『必読』ダイジェスト 2月23日、中央財経委員会の第四回会議(以下、「会議」と略す)で、大規模な設備の更新や消費財の買い替えの問題、社会全体の物流コストを効果的に削減することの問題についての研究が行われたが、市場は一様にその取り組みを新たな「買い替え(以旧換新)」と呼んだ。昨年末の中央経済活動会議で、「大規模な設備の更新や消費財の買い替えを促進し、社会全体の物流コストを効果的に削減する」ことがすでに提起されていた。中央経済委員会の会議ではこれらの問題が再び取り上げられたが、それは具体的な政策や措置が速やかに実施される見込みがあることを意味している。

具体的に言うと、今回の政策が対応する範囲は主に以下を含む。一、各種生産設備やサービス設備の更新と技術改良の促進。二、自動車や家電など既存の消費財の買い替えを奨励し、中央財政と地方政府の連携を要求すること。三、大規模な回収・リサイクル利用を推進し、「更新+回収」の物流システムと新たなモデルの発展を強化すること。四、社会全体の物流コストの削減。

今回の政策には経済を刺激するという明らかな動機が存在するため、時を置かずに一連の業界に対する支援が設けられることだろう。

生産:設備の更新と技術改良

生産において、会議では設備の更新と技術改良が提起されたが、その重点は技術やエネルギー消費、排出などの基準引き上げをけん引として、製品構造の最適化を行い、消費者製品の更新とアップグレードのニーズを満たすことだ。タイドローンや税収面での優遇、財政利息補助サポートなどの方式で、企業による設備更新と改良の強化を奨励することが予想される。

2023年3月、国家発展改革委員会などの部門が発表した『省エネと炭素削減およびリサイクルの統括によって重点分野の製品・設備の更新と改良を加速することに関する指導意見』は、ボイラーやモータ、変圧器、クーラー、照明、家庭用電気製品など6つの製品および設備を対象にしたものであり、2025年までに、重点分野における製品・設備の更新と改良およびリサイクルの推進を統括することによって、効率の高い省エネ製品・設備のシェアをいっそう引き上げることを提起している。光大証券の研究報告によると、今回の設備の更新および技術改良は、これら6つの製品および設備を重点的に網羅したものになる見通しだという。

しかし、広発証券の研究報告では、中国企業が以前に幾度も行った大きな設備投資(例えば、2004〜2008年、2010〜2011年、2018年、2021〜2022年)はいずれも生産能力の利用率が高い時期に行われたが、今は生産能力の利用率が歴史的低水準にあり、「論理的に言って、生産能力の利用率が高くない状況の中、設備の更新によって生産率がより高い生産能力が導入されたら、供給が需要をいっそう上回ってしまう」。同報告は含みを持たせた言い方で、現在進められている設備改良および技術更新は、短期間内で経済を刺激するという任務の完遂を目的としているが、長期的には関連業界の生産能力の過剰を深刻化させると指摘している。

消費:家電や自動車の買い替え推進

消費においては、買い替え政策を通じて、自動車および家電の潜在的な買い替えの需要を引き出すことによって、業界在庫の消化を助けるだけでなく、製造業のハイエンド化やスマート化、エコ化の発展推進を後押しする。

2009年から2013年までの期間、中国は大規模な消費刺激策を講じたことがあったが、それは自動車および家電の買い替え政策に関連したものであり、中央財政による補助金がメインだった。

家電においては、2009年から2011年まで、中央財政が各地で計上した家電の買い替えの補助金は総額約300億元で、全国における家電の新旧入れ替えで売れた五大品目の新しい家電の台数は9248万台で、3420億元以上の直接消費をもたらした。家電および資源利用に関連した協会の概算によると、家電の新旧入れ替えに携わった雇用者数は40万人以上で、そのうちの約70%以上は出稼ぎ農民や都市の失業者であり、就職の機会を効果的に拡大することができたという。

自動車においては、車両購入税の減免や自動車の農村部への普及、老朽車両の廃車・買い替え補助、省エネ車両購入補助などが刺激策に含まれている。刺激効果から見ると、2009年から2017年まで、中国の自動車販売市場は持続的に急速な成長を遂げ、新たに登録された民間用自動車の台数は年平均15.5%増加した。

2019年から2023年まで、中央政府の複数の部門が数回にわたって家電および自動車の買い替え政策を打ち出した。前回の中央政府が主導した買い替え政策と異なるのは、2019年以降の数回の実施では、中央政府が打ち出した政策による指導や地方政府(中央財政ではない)による支援、企業が自発的に活動するという特色が発揮され、主に消費者のアップグレードの需要によるけん引を受けたことだ。

2月23日の会議で提起された買い替え政策では、主に「中央財政と地方政府の連携の堅持」が提起され、中央政府は適切な財政補助措置を行うことによって、家電および自動車の買い替えの需要を引き出すことが予想される。

現状を見ると、中国の家電および自動車市場はもはや「増加と在庫のどちらも重視される時代」に突入しており、家電および自動車の廃棄台数は近年、徐々に増加傾向が見られる。中国商務部のデータによると、2023年、全国の自動車保有台数は約3億4000万台で、冷蔵庫や洗濯機、エアコンといった主要品目の家電保有台数は30億台を超えており、一部の家電はすでに10年以上使用されているため、買い替えの需要と潜在性はとても大きい。20年で5%の廃棄率で計算すると、2023年の全国における自動車の廃車台数は1680万台に達する。この他に、国家発展改革委員会のデータによると、2020年の全国における家電の総廃棄台数は約1億3700万台で、2022年の廃棄台数は2億台を超えることが予想されており、家電の廃棄台数も増加期にある。

今年1月に招集された省級の「両会(人民代表大会と政治協商会議)」では、多くの省が次々と買い替えや自動車、家電などのコモディティ消費に言及し、今後は関連政策が速やかに推進される可能性がある。

流通:社会全体の物流コストの削減

物流業は生産と消費を結んでおり、国民経済の循環をスムーズにするうえで重要な役割を担っている。社会全体の物流コストを削減することは、産業構造の調整や地域における調和のとれた発展の促進、経済発展の新たな原動力の育成、国民経済の全体的な運営効率の向上にとって重要な意義がある。

近年、中国における物流の運営効率は上昇し続けているが、物流網全体における運営効率は低く、コスト高の問題も依然として顕著である。2023年、社会物流の総費用がGDPに占める比率は14.4%で、2022年同期より0.4ポイント下落した。しかし、先進国と比べると、中国における社会物流の総費用がGDPに占める割合は依然として相当高く、米国や欧州、日本、アセアン10カ国はそれぞれ大体で7%、6%、5%、10%だ。

2023年、物流の総費用は18兆2000億元、そのうち輸送、保管、管理の費用はそれぞれ9兆8000億元、6兆1000億元、2兆3000億元で、輸送費用が占める比率が最も高く、また2021年以降は上昇が明らかに加速している。輸送方式では、道路輸送が占める比率が最も大きく、費用も最も高い。しかし、エネルギー消費が低く、コストも安い水上および鉄道輸送が占める比率は低い。それゆえ、今回の会議では、輸送構造の最適化を図り、「道路から鉄道への転換」や「道路から水上への転換」を強化することによって、総合的な輸送コストを削減し、企業が利益を上げる余地を拡大することが提起された。

(『日系企業リーダー必読』2024年3月5日の記事からダイジェスト)

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