売」に参入することだ。例えば、いわゆる「ダークストア(前置倉庫)」型の店舗である。第三に、「手に取ってそのまま持ち帰れる」という究極の利便性を提供する「ローソン小站(夫婦で営む規模の小型店舗)」のような、低コストで参入しやすいフランチャイズモデルを展開している。
三宅氏はメディアに対し、「コンビニは便利でなければならない。もしフードデリバリーが私たちよりも便利なら、フードデリバリーこそがコンビニになる。コンビニそのものが消えることはないが、消えるのは、便利ではないコンビニだ」と語っている。
当研究院は、三宅示修氏のような在中国日本企業のリーダーには、「守り」と「変革」の両輪が不可欠であり、それによってこそ複雑で変化の激しい中国市場を巧みに乗りこなすことができると考える。
販売が急落したホンダ、中国市場での試練
5月11日、ホンダ中国は2026年4月の新車販売台数(ディーラー納車ベース)を正式に発表した。それによると、4月のホンダの中国市場における販売台数はわずか22,595台にとどまり、前年同月比48.3%減と、近年の単月販売としては過去最低を記録した。2021年から2025年にかけて、ホンダ中国の販売台数は5年連続で減少している。
ガソリン車が売れず、電気自動車も人気が出ない。これがホンダ中国の販売低迷を続ける主因である。業界関係者は、「ホンダ中国はやむを得ず権限を委譲し、中国パートナーが主体となって新エネルギー車の研究開発を進めることで現地化を加速させているが、もはや新エネルギー車市場の高成長のウィンドウ期を逃してしまった」と指摘している。中国の自主ブランドは、技術、サプライチェーン、コストの面で競争優位性をますます強めており、ホンダが短期間で逆転するのは極めて困難な状況にある。
さらに深刻なリスクは、広汽ホンダの合弁契約が2027年7月に期限切れを迎えるにもかかわらず、現在の交渉が膠着状態にあり、まだ延長合意に至っていない点である。対立の核心は、出資比率と価値貢献のバランスにある。広汽グループは、電動化時代において広汽グループが技術供給の90%以上を担い、ピュアEVプラットフォーム、三電システム(電池・モーター・インバーター)、自動運転ソリューション、サプライチェーンを提供しているとして、中国側の出資比率引き上げを求めている。一方、ホンダは依然として50:50の均等出資比率を主張しており、両者の主張は平行線をたどっている。
『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。
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