『必読』ダイジェスト テクノロジー企業のコア・コンピタンスは製品と技術であり、技術革新は研究開発支出に大きく依存している。中国のテクノロジー企業の研究開発支出状況はいったいどうなっているのか。『財経』誌の研究チームが最近、ある分析を行った。

5月11日までに、米国株、香港株、A株企業の2021年度の財務報告が出そろい、各企業の研究開発支出も決算報告書で明らかになった。中国のテクノロジー企業の研究開発への投資度と、研究開発投資の国内・世界での位置づけを調べるため、『財経』の研究チームは華為(ファーウェイ)、阿里巴巴(アリババ)、騰訊(テンセント)、台湾積体電路製造(TSMC)、百度(バイドゥ)、中興通訊(ZTE)、美団(Meituan)、京東(JD.com)、快手(Kuaishou)、網易(NetEase)、小米(Xiaomi)、聯想(レノボ)、滴滴(DiDi)、拼多多(Pinduoduo)のICT(情報通信技術)分野の中国(台湾地区を含む)のテクノロジー企業計14社の直近7年間の研究開発支出を集計した。

研究者はさらに、研究開発支出が最も高い中国企業50社、ICT分野の研究開発支出が最も高い国有持ち株上場企業10社、研究開発支出が最も高い世界上場企業10社を参照対象として選んだ(米国株、香港株、A株および定期的に決算を発表する一部の非上場企業を含む)。上述の統計データを総合的に比較すると、以下のいくつかの核心的な基本的事実がわかった。

第一に、ファーウェイ、アリババ、テンセントは中国ICT産業の中で研究開発支出規模が最大の企業だ。研究開発支出が最も高い中国企業50社(米国株、香港株、A株、定期的に決算を発表する一部の非上場企業を含む)の研究開発支出総額は8768億元で、うちファーウェイ、アリババ、テンセントなどのテクノロジー企業14社の2021年の研究開発支出総額は4281億元で、全体の48.8%を占めた。

第二に、中国の科学技術企業の研究開発支出規模は国際企業と依然大きな差があり、特に半導体、基本ソフトなどの分野における研究開発への投資が不足している。アマゾンの2021年の研究開発支出は560億ドルで、ファーウェイ、アリババ、テンセント、百度、ZTE、美団、京東、快手、網易、小米の10社の2021年の研究開発支出の合計は575億元(約85億ドル)で、アマゾンをわずか15億ドル上回った。インテルの10年間の累積研究開発支出は1259億ドルで、アリババ、テンセント、百度の3社の10年間の年間累積研究開発支出の合計815億ドルを大きく上回った。

第三に、コロナ禍、経済の下押し圧力及び複雑な国際環境を背景に、ファーウェイ、アリババ、テンセント、百度、ZTE、美団、京東、快手、網易、小米の10社の研究開発支出総額の伸び率は年々低下し、2021年の伸び率は14.1%に低下した。しかし、米国や欧州のテクノロジー企業の研究開発支出の伸び率は上昇傾向にあり、2021年には18.4%まで増加した。これは、中国のテクノロジー企業は世界の同類企業と比べ、研究開発投資の面での格差が依然として大きく、広がってもいるということだ。

『財経』誌は、「研究開発支出の伸び率の低下は、中国ICT産業の次のサイクルにおける競争力に悪影響を及ぼす恐れがある」との見方を示している。

(『日系企業リーダー必読』2022年5月20日記事からダイジェスト)

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