『必読』ダイジェスト  中国経済の成長が鈍化する「新常態」が進行するなか、多くの業界が規模を縮小し、戦略の変更を迫られている。しかし少なくとも増大し続ける分野が一つあり、成長が伸び悩む中国経済全体よりも活況を呈している。

ダウ・ジョーンズ(Dow Jones & Company)傘下のニュースサイト『Market Watch』が3月14日付で報じたところによれば、中国の人口高齢化のスピードは速く、アンチ・エイジング用の化粧品から老人ホームに至るまで、高齢者を対象とするサービス産業が雨後の筍のように生まれている。

その老齢人口はいったいどのくらいの規模で、その市場機会はどれほどのものなのか。

中国の人口は、2023年、2年間連続で減少し、出生率は史上最低を記録した。中国の子育て費用は先進国に比べて何倍も高く、そのため中国人の多くがもはや子供を持つことを望まなくなっている。

前世紀の1950年代から1979年にかけては中国共産党による一人っ子政策はまだ実施されていなかったため、そのころの中国の世帯はみな比較的大家族であった。当時、その大家族の子供だった人々は現在、50〜60歳代、もしくは70歳代になっている。

中国人の寿命も以前に比べてずっと長くなった。中国人の平均収入は米国の三分の一程度だが、平均寿命は78歳で、米国人より2年ほど長い。

中国国家統計局の最新データによると、中国の60歳以上の高齢人口はすでに3.3億人に達しているという。こうした状況に鑑み、中国政府は「シルバー・エコノミー」の発展を呼びかけている。

前出『Market Watch』は、今年、中国のアンチ・エイジング市場の規模が150億ドルに達すると予測する。しかし、これだけではその重要性を十分に説明できない。というのもアンチ・エイジング製品の追求はその他の商品の販売に影響を及ぼすからだ。関連報道は米国消費者報告書がアメリカの消費者分析企業『China Skinny』が行った追跡レポートを引用し、「2020〜2022年に中国でアンチ・エイジングを謳う商品の販売額が3倍に増加した」と伝えている。

レポートは、「アンチ・エイジングはプレミアムがついた商品効果の一つであり、この種の商品はその市場地位に比べて常に高い売り上げを達成してきた」と指摘。

さらに重要なのは、中国の高齢者の消費観念が変わりつつあるということだ。レポートは『China Skinny』の担当責任者の言葉を引用し、「第二次世界大戦後における欧米のベビーブーム世代と異なり、中国の老齢世代は貧しい時代を経験しているため、勤倹節約を心掛けている人が多い。ところが現在、この傾向が徐々に変化しつつあり、主にコロナ禍の影響を受けた高齢世代が積極的にインターネットを利用し、オンライン・ショッピングやソーシャル・コマースの影響を深く受けている」と指摘。さらに「消費主義と共に育ってきた幾つかの世代が高齢化するにつれ、中国の高齢者の消費傾向を強化する役割を果たしている」と述べる。

それでは、高齢の消費者ニーズを満たすことで恩恵を受ける業界にはどこにあるのか。『China Skinny』の調査によれば、健康食品、医療機器、医療サービス、アンチ・エイジング効果を謳う食品や飲料、調味料、さらにはスキンケアや美容製品、ペットフードなどがそれに当たる。また旅行業界においても、熟年旅行客向けサービスやパック旅行が市場で売り上げを伸ばしている。

『Market Watch』が伝えるところによれば、米国と同様、中国の一部の老人ホームは自前の商店やアクティビティ施設を有するコンパクト・シティとして発展途上にある。こうしたコンパクト・シティの建設と運営には、有望な市場価値があることを意味していよう。

(『日系企業リーダー必読』2024年3月20日の記事からダイジェスト)

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