研究院オリジナル 2023年1月前半、中国メディアの報道や論評が多く取り上げた日本企業と出来事の主な内容を以下で取り上げる。

パナソニック、20年ぶりに中国での家電投資を急拡大

「日系企業の中国離れが加速している」といわれるなかで、2024年までに新たに500億円(約25億6000万元)を中国の家電産業に投資すると宣言していたパナソニックは、約20年ぶりに中国の家電産業への投資を急拡大させた。これに先立ち、パナソニックの炊飯器は2023年6月までに日本の炊飯器工場を閉鎖し、関連する生産能力をすべて中国の杭州工場に移転することも発表しており、将来的にはパナソニックの炊飯器のハイエンドモデルをすべて中国で製造する。上海初のパナソニック全商品体験館が10日にオープンした。

多くの中国メディアの報道を総合すると、業界内では、パナソニックが中国での家電投資に力を入れている理由として、次の3点が挙げられる。1つ目の理由は、中国の消費の高度化により、パナソニックに市場機会が見えてきたことから、ここ数年、中国市場でパナソニックの冷蔵庫、洗濯機、キッチン家電、美容家電などはいずれも売上高と利益が一定規模増加していることだ。2つ目の理由は、中国は現在、世界の家電産業で唯一無二の質の良いサプライチェーンと質の高い産業チェーンを有しており、高品質・高効率でコストパフォーマンスの良い製造能力はほかにはないことだ。3つ目の理由は、中国は世界家電産業の発展の方向性をリードする拠点になりつつあり、特に家電とホームファニシングの一体化・融合的発展を促すことは、家電産業の発展の新しいビジネスチャンスだけではなく、パナソニックの既存の事業構造の中でホームファニシングと家電事業のシナジーを利用して、各事業分野の収益を一定規模増加させるチャンスポイントをもたらす。

日本の新型コロナ薬、中国のトップ製薬会社の力を借りて中国市場に参入

上海医薬は2022年末、同社の完全子会社「上薬控股」と「平安塩野義」が新型コロナウイルスの経口治療薬「ゾコーバ(Ensitrelvir)」の輸入品について「輸入流通協定」を締結したと発表した。「ゾコーバ」は、平安塩野義の親会社である塩野義製薬株式会社と北海道大学が共同開発したもので、日本での製造販売承認を取得した。上海医薬は中国医薬商工業一体化のリーディングカンパニーで、産業チェーンの総合的な優位性を備えている。上海医薬はまた、平安塩野義とより多くの先発医薬品(新薬)・後発医薬品(ジェネリック医薬品)について、より深い協力レベルである「戦略的協力枠組み協定」を締結した。

「昨日の花」ジャパンディスプレイ(JDI)、中国市場が凋落

2023年第1四半期から、ジャパンディスプレイ(JDI)は中国市場にLTPS製品(多結晶の低温ポリシリコンで、携帯電話の画面に用いられる)を供給しない方向で、現在提携しているOPPO、vivo、小米、サムスンなどの端末ブランドはサプライヤーの選択で、多くの場合、中国国内のLTPSパネル工場を考える。日本のディスプレイパネル産業はかつて世界トップで、JDIもiPhoneサプライヤーだったが、中韓のディスプレイパネル産業の激しい競争で維持できなくなってきた。JDIは先ごろ、中国の蘇州JDI電子を蘇州東山精密制造に267億3000万円で売却すると発表した。

友邦が50億元のビル購入で日本の目立たない不動産業者を引きずり出す

友邦生命はこのほど、50億元(約954億円)を投じて上海実森の支配権を取得し、上海北外灘89街坊不動産プロジェクトを取得し、5日に正式に「友邦金融センター」として設立された。これは友邦生命が成立してから行った最大の資産買収だ。世間の注目を集めたこのニュースは、上海実森置業有限公司の株式構造のうち10%を占める、目立たない日本の不動産企業森ビルを表に出させた。東京では、森ビルが手がける「六本木ヒルズ」は、年間4000万人超の利用が可能で、「旧市街リノベーション」の成功例となっている。2014年に上実発展は日本の森ビルをプロジェクト開発提携先として導入し、北外灘版の「六本木」を共同で作り上げており、今回友邦生命に売却した不動産プロジェクトもその1つだ。

サカタのタネ、中国のブロッコリー市場での覇権崩される恐れ

中国は現在、ブロッコリーの栽培面積が世界最大の国だが、大部分の種源は日本サカタのタネの子会社から来ている。サカタのタネは1998年に江蘇省太倉に会社を設立し、急速な発展を遂げ、20年で会社の人員数は40倍に増えた。だが、2018年より、中国はブロッコリー優良品種重大科学研究共同難関突破プロジェクトをスタートさせ、国内20か所の科学研究教育機関、普及機関・事業体、種苗業企業を組織して難関突破連合体を結成し、全国の資源と力を集中して中国のブロッコリー品種を育成したことにより、現在すでに10の中国ブロッコリー品種が出ており、約15%の国内市場シェアを獲得している。だが中国は、現在、中国ブロッコリーの種源が育種技術、耐病性と適応性の向上などの面で、サカタのタネとはまだ距離があることも認めている。

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『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。

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