【每週日系企業ウォッチ】
研究院オリジナル 記事ある有力シンクタンクによると、「中日の外交関係は冷え込んでいるが、両国の経済的な結びつきはその流れに逆らって強まっており、これまでとは異なる新たなパターンも現れている」という。ホンダとMUJI(無印良品)の最新の動きは、まさにこの見解を裏付ける事例となっている。
有力シンクタンク、中日経済の結びつきは流れに逆らい強化、新たなパターンも出現
先ごろ、国際的に有力なシンクタンクであるオーストラリアのローウィー研究所(Lowy Institute for International Policy)が研究報告書を発表し、「中日の外交関係は冷え込んではいるものの、日本と中国の経済的な結びつきはこの流れに逆らって強まっており、これまでとは異なる新たなパターンも見られる」と指摘した。
第一に、中国における日系企業の事業モデルが変革しつつあり、かつてのように中国から中間財を調達して輸出する形態から、現在では中国のサプライチェーンに直接組み込まれる傾向が強まっている。この転換により、多くの日系企業は中国経済との構造的な融合を既に実現している。
第二に、さらに興味深い点は、「第三国ルート」の台頭だ。報告書によれば、経済・技術の面で、日系企業はサウジアラビア、スイス、英国などに設けた共同ファンドやパートナーシップを通じて、中国との結びつきを深め続けている。報告書は、「2026年には、地政学リスクを回避しようとするより多くの日系企業が、第三国に置いた子会社や合弁企業を通じて中国に投資する」と予測している。
ホンダ、なぜ中国製EVを日本で販売する初の日本メーカーに
最新情報によると、ホンダは2026年春にも、中国で生産した電気自動車「e:NS2」を日本市場で発売する計画だ。日本国内で中国生産のEVを販売するのは、日本の自動車メーカーとして初めてとなる。これは少なからぬ波紋を呼んでいる。何といっても日本は、長年高い評価を受けてきた自動車製造・輸出大国だからだ。
この措置の背景には、ホンダが日本国内市場と中国市場の板挟みという難しい状況に直面していることにある。
ここ数年、日本の国内自動車市場は30年ぶりの激しい構造変革期を迎えている。
一方で、国内メーカー間の競争は激化しており、トヨタ、スズキ、ダイハツがそれぞれ攻勢を強め、ホンダの市場シェアを圧迫している。他方で、海外からの「プレーヤー」も強く参入しており、特にテスラは2025年、日本での販売台数が前年比90%増と急増し、過去最高を記録した。
さらに重要なのは、日本消費者のニーズも変化していることだ。かつて日本人は国内生産の小型車や軽自動車を好んでいたが、現在では高性能で多様なモデルを求める消費者が増えている。
しかし、ホンダは国内での製品ラインナップが単一で、モデルチェンジも遅く、特に高性能車や新エネルギー車の分野では市場の需要に追いついていない。このため、ホンダの日本国内市場での競争力は弱まり、販売台数は減少し、赤字幅は拡大している。最新の財務報告によると、ホンダの2025年度第3四半期累計(4~12月)の売上高は前年同期比2.2%減、営業利益は実に48.1%減少した。
一方、中国市場でも、周知のように自動車業界の競争は非常に激しく、ホンダは競争優位性を失いつつある。2025年のホンダの中国における新車販売台数は前年比24%減少し、5年連続の減少となった。
こうした状況下で、ホンダが中国で生産した自動車を日本市場に投入するのは、一挙両得の戦略である。
一つには、日本国内市場での製品ラインナップの欠落を補い、落ち込んだ販売台数を挽回できる。日本のEV市場にはまだ大きな余地があり、現在のEV普及率はわずか2~3%程度と中国を大きく下回っているため、EV販売に適している。
もう一つには、ホンダは中国市場での激しい競争という難局を避けつつ、中国工場の余剰生産能力を消化できる。
ホンダは中国の成熟したサプライチェーンを活用しており、中国製EVは日本国内市場で技術、デザイン、コストパフォーマンスなどの面で競争において優位性を持つことは間違いないだろう。
MUJIの「また会いましょう、あらゆるシーンで」
3月4日、中国で最もにぎやかな商業エリアの一つである上海淮海路755号にあるMUJI旗艦店(フラッグ・シップ・ショップ)に「再見(サヨナラ/また会いましょう)」と大きく書かれた広告が掲出され、開業から10年以上にわたり淮海路商業エリアのランドマーク的存在だった店舗が閉店のカウントダウンに入ったことがわかった。ここはかつて中国最大のMUJI旗艦店だった。
しかし、この「再見」という文字の下には、「在〇〇見」(〇〇で会いましょう)という文字もある(〇〇にはさまざまなシーンが想定されるデザインになっている)。MUJIは、4月下旬に徐家匯の新六百商場に新たなシティ旗艦店をオープンすると発表している。これは「再見」は「サヨナラではなく、また会いましょう」ということだ。つまり、10年間のランドマーク店舗の閉店は、敗退ではなく、市場戦略の調整であることを意味する。
経営データは、MUJIが敗退どころか、むしろ勝利していることを示している。MUJIの親会社である良品計画が発表した2026年度第1四半期(2025年9~11月)の決算報告によると、中国本土市場の売上高は前年同期比18.3%増、営業利益は同27.9%増と大きく伸びた。2025年11月末時点で、MUJIの中国本土における店舗数は426店舗に上り、この四半期だけで15店舗を新設。同ブランドは年間で約40店舗の新設を計画しており、拡大のペースはまったく鈍化していない。
ある調査研究報告書によると、現在、中国の消費者の77.7%が購買決定時に最も重視する要素は「本当に自分が必要としているかどうか」であり、人々は盲目的に有名ブランドや流行を追う段階を卒業し、真のニーズ、情緒的価値、長期的価値を追求するようになっている。業界関係者の分析では、MUJIの今回の調整はまさにこうした消費トレンドに適応するための変化であり、中心商業エリアから撤退し、より顧客に近い場所へと展開をシフトさせているという。
『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。
現在、『日系企業リーダー必読』の購読企業は、世界ランキング500にランクインした日本企業を含む数十社にのぼります。
サンプルをお求めの場合、chenyan@jpins.com.cnへメールをください。メールに会社名、フルネーム、職務をご記入いただきます。よろしくお願いいたします。
当研究院のメールマガジンをご購読いただくと、当方の週報を無料配信いたします。ほかにも次のような特典がございます。
·当サイト掲載の記事の配信
·研究院の各種研究レポート(コンパクト版)の配信
·研究院主催の各種イベントのお知らせ及び招待状
週報の配信を希望されない場合、その旨をお知らせください。