研究院オリジナル 2023年10月前半、中国メディアの報道や評論は主に以下の中日経済関係の内容および日系企業について多く取り上げた。

中国でのユニクロの業績が2023事業年度に過去最高を記録

10月12日、ユニクロの親会社であるファーストリテイリングは2023事業年度の財務報告を行った。2022事業年度、中華圏におけるユニクロの売上高は前年比1.2%の微増だったが、営業利益は前年比16.8%減だった。しかし、2023事業年度は、中華圏での売上高が15%増の6202億円に達し、過去最高を記録した。営業利益は1043億円で、前年比25%増だった。

アナリストは、中国市場の成長は、製品設計の変更や販路のさらなる拡張、商品価格の値上げ、中産階級における消費のダウングレードなど多方面の要素により促進されていると見る。ユニクロに見られる比較的に顕著な変化は、流行に合わせた商品の比率が明らかに増加したことだ。今年上半期、国内におけるアパレル消費の回復は予想を下回ったが、その一方でユニクロの商品は中国の消費者、特に若年層の間で爆発的に売れた。

注目に値する点として、ユニクロは今年も中国で引き続き年間80から100店舗のペースで新店舗をオープンさせているが、今年8月末時点で、中国におけるユニクロの店舗数は1031店まで増加したとはいえ、グループの業績に対する中華圏業務の貢献率は下がっている。財務報告によると、中華圏におけるユニクロの売上がファーストリテイリングの総売上高に占める比率は、2021事業年度から2022事業年度にかけて約25%から23.4%に減少し、2023事業年度には、その比率がさらに1%低下し、22.4%まで下がった。

アナリストは、近年の地政学的要因などにより、ユニクロは中国市場での戦略に対してより慎重さを期しており、リスク分散の角度から、成長戦略において欧米やアジア太平洋の他の市場に重点を置きつつあると見ている。

トヨタ中国がモデルチェンジを加速

業界では一般的に、トヨタは電動自動車の分野で保守的な戦略を取っているため、中国のライバルにすでに大きく水をあけられていると思われている。しかし、あるメディアはトヨタが今、中国で急速にモデルチェンジを進めており、今後巻き返しを図る可能性さえあると見ている。

数年前、トヨタが将来的に全固体電池を販売することを発表した頃、中国ではかなりの人々がトヨタの発表を中身のないガセネタと嘲笑し、中国の電池最大手・寧徳時代の首席科学者である呉凱氏でさえも公に懐疑的な態度を示した。10月12日、トヨタは石油大手・出光興産と提携して全固体電池を共同開発し、2027年から2028年までの期間に全固体電池の商業化を実現するという計画を発表した。トヨタの全固体電池がひとたび量産されれば、一気に無双状態になり、ライバル他社を一気に抜き去ることが可能だ。

今回のトヨタの動きは、電動化へのモデルチェンジだけを対象にした技術的取り組みではない。今年4月、トヨタ中国は全面的なスマート化、電動化へのモデルチェンジ戦略を発表し、中国で独自開発した製品を世界中に普及させることを目指し、それを戦略において最重要事項に位置付けることを明らかにした。今年8月、トヨタ中国の開発センターの名称がトヨタスマート電動自動車開発センターに変更された。

スマート化において、トヨタ中国は小馬智行と提携して無人運転自動車を発売することに合意し、Robotaxiの商業化に道筋をつけることを目標にしている。現在、レクサスRX、シエナをベースにした約200台のRobotaxiを北京、広州、深セン、上海で自動運転モビリティサービスに提供している。その中でも北京と広州では、すでに完全無人自動運転の試験運営ライセンスを取得している。今年8月、広汽トヨタは小馬智行と合弁会社を設立し、自動運転タクシー関連の事業を展開することに合意した。

電動化においては、トヨタのハイブリッド自動車、純電動自動車および水素燃料自動車という「三本の矢」による戦略を打ち出している。トヨタは今年4月に開催された上海モーターショーで、水素燃料エンジンを搭載したCOROLLA CROSSH2CONCEPTを発表した。トヨタは北京億華通科技と双方50%出資して華豊燃料電池有限公司を設立し、同社は来年4月から北京の生産基地で生産に入る見通しだ。華豊燃料電池は中国で、さらに水素燃料電池の使用を商用車だけでなく、乗用車にも拡大する計画を立てている。

純電動自動車の方面で、トヨタの主力であるbZシリーズは現在bZ4、bZ3などのモデルがすでに発表されている。来年にはさらに2つのニューモデルが中国市場に登場する見込みだ。ハイブリッドでは、トヨタのハイブリッド動力技術はすでに第5世代スマートハイブリッドまでグレードアップが図られている。

TURING社と中国企業が共同で日本市場向けに自動運転自動車を製造

10月8日、北汽藍谷の完全子会社である北汽新エネルギーはTURING社と正式に業務提携合意書に調印し、双方は日本市場向けに高級路線のスマート運転製品を提供することで合意した。合意書によると、双方初の協力によるモデルはARCFOX アルファSをベースに、TURING社が日本市場のモビリティ需要を満たすべくスマート化の改良を行っており、計画では2024年に日本市場で販売されるという。TURING社は、2030年に1万台の全自動運転電動自動車を量産し、自動車メーカーの仲間入りを果たす計画を立てており、現時点で資金調達総額は15億2000万円に達している。北汽藍谷は北汽集団に属し、中国で初めて新エネルギー自動車の生産資格を獲得した企業であり、ARCFOXシリーズは同社傘下の高級ブランドだ。

理研化機工業は常州に生産センターを設立予定

最近、理研化機工業株式会社の平木健介社長は、常州を訪れて中国企業の経営状況を把握した。常州市は中国の新エネルギー自動車製造、動力電池の産業拠点であり、今年上半期、常州市における新エネルギー自動車の生産台数および販売台数はそれぞれ27万1900台、27万1000台に達し、前年比でそれぞれ130.2%、138.8%増加した。

平木社長は、自動車部品製造の専門企業として、理研化機工業は常州における新エネルギー都市の建設から新たなチャンスをつかむことができるという考えを示し、「我々は今後、常州工場の生産範囲をさらに拡大し、同工場を理研グループの生産センターにする」と語った。

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