『必読』ダイジェスト ロイター通信、AFP通信、香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』サイトの2023年11月13日の報道を総合すると、ある最新レポートによれば、「中国の今年の炭酸ガス排出量は増加を続けているが、新型低炭素エネルギーが記録的に増加したことで、2024年の二酸化炭素排出量は‟構造的減少”の段階に入ると見られる」という。
報道によると、フィンランドのエネルギー・空気清浄化研究センター(CREA)の最新の分析において、2023年の中国は太陽エネルギー、風力、水力、原子力発電量は2022年のほぼ2倍に達すると見込んでいることを示している。同センターの推計によると、今年の新規増加クリーンエネルギーから生産された電力は、予想した通年電力需要増加量にほぼ相当する。
中国は世界最大の温室効果ガス排出国であり、当面、2060年のカーボン・ニュートラル実現を目標に掲げている。国際エネルギー機関(IEA)は2023年から2050年の間に中国の炭酸ガス排出量は全世界の現有化石燃料の45%を占めると見込んでいる。しかし、上述のCREAのレポートは中国が驚異的なスピードで再生可能エネルギー発電能力を拡大し続けていることを示している。
また報道によると、CREAのチーフ・アナリストでレポートの筆者であるラウリ・ミルヴィエルタ氏は次のように分析している。「中国の低炭素エネルギーの拡張の速度は同国の総体的電力の年平均需要増を初めて満足させるにとどまらずそれを上回るようになっている」
さらに同氏は次のように分析している。「化石燃料関連の利益が風力、太陽光発電の生産能力の拡大を邪魔しなければ、低炭素エネルギーは2024年以降、絶えず増加する電力需要を満し、これによって、化石燃料使用、関連する炭酸ガス排出量の長期的な構造的減少を推進するだろう」
しかし、関連報道は「中国は依然として化石燃料生産能力を拡大している」と指摘。ここ数年、一部地域で停電が発生し、エネルギー安全保障に対する配慮から、中国は引き続き化石燃料生産能力を推進している。CREAのデータによると、第1四半期と第2四半期の排出量が上昇したのに続いて、第3四半期も前年同期比で増加が続いている。
同センターは統計データや関連報道を引用し、「コロナ禍の影響を受けていた産業界の電力需要にリバウンドが見られるのに伴い、電力業界の化石燃料使用は第3四半期の炭酸ガス排出量上昇を推進する要因となった」と分析。
ミルヴィエルタ氏はレポートに次のように記している。「今年、炭酸ガス排出量がまた上昇した理由は予見可能であり、最も重要かつ明らかなのは約3年間のコロナ禍の後、石油需要がすでに底を打ち、上昇に転じたということだ」
しかしCREAは次のように指摘する。「中国は経済減速時期にインフラ整備を拡大するというこれまでのような手法を繰り返してはおらず、これは将来的に電力需要が減速する可能性を意味している」。またレポートは「もし、非化石エネルギー生産がさらに拡大すれば、化石燃料発電量は引き続き減少するだろう」と指摘している。
(『日系企業リーダー必読』2023年11月20日の記事からダイジェスト)