研究院オリジナル 2024年10月前半、中国メディアの報道や評論は主に以下の中日経済関係の内容および日本企業について多く取り上げた。


意外!日本の普通のブランドが中国の中産階級の間で突然大人気に


今年以降、アウトドア・スポーツアパレルブランドのMontbellが中国の中産階級の間で突然人気に火がつき、日本と中国のMontbellの店舗には中国人があふれている。


実のところ、日本でMontbellはごく普通の手頃なブランドで、主な顧客は高齢者層であり、ベーシックで手ごろな価格を売りにしている。しかし、想像し難いことに、Montbellは突如として中国の中産階級からの愛顧を受けるようになった。


長い間、中国の中産階級にとってシンボル的なアウトドア・スポーツアパレルブランドはアークテリクス、Lululemon、ラルフローレン、サロモンなどだった。これらのブランドは価格が高く、一着のウインドブレーカーの価格が三、四千元もする。しかし、ここ数年、中国経済が不況になるにつれて、中産階級の人々も財布の紐が堅くなってきたとはいえ、良い品物を買いたいと思っている。しかし、あまりお金は使いたくない。そこで、Montbellが中産階級の目に留まるようになった。


Montbellのダウンジャケットは、使用している表面生地がアークテリクス同様、GORE-TEXだが、価格はわずか二、三千元で、アークテリクスよりもはるかに安い。Montbellはネット上で「アウトドアのユニクロ」、「アークテリクスの廉価な代替品」と呼ばれている。中国語メディアの報道によると、ある消費者は、「デカトロンの値段で、材質がアークテリクスと変わらないウインドブレーカーを買うことができる。他のブランドの羊毛50%の服は、一般的に千元以上するが、Montbellの服は羊毛80%で、わずか三、四百元だ」と語った。


Montbellはチャンスに乗じて、昨年北京で一気に7店舗も開店し、今年4月には上海で直営店を2店舗オープンした。Montbellの中国での販売価格は日本よりもかなり高い。爆売れしている「ストームクルーザー ジャケット」は日本の免税店での販売価格が800元前後だが、中国ではバーゲンセールの時期でも価格が1559元で、通常価格はさらに高く、なんと2999元だ。Montbellからすれば大儲けだ。


アナリストによると、Montbellのブレイクは、中国の中産階級における消費観念の変化を反映しているという。中産階級は今や盲目的に有名ブランドを追い求めなくなっており、むしろコストパフォーマンスに重きを置き出しているが、メンツを捨てる気はないため、Montbellといった「(高端平替)ハイエンドで価格が手頃な代替品」(平替とは「伝統的な評価方法を代替する新たな評価方法又はツールをもたらす者」という意味)は大きな人気を博している。


ブランドとして中国で大岩のような安定感を示すダイキン工業


10月9日、ダイキンにとって最大の空調生産基地である広東省恵州市博羅県のダイキン華南空調生産基地が正式に操業に入った。同基地の年間生産能力は30万台に達するという。同基地は昨年5月に着工し、家庭用エアコン、インバーターのプリント基板の生産基地および華南地区の販売センター、物流センターが建設され、生産・供給・販売の一体化経営が実現する。


艾肯網がしばらく前に発表した『2024上半期・中国中央空調市場報告』によると、ホームインテリア小売市場は、中国のセントラル空調市場の最も重要な部分の一つであり、2024年上半期、原料価格の上昇や不動産市場の低迷、市場の下降圧力の拡大といった要素の影響を受けて、ホームインテリア小売市場の規模は、2023年上半期より8%以上も縮小し、この4年間で最大の下げ幅を記録した。それにもかかわらず、ダイキンは20%以上の市場占有率を誇り、ホームインテリア小売市場で堂々と首位をキープし続けている。このことは、同社が長年にわたってホームインテリア小売市場のトップに君臨し続けることによって、その極めて強力なブランド力を顕著に示していることを意味する。


ダイキンがこれほどまでに輝かしい業績を収められている理由は、ある分析によると、技術と品質の面で業界をリードし続けていることに加えて、さらに同社が市場での困難に向き合ってきたことも関係している。同社は販売戦略を積極的に調整し、協力パートナーと密接に協働するだけでなく、さらに「ショールームでお会いしましょう」キャンペーンなどのイノベーション販売戦略を通じて、消費者の注目を集めている。同時に、ダイキンは市場ニーズに精通しており、顧客の家庭用空調システムソリューションに焦点を当て、除湿や外気導入など様々な機能を統合し、質の高い室内空気質に対する中国顧客のニーズを満たすことによって、自らの力でチャンスを勝ち取っている。


上海共創センター、パナソニックグループが中国という碁盤上で打つ戦略的な布石


10月9日、パナソニックグループの上海共創センターが正式に開業した。同センターの総オフィス面積は1万1000平米だ。今後、同センターはパナソニック傘下法人6社、職員750人以上を収容し、同社の中国で最大規模かつ業務範囲が最も広い機能的な本部となる。パナソニックグループによると、上海共創センターは“ONE Panasonic”の理念にのっとって、販売、IT、物流管理、財務、購買など様々な職能を担う企業および組織を結集させて、グループ内部の協働と共創および全面的な発展を促進することを目指している。


ある分析によると、パナソニックグループは長江デルタ地域に中国国内物流、金融、IT、国際購買、開発センター、電子部品および自動化装置販売などの機能の本部、自動車電子の中国統括本部を有しており、また同社の新エネルギー事業の重要な生産基地なども配置されているという。グループの側面から見ると、今後これらの部門間での相互協働はさらに効率が向上し、リソースの整理統合の強みが発揮され、それによって同グループは長江デルタ地域により腰を据えて、中国市場を深く開拓するように促されることだろう。


上海三菱エレベーターが反省すべき行き過ぎた大口顧客戦略


今年5月、上海三菱エレベーターの大株主である上海機電は、上海証券取引所の監督管理業務に対する返信において驚くべき数字を明らかにした。2023年末時点で、恒大集団および同社子会社は上海三菱エレベーターに対して17億5600万元も借りがあり、そのうち16億9100万元は滞留債権だ。上海三菱エレベーターは10億9600万元の貸倒金を計上する準備をしている。


最近のニュースによると、上海三菱エレベーターは別の不動産会社である绿地集団の関連会社を次々に起訴しており、大体110件の訴訟を起こしている。绿地集団はかつて上海三菱エレベーターにとって最大の得意先の一つで、2001年から2019年までの期間、绿地集団は上海三菱エレベーターから1万9000台のエレベーターを購入した。


2017年の頃、上海三菱エレベーターは書面で、我々は全国の「トップグループ」不動産企業の上位8社と戦略的な協力を結んだ!その中には恒大、绿地など有名な不動産大手が含まれていると自慢げに語っていた。はからずも、中国の不動産市場が後退の一途をたどっているため、これら不動産企業の一つひとつは上海三菱エレベーターにとって泥沼と化し、同社はそれらに落ち込んでしまった格好だ。


上海三菱エレベーターは自社の大口顧客戦略の方針が行き過ぎたために、これほどまでの大きな赤字を招いたのではないかと反省すべきだとアナリストは指摘した。

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