『必読』ダイジェスト 2024年3月13日の国務院通達「大規模設備更新と消費材の買い替え実施プラン(以下「プラン」)は「設備更新、消費材買い替え、リサイクル利用、基準のレベルアップ」の四大行動を提起している。長城証券公司が4月18日発表した研究レポート(以下「レポート」)は類似の政策の歴史的沿革を整理し、「設備更新」「消費材買い替え」は今年初めて持ち出された概念ではないが、「大規模」の文字が政策文書のタイトルに使われたのはここ15年来初めてのことである、との認識を示した。
レポートはプランの「設備更新」について分析を加え、以下のように関連政策が影響を与える産業分野を細かく列挙している。
1、都市更新、インフラ向上をもたらす建築材料、鉄鋼、非鉄金属、電力、環境等の産業。
プランは「建築と都市インフラ分野の設備更新の迅速化」を重点政策に盛り込み、新型都市化建設において、都市更新と老朽小区(コミュニティー)改造を緊密に融合し、以下の核心分野において更新、改造を行う、と提起した。
住宅エレベーター:現行の製品基準に符合せず、高度の安全リスクが存在する老朽住宅のエレベーターを優先的に更新する。
給水施設:浄水場および加圧貯水施設設備のレベルアップを推進し、水質と効率の向上を図る。
熱供給システム:熱供給計量改良を段階的に実施し、熱供給施設設備の全体的な更新を継続的に推進し、熱供給パフォーマンスを向上させる。
建築物の省エネ:外壁保温、ドア・窓、熱供給装置等を重点的に、既存の建築物に対して省エネ改良を行い、エネルギーの利用効率を高める。
ガスパイプライン:老朽化したガスパイプラインの更新し、ガスの安全・安定供給を確保する。
排水・ごみ処理:都市の生活排水・ごみ処理施設の欠陥部分の改修を急ぎ、弱点を補い、汚染抑制能力を高める。
都市のライフライン事業:地下パイプライン網、橋梁・トンネル、マンホールの蓋等のインフラのスマート化、IOTインテリジェント感知システムを配備し、動態観測と早期警報システム配備を実現する。
公共安全:重点公共地域、道路のビデオ監視システム等の保安設備の改良を急ぎ、都市の保安レベルと緊急対応能力の向上を図る。
2、新エネルギー交通手段と先進的な農業機械
プランは交通運輸手段のエネルギーのグリーン化推進と老朽農業用機械の更新・モデルチェンジを特に強調している。具体的に以下の事項を含む。
路線バスの電動化:新エネ路線バスを積極的に推進し、旧式新エネ路線バスと動力電池の買い替えを推進し、旧来のガソリン車使用を減少させる。
ディーゼルトラックの淘汰:国Ⅲ(国家ステージⅢ自動車汚染物質排出基準)およびそれ以下の排出基準に該当する営業運転用ディーゼルトラックの整理を急ぎ、大気汚染物質の排出を抑制する。
グリーン航空機器:電動化、水素エネルギー使用等の航空分野におけるグリーン技術の産業化能力を強化し、航空業界の排出ガス削減を推進する。
船舶のグリーンエネルギー化:老朽化、エネルギー高消費、炭素高排出船舶の廃棄・更新を急ぎ、新エネ動力船舶の発展の支援に力を入れ、例えば、電動、液化天然ガス、バイオディーゼル燃料、グリーンメタノール動力等を合わせて関連付帯設備、基準、ルールを整備し、新エネ船舶の応用シーンを開拓する。
農業用機械の更新:農業用機械の廃棄・更新、補助政策を継続し、農業生産需要と機械化の段階に応じて、段階的に旧式農機具の淘汰と更新を継続し、農業機械・装備の構造を最適化し、農業機械化のレベルアップと省エネ・排出ガス削減を図る。
3、先進教育および科学研究技術設備―――例えば、ロープウェイやゴンドラ、アミューズメント設備、ステージパフォーマンス設備等の文化・ツアー設備、医療ポートレート、放射線治療、リモート診療、手術ロボット等の医療装備。
レポートは今回の政策文書とこれまでの設備更新関連政策との比較を通じて、設備更新政策に対し、「支援が財政・税収、融資等の資金関連手段で具体化され、支援策は2016年、2022年に打ち出された政策に比べて力が入っている」との認識を示している。
効果はどうか?レポートによると、2009、2016、2022年3回の更新政策実施のプロセスを分析した結果、以下の点が明らかになった、としている。2022年を除いて、残り2回の更新サイクルにおいて、つまり2009年から2011年の間は財政刺激計画を伴い、2016年から2018年の「サプライサイド改革」政策は設備更新プロセスを力強く推進し、この期間中、生産能力の繁栄指数が普遍的に強靭な反発を観測することができた。
2024年3月15日、国家発展改革委員会(発改委)が発表した「大規模設備更新と消費材買い替えは当面の利益であるだけでなく長期的にも有益である」という一文は、次のように指摘している。今回の設備更新と消費材買い替えは5兆元の市場規模新設に相当する。従って、長城証券のレポートは今回の設備更新と消費品の買い替えのプロセスにおいて、「年平均規模が5兆元を上回る巨大市場がまさに形成されつつある」として、「関連各産業はさらなる高付加価値、さらなるグリーン環境保護、よりいっそうのスマート化の方向に発展し、投資増をけん引する原動力となる」と考えている。
(『日系企業リーダー必読』2024年5月5日の記事からダイジェスト)
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