研究院オリジナル 2024年3月後半、中国メディアの報道や評論は以下の中日経済関係の内容や日系企業について多く取り上げた。
規制の中、ニコンはどうやって中国の露光装置市場を開拓しているのか?
しばらく前に、中国の経済メディアの『第一財経』がニコン・半導体装置事業部の森田真弘部長を取材した。森田部長は取材時に何度も中国が非常に大きな市場であることに言及し、中国の顧客は毎年増加していると語った。業界関係者によると、ニコンは今、中国でトップの新エネルギー自動車ブランドに露光装置を供給している。
これまでずっと、露光装置は中国にとって「ボトルネック」の技術であり、米国はオランダや日本などの露光装置メーカーに対して多くの輸出制限を課したが、中国の強大な市場ニーズは、これらの企業が引き続き米国による制限の枠を超えるように動かしており、ニコンはその活動が最も活発な企業の一つだ。
日経の中国語サイトの報道によると、ニコンの徳成旨亮取締役兼副社長は、同社が中国の顧客から熱心な問い合わせを受けており、いずれもニコンから露光装置を購入したいという内容だったと語った。そこで、ニコンは「規則を遵守すると同時に業務を拡大する」ことを決定した。どうやって取り組むのか?ニコンの戦略は新しい露光装置を発売することであり、今回販売する露光装置は規制の要求を満たすべく最先端の技術の使用を避けながらも、中国の顧客を満足させる仕上がりになっている。
昨年、ニコンは中国市場向けに新型のI-line露光装置を発売することを発表したが、今回の露光装置は、ニコンとしては25年ぶりとなる大きな技術的進展を体現したと宣伝されたが、その技術規格は非常に意外なものであり、250nmチップの製造にしか対応していない。覚えておくべき点として、現在の国際的に主流の露光装置技術はすでに250nmの水準をとっくに超えており、中国も90nm露光装置の製造技術を備えている。
業界内のある見解によると、ニコンにとって、中国に露光装置を発売することは非常にデリケートなことであるため、米国から疑いの目を向けられないようにするには、技術を非常に低い水準に下げる必要があり、250nm製造プロセスは技術的にかなり遅れているとはいえ、中国のような巨大なチップ消費市場では、ミドル・ローエンドの需要量も同様に巨大だ。同時に、この露光装置は未公開の新機能や技術的長所を備えている可能性があり、少なくとも中国の顧客の間にはこのような潜在的な期待が存在している。
この他に、ニコンは2024年、中国向けに初めて炭化ケイ素のウェハにエッチングを行う露光装置を発売する計画だ。近年、自動車の新エネルギー化の波が発生するとともに、炭化ケイ素の半導体が自動車の電子分野に登場する頻度も高くなっているため、世界最大の新エネルギー自動車国家として、中国はニコンのこの露光装置を中国市場向けにカスタイマイズすることだろう。
ローソンが山東省における1000店の新規出店計画を加速
3月20日午前、ローソンは山東省済南市で17店舗を同時オープンさせた。この日、ローソンは中国進出以降、最多となる同時出店数を記録した。これより前に、ローソンは山東本部の設立と現地小売企業「宜快宜慢」との戦略的提携の締結を発表した。ローソンは今後数年以内に1000店の新規出店を計画している。この計画はローソンが中国華北の市場に深く入り込む上で重要なステップであり、また同社が掲げる2025年までに中国で1万店舗出店するという目標実現の一部でもある。
今回、ローソンはこれまでと同様に現地リソースと協力するモデルを採用して、済南市で17店をオープンしたが、直営店はわずか1店で、他の16店はみな現地小売企業「宜快宜慢」との提携で出店した。宜快宜慢は豊富な店舗リソースと成熟した運営管理チームを有するが、ローソンはブランドとサプライチェーンの面で優位性があり、つまりこれは双方の優位性による相互補完だ。
中国チェーンストア経営協会(CCFA)が発表したデータによると、ローソンは2022年に中国コンビニ店舗数ランキングでベスト5に入った唯一の外資ブランドであり、2023年末時点で、ローソンの中国国内店舗数は6330店を超えており、この数字は世界の総店舗数の三分の一に迫るものだ。
日本の水産大手が中国で介護食品市場を開拓
中国国家統計局のデータによると、2021年末時点で、65歳以上の人口が2億5600万人に達した。2035年には、4億人が満60歳以上になり、全人口の30%を占める見込みだ。中国の高齢者人口が急速に増加している中で、水産大手のマルハニチロは介護食品市場の需要が次第に大きくなってきていることに気づき、同社は今まさにこの成長を続ける市場を積極的に開拓している。
マルハニチロはしばらく前に発表した中期経営計画で、中国と日本の2つの介護食品市場に首尾よく浸透するために500億円を投じる予定であることを明かした。
マルハニチロの研究によると、現在の中国では高齢者や咀嚼および嚥下機能が弱っている人にとって食べやすい食事を提供している病院が非常に限られているため、家庭用介護食品を含む中国の介護食品市場の需要は急速に拡大すると見られる。それゆえ、同社は合弁会社の煙台ニチロ大食品および他の協力パートナーとの全面的な協力を通じて、シリーズ商品の「捷戸良品」を発売し、同シリーズは約20種類の商品ラインナップが用意されている。同社の計画では、都市部での業務発展に尽力し、病院・介護機関・家庭向け介護サービス事業者の3つの販売経路に重きを置く。マルハニチロは今後5~6年以内に中国市場における自社の介護食品の売上が日本の市場と同じ水準にまで増加すると見込んでいる。
家庭用ロボット・LOVOTが世界市場進出の第一歩として上海に出店
今年2月、ロボット開発会社のGROOVE Xが製造した家庭用ロボット・LOVOTの実店舗が中国上海市に開設された。上海の同店はGROOVE Xが初めて日本以外の地区に設けた店舗だ。
現在の中国は世界でも高齢化のペースが最も早い国であり、さらに上海は中国で高齢化のペースが速い方の都市だ。統計によると、2022年末時点で、上海全体における60歳以上の戸籍上の高齢者数は553万6600人で、戸籍上の総人口に占める比率は36.8%だ。生存および生活のニーズ以外に、精神や感情のニーズがシニア層の間で大規模に発生している。独居老人が多いことや増加し続けている感情面での付き添い介護を求める声、一定の消費力があること、これらはみなLOVOTが上海に狙いを定めた要因だ。
日本の飲料ブランドは長期的な思考で中国市場での競争に勝利
競争が熾烈な中国市場で、大塚製薬のポカリスエットや伊藤園の茶飲料、ヤクルトの乳酸菌飲料は長きにわたって主導的な地位を占めてきた。最近、中国のソーシャルメディアに掲載された文章では、日本の飲料ブランドが中国市場で成功した要因についての考察が行われ、また中国企業と比較して、中国企業に対する批判がなされた。
その記事によると、これら日本のブランドが中国市場で成功を勝ち取ることができたのは、これら企業の製品がより優れていたからだけではなく、さらに大きな要因としてこれらの企業が市場で自社の信念を貫いてきたことにある。例えばポカリスエットの広告は常に青色で、青春を基調にしており、ヤクルトは87年間ずっと一つの製品だけを生産してきた。そして伊藤園は27年間にわたって茶の広告を続けてきた。これら企業が見せる執着と信念は頑固に見えるが、実はこれら企業の成功のカギとなっており、それによって日本のブランドは中国市場で少しずつ自社特有のイメージを確立することができている。この伝統の堅守や不変のブランド理念のおかげで、これらの企業は市場での競争において最終的に勝者となった。それに引き換え、中国のブランドは市場で、常に目先の成功や利益を得ようと焦って、急速な商品の入れ替えや広告攻勢に走るため、消費者からの反応も同様に短期的なものとなり、ブランドイメージやブランドロイヤリティを形成することができていない。