『必読』ダイジェスト 米Automotive Newsは6月25日、最新の世界自動車部品メーカー上位100社ランキングを発表した。同ランキングは前年度の部品メーカーの売上高の数字に基づいて順位をつけたもので、毎年発表される。これは最も権威ある世界自動車部品メーカーランキングと認められている。
完成車メーカーの激しい競争に比べ、自動車部品メーカーはTo B業界であり、比較的安定した競争が繰り広げられている。長期にわたって激しい変化はなかったが、2023年に発表された最新のランキングでは大きく変化した。今回発表されたランキングで順位を落とした企業は52社と半数を超えた。昨年のランキングのうち順位が下がった企業は27社で、今年の半分に過ぎなかった。
この現象の主な原因は、新たにランクインした企業の順位が著しく上昇するとともに、ランキング内の少数の電動化、インテリジェント化の恩恵を受けた企業の順位が大幅に上昇したことで、ランキング内の大部分の企業が順位の後退を余儀なくされたことにある。
例年トップ20にランクインする企業で新たにランクインするのはせいぜい1〜2社だ。また、その多くは過去の大手企業が分割・再編後に社名を変更した企業で、分割・再編前の旧企業の位置を占めることが多く、ランキング全体への影響はあまりない。だが、2023年に発表された最新ランキングでは、上位20社のうち3社が新たにランクインした企業であった。そのうち、寧徳時代(5位)、サムスンSDI(16位)の駆動用バッテリーメーカーの2社がいずれも初めてランクインした。これにより、もとのランキングの大部分の企業は順位が後退した。
不安が多い日本の部品メーカー
とくに注目すべきもう一つの変化は、上位100社の中で、日本企業の数は依然として最も多いが、順位は下がっている。また、売上高が減少しているという状況も最も深刻だ。
2023年のランキングでは、16カ国の企業がランクインしたが、日本は前年と同じ22社がランクインし、数の上では変わらずトップだった。米国は18社がランクインし、前年より3社減って2位となった。ドイツは15社がランクインし、昨年より3社減って3位となった。中国は13社がランクインし、昨年より3社増えて4位となった。韓国は11社がランクインし、昨年より1社増えて5位となった。この5カ国のランクイン企業総数は79社となっている。
日本は依然として間違いなく自動車部品分野のトップ強国であり、ランクイン企業の総数、順位で明らかに優位に立っている。だがこの変化の動向から見えるのは、日本の自動車部品大国の座はもはや確固たるものではなくなっているということだ。2023年度のランキングでは売上高が減少した企業が15社あり、そのうち日本企業が6社を占めていることが明らかになった。減収企業の数、減収額ともに、日本企業はいくつかの主要国の中で最も多い。企業ランキングの状況ではより顕著で、ランクインした日本の22社のうち、順位が変わらない、または下がった17社が全体の77%を占めた。
ドイツ企業の順位の下落も目立っている。ランクインした15社について言えば、順位が変わらない、または順位が下がった13社が全体の86%を占めているが、日本企業よりやや良いのは、ドイツ企業の収益があまり衰えておらず、収益が低下したのは2社だけだったことだ。ドイツ企業が悪くなったのではなく、他国企業のほうが進歩のスピードが速かったことだ。
米国はすべてのランクイン企業の売上高が増加しており、同国の自動車部品業界全体が好調に推移していることを示している。7社が順位を上げ、11社は順位が変わらない、または下がった。だが、変化はいくつかの国の中でも比較的バランスのとれたもので、順位の変動は比較的小さかった。同時に企業ランキングの分布において、米国のランクイン企業の分布は最も平均的であり、上位にも下位にも集中しておらず、業界全体の発展にとって、こうした異なる規模の企業が均等に分布している状態は最もプラスになる。
中韓両国の企業の状況は似ており、順位を上げた企業は半数を超え、大半の企業の売上高も著しく上昇している。相対的に見ると、韓国は蓄積があり、ランクインした11社のうち、4社が中位の41〜60位の間に位置しているのに対し、中国で最も多いランクイン企業は最下位の81〜100位に位置している。企業数では中国が韓国を追い越したが、競争力では韓国の自動車部品業界が依然として中国を上回っている。
だが、電動化、インテリジェント化は中国の自動車部品業界にとって最良のきっかけとなった。中国では自動車市場に後押しされ、すでに世界をリードする現地部品メーカーが誕生しており、とくに電動化、インテリジェント化の面では、中国企業が間違いなく最も実力のある企業となっており、さらにはトップランナーともなっている。だが、これまで機械、材料分野での蓄積が不足していたため、中国の部品メーカーには土台がしっかりしていないという問題が普遍的に存在しており、とくに既存の部品業界の企業の成長は限界に近づいているため、収益力が不足しており、市場環境が悪い時は、苦境に耐える力が十分でない。どのようにして自動車の電動化、インテリジェント化変革の波を借りて、既存の部品分野の競争力を高めるかは、中国の自動車部品メーカーが考えるべき問題となるだろう。
(『日系企業リーダー必読』2023年7月5日記事からダイジェスト)