【毎週日系企業ウォッチ】
研究院オリジナル 今号では、中国の卒業生の保護者が子どもの就職先を考える際に、日系企業に対してどのような見方をしているかに注目するとともに、近年の新卒者の日系企業への就職意向に関する大規模サンプル調査データを整理した。
中国人の保護者は子どもを日系企業に入れたいと思うか?
微信公衆号(WeChat公式アカウント)「行走心蘊」は4月3日、「子どもが日系企業で働くのを支持すべきか」という問題をめぐる読者同士の議論を掲載した。記事内容によると、「全体的に見て、中国人は日系企業に対して肯定的な見方が多かった」という。
記事によると、日系企業で18年働くネットユーザーは次のように語っている。「日系企業には確かに評価すべき点が多い。例えば、厳格さ、時間厳守、規範的な職業習慣、事に厳しく人を尊重する価値観、規則の前での平等などだ。しかし日系企業に困惑したこともある。能力があっても必ずしもチャンスがあるとは限らず、年功序列で若手は昇進が遅い。決裁プロセスが長く、心が疲弊することもある。ある企画書を上司に提出しても、返事を待つうちに勢いが削がれてしまう。しかし総じて言えば、日系企業は良い選択肢の一つであり、“職業軍人養成学校”と見なせば身につけることのできる日系企業の規範、プロセス、プロフェッショナルとしての素養は、若者が基礎を固めるのに適している」
現役で22年日間、日系企業で働いてきたあるネットユーザーは、「お勧めする。日系企業で身につく人に対する規則や姿勢は、どこに行っても役立つ。昨年卒業したうちの息子に、日系企業を紹介したところ、今とても良い仕事をしている」と語る。
しかし、日系企業で15年間働き、すでに退職し、こう語るネットユーザーもいる。「お勧めしない。今の日系企業の優位性は大きくない。若者はもっと活気のある業界に行くべきだ。私が日系企業で学んだことは、インターネット企業でも同じように役立ってはいるが、給料は倍になった」と述べた。
日系企業で8年間働き、退職して起業したネットユーザーは、「子どもの意思次第だろう。日系企業は性格が穏やかで忍耐強い人に向いており、早く成長したい、いろいろ挑戦したいという人には向いていない。私も発展の遅さに耐えられず退職した」とコメントしている。
日系企業で12年間働き、ちょうどリストラされたばかりだというネットユーザーは、「日系企業のリストラ補償は確かに手厚い。子どもが行きたいというのなら、反対はしないが、会社を(安住できる)我が家だと思うなという警戒は促すべき」と返信した。
「行走心蘊」の4月3日の記事の閲覧数は1600余り(2026年4月11日現在)と、サンプル数はやや少ない。では、中国の新卒者全体の日系企業への就職意向はどうか。
前程無憂の『2025新卒者調査報告』によると、外資系企業(日系含む)を希望する新卒者は13.4%で、そのうち在中国日系企業を明確に希望する者は外資系希望の約28%~32%を占め、全新卒者に換算すると約3.8%~4.3%が日系企業を第一志望としている。
智聯招聘(Zhaopin)の2024新卒者調査データによると、新卒者のわずか4.1%が日系企業を第一の就職目標としており、国有企業(45.7%)、民間企業(31.2%)、欧米外資系企業(8.7%)を大きく下回っている。
日本への留学から帰国した卒業生は、日系企業への就職の中核的な層である。日経HRの2024年10月調査(サンプルは、日本留学から帰国した新卒者・既卒者1200名)によると、72.3%が在中国日系企業を考慮しており、そのうち21.5%が日系企業を第一志望とし、78.5%は単なる選択肢の一つとしている。
日本貿易振興機構(JETRO)の2024年在中国日系企業人材調査によると、日本留学から帰国した新卒者の68%が在中国日系企業のエントリーを優先しており、国内の一般新卒者(12%)を大きく上回っている。
また、日経HR、JETROの上記調査データによると、日本語専攻の新卒者の39%~45%が在中国日系企業を第一志望としており、大連、上海、蘇州などの日系企業集積地ではさらに高く52%に達する。一方、非日本語専攻でその意向があるのはわずか2.3%である。
日系企業、中国の技術を活用し日本の蓄エネ市場に進出
近日、日本の蓄エネ開発会社ナムチャバルワ株式会社(Namchabaruwa Co.,Ltd.)は、中国の蓄エネリーディングカンパニーである中創新航(CALB)と正式に契約を締結し、規模380MWhの直流側蓄エネシステム協力プロジェクトを決定した。
日本は福島原発事故以降、エネルギー転換を加速しており、高い安全性と長時間の蓄エネに対する需要が持続的に高まっている。データによると、2025年の日本の蓄エネシステム市場規模は16.2ギガワット(GW)に達し、2034年には30.4GWに増加すると予測されており、年平均複合成長率は7.24%を見込む。しかし、日本国内の蓄エネ産業チェーンは不完全で、中核製品の供給にギャップがある。一方、中国の蓄エネ企業はセル開発、システムインテグレーション、コスト管理などで顕著な優位性を持ち、日本の蓄エネ開発会社が協力先を探す際の重点的な方向となっている。これまでにも、陽光電源(Sungrow Power Supply)、遠景動力(Envision AESC)などの中国企業が日本企業と協力を達成している。
業界関係者は「日本の蓄エネ開発会社が積極的に中国の協力パートナーを探しているのは、日本の蓄エネ市場発展の必然的な需要であると同時に、中国の蓄エネ産業のグローバル競争力向上の重要な現れだ。ナムチャバルワ株式会社と中創新航の協力は、日本の市場資源と中国の蓄エネ技術・産業チェーンの優位性を的確に結びつけ、双方に持続的な商業成長の余地をもたらすだけでなく、中日両国の蓄エネ産業協力に参照可能なビジネスモデルを提供し、世界の蓄エネ産業の協調発展を促進する」と分析している。
キヤノン中国、新CEOを任命、さらに深耕する中国市場
4月2日、キヤノン(中国)有限公司は新たな経営陣の人事異動を発表、元キヤノンカナダ株式会社会長兼最高経営責任者(CEO)の高木幹雄氏をキヤノン(中国)有限公司副董事長兼最高執行責任者(COO)に任命し、キヤノン(中国)の全事業運営を担当させる。今回の人事異動は、業界からキヤノンが中国市場をさらに深耕する兆しと見なされている。
先ごろ、キヤノンは珠海、中山の2工場を相次いで閉鎖し、「キヤノンは中国から撤退するのではないか」という議論を引き起こしていた。これに対し、先日、キヤノングローバル副総裁兼キヤノン(中国)董事長の小澤秀樹氏は、「キヤノンは中国から撤退することはせず、キヤノン中国の目標は2035年までにキヤノングループ全世界で首位の運営実体となることだ」とはっきりと表明した。
キヤノン中国は次の段階の発展の重点を医療と教育に定め、蘇州工場の生産能力をさらに強化し、2035年までに中国で販売する全てのB2B製品を蘇州工場で生産することを目指し、大連工場の生産能力も同時に引き上げる。地域戦略面では、キヤノン中国は「広東省及び粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)のプロジェクト(GGBAプロジェクト)」を正式に始動し、キヤノン中国、キヤノン香港及びその子会社の広東、香港、マカオの3地域における事業資源を再構築しようとしている。
『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。
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