一年に一度の輸入博覧会がまた開かれる。2024年も同じく11月5~10日の日程だ。今までの輸入博覧会に私はすべて足を運んでいるが、今年ももちろん取材にいくつもりだ。
過去数年間に多くの日本企業の展示ブースを参観したが、ある種の感覚がますます強烈なものとなっている。それは、こんなに多くの質の高い日本製品と最先端技術をもつ日本企業は、もっとメディアでの露出をふやすべきだというもので、日本企業をよく知り、理解する中国人は相変わらず少なく、実に残念に思う。
商会の通知で、今年11月6日午前中にメディア向け発表会があることを知った。しかし残念なことに、この時間はちょうど商務部主催の中日産業イノベーション交流会に出席するので、私は商会の発表会に参加することができない。2023年には参加した。そのとき、商会が発表会のために準備した文字データを中国の記者が転送してくれ、これが文章を書く上でとても大きな助けとなったことを覚えている。聞いただけではあらゆる発言者の発言内容を覚えていられるとは限らず、この記録があれば、具体的な企業の具体的な製品について書くときにとても便利だったのだ。
輸入博覧会は中国の国家プロジェクトで、国はこれに関する報道に力を入れており、特に権威的な公的メディアにたくさん文章を発表できるチャンスは得難いものだ。
欧米などの外国企業に比べると、中国の日本企業は「目立たない」という印象を多くの人がもっている。これは遠慮がちな言い方で、無遠慮に言うなら、中国のメディア報道のなかで、日本企業は「存在感」がない。その原因の一つは日本企業(特にBtoB 型企業)の責任者の少なからずが、メディア報道は「必要ない」、自分の顧客は企業であり消費者ではない、一般の社会大衆が自分たちの製品やブランドを知っていても知らなくても、熟知していても熟知していなくてもそれは重要ではなく、顧客が知っていればそれで充分だと考えているからだ。
こうした「必要ない」という観念には、私はまったく同意しかねる。いかなる企業にとっても、知名度・評判などの重要性はどんなに強調しても強調しすぎるということはなく、このためにどの企業も積極的にメディアのポジティブな報道を追求すべきなのだ。
企業の信頼性を裏付けるという作用は、中国のメディア報道は欧米メディアよりも大きい。なぜなら中国のメディアは程度の差はあれすべて公的色彩を帯びているからだ。メディア報道により裏付けられた信頼性があれば、企業はより容易に顧客の認可を受けることができるだけでなく、政府部門と付き合うときもはるかに楽になる。BtoB型の企業にとって、信頼性の価値はより重要なものだ。
どうしてこれだけ多くの外国企業が輸入博覧会に参加するのか。まさか製品を展示して売るだけのためではあるまい。本当の理由は、輸入博覧会は政治的色彩が濃く、この中国政府が強く後押しする展示会に参加した外国企業であるということは、「政府の呼びかけに答えた」というだけでなく、市場に「私は中国政府から歓迎されている外国企業だ」とアピールすることにもなり、自分の信頼性を高めるに等しいからだ。
しかし、輸入博覧会により得られる信頼性、それが広がる範囲、影響を受ける人数は、時にメディアの1本の報道にも及ばない。あなたたちはみな、輸入博覧会に参加するためにそれだけ大きなコストを費やしていながら、どうして普段は無名に甘んじ、メディアに取材させたり報道させたりしないのだろうか。
原文は2024年10月28日付中国日本商会HPに掲載されたものであり(https://www.cjcci.org/Site/cjcci_org/Upload/20241028/Tmp/2410280129df4e9.pdf)、筆者は日本企業(中国)研究員執行院長の陳言である。
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