『必読』ダイジェスト 英国の週刊新聞『エコノミスト(The Economist)』のウェブサイトは12日、「中国はすでに科学超大国に」と題する記事を掲載した。全文の抄訳は以下の通り。


『エコノミスト』は中国の科学研究状況について調査を実施し、「中国はいつの日か科学超大国になれるのか」という問いを発した。今日では、この問いに肯定的かつ明確な答えが出ている。中国人科学者は最近、注目を集めている2つの質の高い科学指標で優位に立っており、中国の一流の研究成果の伸びが鈍化する兆しはない。


一国の科学研究の質を測る一つの方法は、毎年生み出される影響力の高い論文の数を集計することだ。米国に本拠を置く情報サービス企業大手のクラリベイト・アナリティクス社のデータによると、2003年に米国で発表されたこうした影響力の高い論文の数は中国の20倍に上った。2013年までに米国のトップレベルの論文数は中国の約4倍となったが、直近に公表された2022年の論文分析データによると、中国はもはや米国も欧州連合(EU)も同時に追い抜いた。


中国は今、他のいくつかの指標で世界をリードしている。世界トップクラスの総合科学誌『ネイチャー』誌が作成したこの指数は、著名学術誌に掲載された論文数を集計したもので、中国が「ネイチャー指数(Nature Index)ランキング」のトップとなった。2014年に同指数が初めて導入されたとき、中国は2位だった。2023年には中国がトップに躍り出た。


オランダのライデン大学(Leiden University)が集計した「科学研究成果数ランキング」によると、現在6つの中国の大学または科学研究機関が世界のトップ10に名を連ねているが、「ネイチャー指数ランキング」のトップ10入りした中国の機関は6つある。欧米ではまだ広く知れ渡ってはいないかもしれないが、浙江大学、上海交通大学、北京大学をケンブリッジ、ハーバードなどと同レベルの大学と見なすことにそろそろ慣れてほしい。


「ネイチャー指数」及び「論文引用指標」によると、今日、中国は物理、化学、地球・環境科学の分野で世界をリードしている。


応用研究は中国の強みだ。例えば、「ペロブスカイト太陽電池に関する論文」で中国は大きくリードしている。太陽光を電力に変換するという点で、この技術は従来のシリコン電池よりはるかに高い変換効率を提供できる。


また、中国の特許出願件数も他のどの国をも上回っている。安価なエネルギーと結びついた場合、中国の強力な産業基盤は材料などの物理的イノベーションを、迅速に大規模な量産に投入できることを意味する。


中国はさらに目立った方法でその科学力を示している。中国の嫦娥6号探査機は今月初め、月の裏側にある巨大なクレーターに着陸し、岩石のサンプルをすくい取り、中国国旗を掲げた後、地球に向けて出発した。今月末に地球帰還に成功すれば、難易度の高い月の裏側のサンプルを持ち帰ることに、人類のつくった探査機が初めて成功することになる。


中国の科学研究の質と量の成長が止まる可能性は低いように見える。科学技術研究への支出は依然として増加している――政府は2024年に中央レベルの科学技術支出を10%増やすと発表。そして中国は今まさに多くの若手科学者を育成している。中国が現在、学部レベルで育成している一流のAI研究者の数は米国の2.5倍に達している。2025年までに、中国の大学で育成される理工系博士課程修了者の数は米国の2倍近くになると予想されている。


中国という科学の巨人はさらに力強く成長し続けるだろう。オックスフォード大学で高等教育を研究するサイモン・マージンソン(Simon Marginson)氏は、「中国の奇跡が頭打ちになると予言するのは極めて賢明ではない。今のところそれには何の限界も見られないからだ」と述べている。


(『日系企業リーダー必読』2024年6月20日の記事からダイジェスト)

大手企業を含む多くの日系企業が購読している『必読』

『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。

現在、『日系企業リーダー必読』の購読企業は、世界ランキング500にランクインした日本企業を含む数十社にのぼります。

サンプルをお求めの場合、chenyan@jpins.com.cnへメールをください。メールに会社名、フルネーム、職務をご記入いただきます。よろしくお願いいたします。

メールマガジンの購読

当研究院のメールマガジンをご購読いただくと、当方の週報を無料配信いたします。ほかにも次のような特典がございます。

·当サイト掲載の記事の配信

·研究院の各種研究レポート(コンパクト版)の配信

·研究院主催の各種イベントのお知らせ及び招待状

週報の配信を希望されない場合、その旨をお知らせください。