『必読』ダイジェスト  遅くとも2019年から、中国社会の各界で、ある問題に関する議論が始まっていた。その問題とは、不動産が日に日に低迷するにつれて、どの産業が不動産に代わって中国経済の「エンジン」又は「原動力」の役割を担い、中国の消費や投資、輸出の成長を支えることができるかだ。この問題について、今のところはだれもが認める明確な答えがまだ出ていないが、ある研究機関は楽観的な見方を示している。


2023年10月末、米国の大手投資会社のKKRは『海外視察』(Thoughts on the Road)と題する報告を発表したが、同報告はKKRの関係責任者がこれまでに半年以上にわたって中国やシンガポール、日本などの東アジアの国々を訪問して、これらの国々の政策策定者(政府役人)や主要企業の最高経営責任者(CEO)、KKRの現地投資チームなどと面会して交流した後、専門チームが執筆してまとめたものだ。


報告によると、中国経済は今、モデルチェンジを進めており、その過程では試練も少なくないが、ポジティブな傾向が現れている。中国経済の新たな成長の原動力、つまり工業のデジタル化とエネルギーのモデルチェンジは、コロナ禍前と比べて明らかに盛んになっている。これら2つの分野の資本価値はそれぞれ中国経済の10%前後を占め、それぞれの年間成長率は40%以上だ。より重要な点として、中国はこれら2つの分野、特に電動自動車分野においてコストおよびリソースの優位性を有している。


脱炭素において、報告は、中国が「エコ」のためにいっそう努力し、生産するものについては、現在の電池や太陽光設備から環境に優しい鉄鋼やエコ石油化学品、繰り返し使える紙類に転換すると予想している。


報告は、上述の転換を推進する主要な力として「エコ融資」に、巨大な成長が見られ、市場規模は2018年の8兆9000億元から、2023年6月には30兆元に激増したと指摘している。


さらに、脱炭素と工業のデジタル化は互いに関係しているため、報告は、これら2つの分野は「エナジー効果」を生み出すことができると見ている。


総括すると、報告は、時の経過とともに、投資者は従来の不動産市場や製造業の製品輸出ではなく、これらの駆動要素についてますます活発に言及し、関心を示すという見解を示している。


報告では、KKRの研究チームの計算によると、2022年における「エコ経済」と「デジタル経済」の二大セクターの中国経済成長に対する寄与率は4.7%で、不動産業がもたらした3.7%のマイナス成長を帳消しにした。


上記の結論は楽観的すぎるのか?中国で一定の影響力を持つ太盟投資集団の共同創始者であり、常務取締役でもある単偉建氏は、2023年12月に米国の権威ある金融情報誌『バロンズ』(Barron's)に長編記事を発表し、中国経済の見通しについて論じたとき、KKRによるこれらの数字を特に引用し、さらに「中国は世界で四番目の産業革命を実施しており、即ちグリーンエネルギーやデジタル化、ロボット、AIなどの分野で先導者となっている。高速鉄道や一部の半導体のOEM生産を除いて、これらの業界の発展はみな民間企業が主導している。太陽光エネルギー、ドローンからロボットの設置に至るまで、中国は世界の市場シェアの半分以上を占めている」と指摘した。従って、単氏はKKRの報告の結論は、投資者が信用して採用し、また重視するに値すると見ている。


(『日系企業リーダー必読』2024年5月5日の記事からダイジェスト)

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