『必読』ダイジェスト 2023年に入ってから、青年失業率は高止まりしている。4月と5月は、データのある2018年以降の最高値を記録し、国内外のメディアの注目を集めている。中国社会科学院金融研究所が11日に発表した2023年第2四半期の「中国マクロ金融分析」報告書(以下、「報告書」と略)には、青年失業率について書かれたリポートが収録されている。

青年失業率が上昇した理由について、報告書は「2021年以降、教育・研修、不動産、インターネットプラットフォームなど特定の業界の規制政策が集中的に打ち出され、業界の発展を規範化すると同時に、雇用にも一定の影響を与えた」と述べた。この表現は厳しい口調ではないが、非常に率直だ。

「報告書」によれば、『中国勤労統計年鑑』(中国国家統計局編)のデータに基づき試算したところ、2023年第1四半期末時点で、教育業界、不動産業、建設業の失業者は計570万8000人余りで、2019年より240万5000人余り増加し、うち青年は67万人増加したという。2023年に教育業界の失業者163万5000人近くのうち、青年失業者が占める割合は半分以上の82万2000人に達し、2019年より60万人増えた。全体の割合を見ると、教育業界の青年失業者の割合が比較的高く、青年失業者全体の13%に達した。

「報告書」はインターネットプラットフォーム業界の失業者データには言及していない。しかし実際には、この業界の就業者は青年や高学歴者が多く、2021年初めに締め付けがあってから、人員削減のようなうわさはSNS上でしばしば目にするようになり、アリババ(阿里巴巴)、テンセント(騰訊)、京東など多くの有名インターネット有名企業も対象になっていた。

「報告書」は、中国の経済成長率の低下、高等教育課程の設定と教育メカニズムが市場のニーズにいち早くマッチできていないことが、若者の失業率が高くなっている、その他の二つの大きな原因だと指摘する。だが、「この二つの大きな原因はここ2年で出てきたものではなく、すでに何年も続いていることは明らかだ。だから、今年に入ってから青年失業率が上がったのは、こうした政策の影響がほぼ最も主要な原因であり、さらに言えば、唯一の理由と言えるだろう」というネット上の指摘もある。

北京大学国家発展研究院経済学副教授の張丹丹氏は17日、『財新網(ネット)』に掲載した文章で、次のように述べた。「まず、ある研究によると、労働市場に初めて参入した時に雇用市場が低迷していれば、将来の発展と長期的な福祉水準に著しいマイナスの影響を及ぼすことが明らかになっている。次に、青年は犯罪の主体であり、彼らの深刻な失業問題は犯罪率の上昇を招きやすく、社会の安定に悪影響を及ぼす。最後に、中国の青年失業率はもはや他の主要国よりはるかに高くなっている。2023年4月現在、EU(欧州連合)諸国の青年失業率は14.3%、英国11.3%、米国と韓国6.5%、日本の青年失業率は5%前後だ。コロナ後、欧米諸国の青年失業率は低下し続けているが、中国の青年の失業率だけが高くなっている。このような国際比較は高学歴青年層の挫折感を強め、社会への恨みを刺激する恐れがあるため、この問題には政策立案者が速やかに高い関心を寄せる必要がある」

学者が指摘するまでもなく、中国政府はこの件についてかなり緊張しているに違いない。青年、とりわけ高学歴の青年の失業率が高くなることは社会の安定に直接的な脅威となるからだ。そのため、李強国務院総理が最近、複数のインターネットプラットフォーム企業の幹部らと会見したことで、国際メディアは概してこの動きを「北京が2年間におよぶIT業界に対する厳しい抑圧を終わらせる準備をしていることを意味する」と広く受け止めた。この会見が行われたのは、国内外の投資家に投資を奨励するシグナルを送るだけでなく、インターネットプラットフォーム業界が活気を取り戻し、それによって大卒者たちにより多くの就職先を提供することへの期待も、李強総理のもう一つの主な動機だったに違いない。

(『日系企業リーダー必読』2023年7月20日記事からダイジェスト)

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