【毎週日系企業ウォッチ】


研究院オリジナル 今週注目の3つのトピック。第一に、トヨタやスズキなどの主要日系自動車メーカーが中国企業製の半導体チップを採用し始めた意外性。第二に、バンダイナムコが中国市場を「重視しすぎ」として日本のネットユーザーから批判を受けた件。第三に、中国が日本企業に対して初めて適用した「輸出禁止対象リスト」制度について、中国の学者がその最も顕著な特徴は「柔軟性」だと指摘したこと。


道理にかなっているトヨタとスズキ、中国製自動車用チップの積極的採用


日本メディアが先ごろ報じたところによると、トヨタ自動車とスズキは、中国国外で販売する車両に、中国企業「ホライズン・ロボティクス(地平線器械人、Horizon Robotics)」が開発したSoCチップの採用を決定した。かつては主要自動車メーカーの半導体は、ほとんどが日米欧の老舗メーカーから購入するものであり、中国製チップは存在感が薄かった。そのため、トヨタやスズキのような日系企業が中国製自動車用チップを積極的に選ぶようになったのは、意外なことと言えよう。


しかし、ホライズンのチップについて理解すれば、今回の件は実に道理にかなっていると言える。まず、同じ仕様の車載チップであれば、ホライズンの価格は国際的な同類製品より約30%安い。価格はあくまで入り口に過ぎず、トヨタなどの日系企業に選択をさせた真の理由は、信頼できる技術の品質にある。


ホライズンは2015年、元百度(Baidu)の自動運転専門家である余凱氏によって設立され、車載用スマートチップに特化している。昨年香港で上場した、中国国内における自動運転チップのトップランナーである。ボッシュ、ZF、デンソーといった世界的な自動車部品サプライヤーはいずれもホライズンと協力している。このうちデンソーはトヨタグループの企業であり、世界第2位の自動車部品サプライヤーである。現在、ホライズンのチップは27の自動車メーカー、285の車種に採用されている。中国のBYD、奇瑞汽車(Chery)、長安汽車(Changan)のほか、BMWやフォルクスワーゲンといった欧州の自動車メーカーも含まれている。


トヨタとスズキの選択には、市場という側面からの理由もある。中国の自動車輸出は急速に伸びており、東南アジア、中東、ラテンアメリカといった日本車の従来の地盤で、トヨタやホンダと激しい競争を繰り広げている。もし中国製チップを採用しなければコストを下げることができず、日系自動車は中国車にかなわないであろう。


これに対して慎重な見方を示す人もいる。ホンダの三部敏宏社長は、「たとえ中国で競争力のあるサプライヤーと協力しても、技術を世界市場で通用させることはできない」と述べている。地政学リスクが大きすぎて採用に踏み切れないというのがその含意だろう。しかし、業界内では、一部の企業の拒否反応も大勢の流れを止められないとの見方が強い。


バンダイナムコ、中国市場「重視しすぎ」で日本のネットユーザーから批判


バンダイナムコはこれまで一貫して中国を重点市場と位置付け、中国市場向けのIP(アニメ・ゲーム作品群)の拡大を続けてきた。特にガンダムベースはその中心で、最新の決算報告によれば、第4四半期(2025年10月~12月)には4店舗のガンダムベースを新規開設し、高い人気を博した。


今年の春節(旧正月)期間中には、バンダイナムコ傘下のIP「アイドルマスターシャイニーカラーズ」が中国の動画プラットフォーム「ビリビリ」で春節をテーマにしたデジタルカードパックを発表し、多くの中国プレイヤーから「大切にされていると感じる」との歓声が上がった。しかし、この動きが一部の日本のネットユーザーの不満を買う結果となった。彼らはバンダイナムコのこうした「中国市場を重視しすぎる」姿勢を「中国へのごますり」「国内の感情を無視している」と批判。最近では、日本のSNS上でバンダイナムコに対する集中的な非難が巻き起こり、「バンダイナムコは親中売国企業」「中国市場での金儲けしか見えていない」といった過激な批判の声が上がっている。


中国が日本企業に初適用した注視リスト制度、最も顕著な特徴は「柔軟性」


中国商務省は先ごろ、40の日本企業・団体をそれぞれ「輸出管理規制品目リスト」と「注視リスト」に掲載した。これは今年1月、商務省がデュアルユース物資の対日本輸出管理強化に関する公告を発表して以来の措置となる。中国側は、この措置が日本の「再軍事化」および核保有の企てを阻止することを目的としたものであることを明確に説明している。同時に商務省は、関連措置はあくまでデュアルユース物資にのみ適用され、中日の正常な経済貿易往来には影響せず、誠実かつ法令を遵守する日本企業・団体は心配する必要はないと強調している。


中国对外経済貿易大学の紀文華教授は、「今回が中国による注視リスト制度の初適用であり、今後中国が輸出管理の精密な運用を実施していく上での新たな道筋を示すものだ」と指摘する。紀教授はまた、「この方式の最も顕著な特徴は柔軟性にある」と考えている。つまり、直接禁止するのではなく、厳格に審査するという方式をとっている点だ。また、これは永久的なレッテル貼りではなく、指定された企業・団体が検査への協力義務などを誠実に履行すれば、リストからの削除を申請することが可能であるとされている。

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