『必読』ダイジェスト 『財新網』2月1日に半導体関連の記事が掲載された。筆者は半導体産業の著名な専門家である顧文軍氏。5月23日に経済産業省は、先端の半導体製造装置など23品目について輸出規制を強化する改正省令を公布した。周知期間を経て7月23日に施行する。半導体サプライチェーン(供給網)からの中国の締め出しを進める米国に呼応する動きであり、事実上の対中規制となると日本のメディアが報道している。顧文軍氏記事の主な内容を以下のように抄訳する。
1月27日、海外メディアによると、オランダ、日本、米国は中国に対する一部のフォトリソグラフィ装置(DUV)の販売を禁止する協定に合意した。西側メディアは「今回の協定により、バイデン政権は中国への制裁で里程標的な勝利を収めた」と報じた。認めるべき点として、今回の制裁により、西側諸国は最終的に、中国に対する先進的なチップの規制において、事実上の完全な包囲網を形成することに成功した。西側諸国は半導体産業において主動的な地位にあり、科学技術の優位性を維持することに対する米国の態度は毅然としたものであり、その圧力の下で他の西側諸国は米国に追随せざるを得ない。
西側諸国の間で中国に対する制裁の方法と範囲において不一致が見られるものの、中国による先進技術の獲得に制限をかけることについては一致しているため、中国の産業は西側諸国による遮断に対して十分な心の準備をしておく必要があるということに、中国ははっきりとした認識を持たなければならない。
戦略面において、今後の国際協力環境はより厳しさを増し、中国が国際協力に参加したくても、それは困難になる。ASMLのフォトリソグラフィ装置(露光機)を例に挙げると、1台のEUVフォトリソグラフィ装置には約10万個以上の部品が使用されており、これらの部品のサプライヤーは世界の数十カ国に及ぶ5000社以上の企業によって構成されているため、フォトリソグラフィ装置は国際協力の成果とも言える。しかし、現在の制裁の下で、中国でのフォトリソグラフィ装置の製造は外部からの助けを得るのが非常に難しい。
戦術面において、フォトリソグラフィ装置の製造技術は非常に複雑で、光源やレンズ、ステージなどにはいずれも極めて厳格な基準が設けられている。フォトリソグラフィ装置の製造には工学、数学、物理、化学、力学、材料、精密計器、機械、自動化、ソフトウェアの識別など多岐にわたる学科の技術が組み合わされており、多方面で国を超えた協力が求められる部分が非常に多いため、中国が単独で取り組むとするならば、克服すべき難関があまりにも多すぎるのだ。
困難な環境下で先進的なフォトリソグラフィ装置を生産するには大きな知恵が必要だ。
米国、日本、オランダが協定に合意してから、日本のある政界関係者は、中国は「100%日本に復讐するはずで、日本企業は他の市場でチャンスを探さねばならなくなる」という認識を示した。日本の政界関係者によるこの発言の真の意図はどうあれ、中国の産業は決して罠にはまってはならない。必要な反撃は必ず行うが、西側諸国が中国に制裁を科しているということは、中国が世界市場と関係を絶たなければならないという意味ではない。このような事態であるからこそ、米国に他の国々とより緊密な同盟を結ばせないためにも、中国はカッとなって勢いで国際産業チェーンと「断絶」するようなことはなおさらできない。
このような時こそ、中国の産業はかえって世界のサプライチェーンとの協力を強化する必要がある。国際的なサプライチェーンに対して中国の産業は積極的な姿勢を示し、協力パートナーを探すべきだ。今回の協定は所詮、オランダと日本が米国からの圧力により合意したものであり、西側諸国のデバイス企業はより政府からの指示に従って動くものだ。
国際協力は一貫して中国の技術を進歩させる上での重要な原動力であり、門戸が完全に閉じられていないのなら、全力でその情勢を把握し、少なくともいっそう悪化させないようにすべきであり、自ら門戸を閉じてしまうことなどあってはならない。
(『日系企業リーダー必読』2023年2月20日記事からダイジェスト)