研究院オリジナル 2022年カタール・ワールドカップが11月20日以来、中国の話題の焦点となっている。
話題にすることすらできない中国サッカーチームを除くと、一番注目されているのは、ワールドカップの中国スポンサー企業で、その背後にはメイド・イン・チャイナの台頭があり、多くの中国企業はサッカー・ワールドカップの試合により製品力を誇示し、ブランド知名度を高めようとしている。
『朝日新聞』11月23日付の記事を見ると、日本のメディアがまず注目したのは、2022年カタール・ワールドカップでは、中国企業が今回のワールドカップの最大のスポンサーとなり、カタール・ワールドカップに13億9500万ドルのスポンサー契約を行い、米国の11億を超えていることだ。万達集団(ワンダグループ)、海信集団(ハイセンスグループ)、蒙牛乳業、vivoという4社の中国企業が公式スポンサーに選ばれている。
そのうち、海信集団とvivoは、万達集団や蒙牛乳業とは異なり、国際市場を開拓しようと努力している企業である。新型コロナウイルス流行以前、世界各地を訪れていた中国の旅行客が国外でよく見かけた広告は、海信とvivoであった。そのうち、海信集団は今回の試合のなかで、「中国第一、世界第二」という大きな漢字の公告を出して世界に注目されると同時に、中央テレビ局の中継放送により国内でも注目も浴びた。29日北京時間23時、ワールドカップのグループリーグで、エクアドルとセネガル戦の試合会場の壁に、「Hisense 中国第一 世界第二」というバナー広告を出し、さらに「中国製造 一起努力(メイドインチャイナ、共に頑張ろう)」という広告を追加したが、論議を呼んだ第一、第二という言葉は、公式な回答まで出された。この動きは、メイド・イン・チャイナの旗を振り、ときの声をあげるもので、トップクラス企業として、ブランドへの自信を示し、さらにはブランドの構造を示すものであった。
中国の調査企業AVC Revoが発表した2022年1~10月世界テレビブランドのモニタリングデータによると、海信テレビは1~10月、世界の出荷台数が1960万台に達し、前年同期比18%増で、世界第2位となった。中国のテレビブランドの年間累計出荷台数でも初めて世界第2位となった。関連情報によると、海信集団は11月初めにASEAN地域本部を成立させたばかりで、海信テレビはアジア太平洋市場における業務を拡大させ続けるという。
国際サッカー連盟(FIFA)のスポンサー企業には厳格な制限があり、計14社で、「パートナー」であれ、「ワールドカップスポンサー」であれ、一つの国から最大で4企業しか選出できない。中国は今回のワールドカップでスポンサー枠を使い切っている。米国はコカ・コーラ、マクドナルド、VISAの3社で、開催国カタールはカタール航空が、強豪国のドイツもアディダスがスポンサー企業に名を連ねているだけだ。
ワールドカップのパートナー企業、あるいはスポンサー企業として名を連ねたいと願っている中国企業は他にもたくさんある。世界のトップクラスに名を連ねる中国企業は、寧徳時代(CATL、電池企業)、隆基股份(ロンジソーラ、ソーラパネル企業)、福耀ガラス、海康威視(ハイクビジョン)、京東方(BOEテクノロジーグループ)など非常に多く、みな国際スポーツイベントに顔を出すだけの実力をもっている。
海信は消費者に比較的良く知られている。この企業は東芝を買収した後、一年で黒字化させ、さらに北欧の高級家電メーカーであるゴレニアを買収して、これも一年で黒字化させた。海信は安定した経営のうえに、画質と品質という2つの強みによって、18年間中国一の地位を保ち、世界第二位となり、今では世界一を目標としている。筋金入りの研究開発力や生産力、世界市場の需要に適合させた販売方式により、海信のような企業は世界的舞台でその力を見せつける意欲をもち、メイド・イン・チャイナの能力を示すことだろう。
中国企業が国際スポーツイベントで最も重要なスポンサーとなれたのは、メイド・イン・チャイナが多くの分野ですでに独占的な地位を握っている、あるいはトップ陣営の中で安定した地位を保っているためである。現在、海信が提唱する「メイド・イン・チャイナ、共に頑張ろう」は、中国企業のある種のコンセンサスとなっていて、こうしたコンセンサスはカタール・ワールドカップで示されるだけでなく、数えきれないほどの国際展示会、各国の大小の街角でも、たびたび企業の姿を見ることができる。
私たちはサッカーを見ると同時に、国際試合上においてメイド・イン・チャイナの大きな力、多くの中国企業のたゆまぬ努力の成果を見ることができるのである。