『必読』ダイジェスト 中国のサプライヤーは本当に誰も代替できないくらい強大なのか?
3月3日付の英国『エコノミスト(The Economist)』誌に掲載された記事は、台湾を含む十数カ国および地域で構成する「アジア代替サプライチェーン・オルトエイジア(Altasia,alternative Asian supply chain)」が、今後数年以内に徐々に中国に取って代わり、世界の生産活動の中心になる可能性があることを指摘した。これらの国と地域には台湾、韓国、日本、インド、シンガポール、マレーシア、ベトナム、インドネシア、タイ、ブルネイ、バングラディシュ、カンボジア、フィリピン、ラオスなどが含まれる。
『エコノミスト』の記事は、米中両国の地政学的対立がアジア代替サプライチェーンを促成し、世界の製造業者はアジアで中国以外の新たな生産基地を探し求めるようになっていると指摘する。地域内に単独で中国に匹敵する国家が1つも存在しないとしても、複数の国家および地域で構成されるオルトエイジアなら相当な競争力を有する。
記事は、輸出額の面で、オルトエイジアの各国を合わせると中国と遜色ないと指摘する。昨年9月より以前の12カ月間、オルトエイジアの対米輸出総量は6340億ドル相当の商品で、中国の対米輸出総量の6140億ドルをやや上回る。
しかし、中国の対米輸出の品目は電子製品が大多数を占めているが、全てのオルトエイジアのメンバーが競争力のある関連製品を供給できるというわけではない。このことはつまり、アジア代替サプライチェーン自体にまだ不足があることを暗に示しており、例えば各国のインフラの発達水準が異なることや互いの間に存在する法規や行政行為の違いなどにより、オルトエイジアはすべての産業種目で中国に完全に取って代わることはできない。
技術労働者において、データ上ではオルトエイジアと中国の差は大きくない。オルトエイジアの25歳から54歳までの高等教育を受けた労働人口が1億5500万人であるのに対し、中国は1億4500万人だ。
記事は、「全体的に言えば、中国の生産能力を完全に代替するのは難しい」と指摘する。しかし、多くの企業にとって、中国以外の別の選択肢を探すのは優先すべき急務であり、引き続きオルトエイジアに新たなチャンスを探し求めることだろう。
世界銀行(World Bank)が発表した最新の物流パフォーマンス指標(Logistics Performance Index, LPI)によると、5点満点中、中国の得点は3.61点で、調査対象の160カ国中27位だったが、オルトエイジアは日本の4.03点、シンガポールの4.00点からバングラディシュおよびカンボジアの2.58点まで様々だ。日本やシンガポールは世界ランキングでもベストテンに入っているが、バングラディシュおよびカンボジアは世界ランキングの下位に位置する。
(『日系企業リーダー必読』2023年3月20日記事からダイジェスト)