『必読』ダイジェスト 在中国華南米国商会(AmCham China)が2月27日に明らかにしたレポートによると、調査に応じた企業の66%が2023年に再投資(中国で得た利益を再投資)を実施したが、その規模は前年同期比14ポイント減少している。2019年から2022年までの4年間に中国で再投資を行った企業の割合は、それぞれ78%、74%、79%、80%だった。
同商会のハーレー・セアディン(Harley Seyedin)会長は同日のブリーフィングで、「こうした状況にもかかわらず、中国から完全に撤退する企業はなかった」ことを明らかにしている。「調査対象企業は中国で比較的に高い投資収益率が得られると考えている」とも述べた。レポートによれば、対象企業の88%が中国で利益を上げ、そのうち46%の企業は利益が予想通りだったという。
在中国華南米国商会は1995年に設立された非営利団体であり、中国南部地域最大の外国商工会議所でもある。同会議所は2023年10月9日から12月31日までの期間、会員企業を対象に調査を実施し、最終的に183社が回答を寄せ、これに基づいて「2024年華南地区経済状況特別レポート」(以下、「レポート」と略称)を作成した。
調査対象企業の49%が米国企業で、26%が中国本土、その他の国や地域からの企業が25%だった。そのうち、外資の独資企業は半数以上を占め、中国企業は約4分の1だった。対象企業の7割以上は中国での事業展開が10年を超えていることから、同レポートは中国で成熟した事業経験を有する企業の動向を代表しているといえよう。
同レポートによれば、米国企業の中国での再投資率の下落が最も大きく、2023年に再投資した企業はわずか57%にすぎず、前年同期比19ポイント減少した。
中国国内の感染症対策は、2023年に解除された。国家統計局の初歩的な集計によると、同年、中国のGDPは前年同期比5.2%増えた。しかし3年間にわたった感染症の影響で、中国経済は現在も回復途上にある。セアディン会長は27日のブリーフィングで、調査対象企業は中国投資に「慎重且つ楽観」の態度を維持しつつも、現状、投資計画は全般的に下落傾向にあることを明らかにしている。
同レポートによれば、対象企業の4割は向こう3年間に投資を増やす計画はない。この割合は前年同期比で9ポイント上昇し、過去最高となった。中国投資を首位に位置づけた企業の割合は39%で、これも前年同期比1ポイント下落している。
対象企業の対中投資額も大幅に減少した。セイディン会長によれば、向こう3〜5年間に予定される再投資の総額は約109.5億ドルで、これは2022年末の調査結果から40.15%も減少した。
セイディン会長はまた、「いかに慎重であっても外資系企業は依然として中国市場に関心を抱いている」として、コンサルティング会社の調査結果を引用し、「現在、外資系企業は中国のGDPの33%に貢献し、雇用の27%を創出している」と指摘。
国際市場で中国は依然として競争力を有している。調査対象企業の62%が、現状では中国以外の国や地域への投資を考えてはいない。そのうち、中国からの撤退を考えていないという企業の比率は米国企業が最も高く、66%に達している。
レポートによると、調査対象企業の中美関係に対する信頼は2019年から2023年までの間に「V字型」の反発を見せている。2023年には調査対象企業の44%が、向こう1年間の中米関係に対する態度は楽観的なものとなり、これは前年同期比17ポイントもの大幅な向上であり、記録をとり始めて以来の最高値となった。
セアディン会長は、「世界最大の2つの経済体の積極的な対話、特に2023年11月に開かれたサンフランシスコ首脳会談はビジネス界と米国、中国、そして世界各地の投資家に新たな自信をもたらした」と述べつつも、「しかし、米国企業は過去も現在も両国の関税政策の最大の被害者だ。両国政府は経済貿易関係の再構築に取り組む時が来ている」と指摘した。
(『日系企業リーダー必読』2024年3月5日の記事からダイジェスト)