『必読』ダイジェスト 2022年12月29日、中国社会科学院社会学研究所が発表した『社会白書――2023年中国社会情勢分析と予測』によると、近年、大学生の就職の際立った特徴とは、「体制内指向」が顕著であることで、かつ逐年その傾向は強まっている。逆に、体制外の就職先を希望する大学生の割合は逐年減少していて、特に外資企業で働きたい人の割合は顕著に減少している。

大学生の就職の「体制内指向」について、白書は次のような二つの方面に総括している。一つは、希望者の割合からみると、大学生のうち、政府の機関や事業単位、国有企業などの体制内の就職先を希望する人の割合は、体制外の就職先を希望する人の割合よりもはるかに高いことで、もう一つは、変化のトレンドからみると、体制内の就職先を希望する人の割合は増加傾向にあり、体制外の就職先を希望する人の割合は減少傾向にあることだ。

データ結果から見ると、2018年~2021年に、体制内の就職先を希望する大学生の割合はそれぞれ63.68%、68.32%、73.04%、74.74%であった。白書ではさらに、体制内の就職先のなかでも、国有企業で働くことを希望する大学生の割合が最も高く、その次が事業単位で、その次が党機関で公務員になることで、最後にようやくグループ企業がくる。体制外の就職先を希望する人のうち、私営企業で働くことを希望する人の割合は、外資企業を希望する人の割合よりも高い。

具体的な希望就職先のタイプの変化トレンドをみると、2018~2021年、体制内の就職先を希望する大学生の割合は顕著な増加傾向にあることが白書では示されている。具体的にみると、党機関を希望する人の割合は2018年の5.73%から2021年には8.99%に増加し、国有企業を希望する人の割合は2018年の28.77%から2021年には32.69%に増加し、事業単位を希望する人の割合は2018年の24.86%から2021年には28.74%に増加している。

また別の面では、体制外企業での就職を希望する大学生の割合は減少傾向にあり、そのうち私営企業を希望する人の割合は少し下がり、外資企業を希望する人の割合は顕著に下がっている。2018年には大学生の14.11%が外資企業を希望していたのに、2019年~2021年にはこの割合はそれぞれ10.83%、7.50%、6.10%に下がっている。2018年に外資と私営企業で働くことを希望した人の割合は大差なかったが、2021年には、外資を希望する人の割合は、私営企業を希望する人の割合よりも6.50ポイント低くなっている。卒業後に起業を考えている人の割合はずっとあまり高くなく、また変化も大きくなく、2018年から2021年まで、ずっと7%前後を維持している。

そのほか、大学生の就職地域の選択のうえでは、相変わらず北京・上海・広州・深圳などの一線大都市と二線の経済発達都市の人気が高いが、こうした人気も少し弱まる傾向にあり、三・四線の中小都市・小県都、基層郷鎮や農村で働くことを希望する人の割合が増加傾向にある。

2018~2021年の北京・上海・広州・深圳などの一線大都市で働くことを希望する大学生の割合はそれぞれ37.44%、37.84%、34.91%、34.10%で、二線の省都あるいは経済が比較的発展している省都以外の都市で働くことを希望する大学生の割合は、それぞれ43.10%、42.02%、41.75%、39.27%であった。

三・四線の中小都市、県級市あるいは県都、末端小郷鎮と農村で働くことを希望する大学生の割合は相対的に少ないとはいえ、増加傾向にある。例えば、2018年に三・四線の中小都市で働くことを希望する大学生の割合は、7.29%だったのが、2021年には11.77%にまで増加している。

白書のデータは中国社会科学院社会学研究所の「中国大学生追跡調査」に基づくもので、2018年から2021年までの4年間の同じ18のサンプル大学の在校生と新卒生の統計である。そのうち、2018年の有効サンプル数は1万1901個、2019年の有効サンプル数は1万2186個、2020年の有効サンプル数は6039個、2021年の有効サンプル数は1万2512個であった。

(『日系企業リーダー必読』2023年1月5日記事からダイジェスト)

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