【毎週日系企業ウォッチ】
研究院オリジナル 今回のテーマは、世界の建設機械大手コマツの中国における歴史――いかにして中国地場の競合企業によって、業界トップの座からかつての地盤を追い出されるに至ったのかを分析する。また、東南アジア市場におけるトヨタとCATL(寧徳時代)の連携にも注目する。
巨頭コマツを苦しめる中国ライバルの圧力とは
2010年、中国のいかなる工事現場に足を運んでも、コマツの機械は至る所で目にすることができた。当時、業界の雄・コマツは中国の掘削機市場でシェア15%を占め、外資系トップの座を固めていた。だが今日、その数字は3%を下回るまでに落ち込んでいる。同じ期間に、三一(SANY)重工に代表される中国国産ブランド全体の市場シェアは30%足らずから80%超へと急上昇した。この15年間で、コマツはいかにして中国市場を失っていったのか。
第一段階――コマツの技術的な壁は、中国企業によって少しずつ打ち破られていった。2010年以前、コマツなどの外資系企業の技術的優位性はある種の城郭の外堀、いわばバリケードのようなものだった。例えば掘削機の「心臓部」である油圧システムは、中国企業はほぼ100%輸入に依存していた。しかし三一重工、中聯重科、徐工機械(徐工集団工程機械)などの中国企業は研究開発への投資を継続し、10年以上の歳月をかけて、油圧・エンジン・電子制御システムにおいて、全面的に技術的なキャッチアップを達成した。
第二段階――中国企業の価格優位性が徹底して発揮された。中国製品はコマツよりも20%以上価格が安い。
第三段階――サービス体制において、中国ローカルの優位性が完全に圧勝した。広大な中国の工事現場では、機械が故障した際に最も怖いのは部品の高価格ではなく、待ち時間である。三一重工などの中国企業は全国にサービスネットワークを構築しており、「24時間以内に現場到着、48時間以内に修理完了」を実現している。この応答速度は、コマツのような外資系企業にはなかなか真似できない。外資系企業の部品在庫、エンジニア密度、ローカライゼーションの深さは、ローカルブランドに太刀打ちできないからだ。
さらにここ数年、コマツの新エネルギー分野における対応の遅れもマイナス要因となっている。中国ブランドは新エネルギー建設機械分野で全面的に開花し、国産の電動ローダーはすでに約50%の市場シェアを達成。純電動ワイドボディ鉱山ダンプトラックも急速に発展している。一方、コマツは電動化製品の商業化推進においては明らかに出遅れた。
実際のところ、コマツが「悪くなった」わけではない。技術・製造・管理は今も一流のままだ。ただ、中国という広大な土地で、より「飢えた」競合相手たちに出くわしてしまった。より低い価格、より迅速なサービス、より強力なローカライゼーションによって、かつての牙城から一歩一歩追い出されているにすぎない。
トヨタ×CATL、インドネシアで電池生産――サプライチェーン再構築の「ウィンウィン」モデル
4月20日、トヨタとCATL(寧徳時代)は、インドネシアでのハイブリッド車向け電池プロジェクトで提携すると発表した。トヨタは約5億1500万元を投資し、CATLのインドネシア工場内に専用ラインを設置。2026年末の稼働開始を見込む。
実は両社は2019年7月には、すでに動力電池に関する包括提携契約を結んでいた。トヨタは中国の純電気自動車(EV)市場に切り込み、自社のリチウムイオン電池の弱みを補う。CATLは世界有数の自動車メーカーと連携することで国際的な認知度を高め、長期的な技術・サプライチェーンの連携基盤を築いた。
今回の協業により、トヨタはコストを15〜20%削減し、サプライチェーンの混乱を回避できる見通しだ。中国自動車メーカーとの競争に対応し、東南アジアでのハイブリッド車の地盤を強化する。CATLはトヨタという安定した受注を確保し、インドネシアで建設中の6.9GWhの生産能力を消化し、東南アジアの電池市場での主導的地位を確立する。
業界関係者は、今回の連携がパナソニックとトヨタの従来の供給体制にストレートに打撃を与え、日韓の電池メーカーが東南アジアや新興市場でシェアを奪われ、「中国強し、日韓弱し」という世界の構図がさらに強固になるとみている。
『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。
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