2021年8月20日、四海普適経済顧問有限公司総経理、日本企業(中国)研究院執行院長を務める陳言氏が、上海で開催された日系資本の製薬会社の定例会議で日本語による講演を行い、会議の出席者からの質問に答えた。
陳言氏による講演のテーマは「中国の高齢化問題とヘルスケア」。
講演は4つのパートで構成されており、最初のパートは中国経済の発展段階の特徴とそれによって決まる日本との協力の可能性だ。本題に入る前に、陳言氏は日系企業に対して中国の技術導入等の特徴について紹介した。中国は過去40年以上の歳月において、鋼鉄、家電、自動車製造技術を導入し、また中国自身の技術力を向上させることにより、世界最大の鋼鉄、家電、自動車の生産国になった。技術は主に日本から導入されたが、産業規模の面で日本を大きく上回ると、量的な変化から質的な変化に(世界経済の影響に対して)状況が変化した。2020年以降、これまでに導入された技術は依然として重要だが、もはや中国経済の発展における最も重要な推進力ではなく、中国は自主開発と生産方式における革新の必要性に目を向けている。半導体、電池、ハイエンド医療及び産業チェーンなどにおいて、日本が今後も中国に提供できる先進技術に限界がある一方で、提供が可能な技術も日本の安全保障メカニズムの下で多くの制約が課せられている。現在の日本と中国の経済交流及び協力において、ヘルスケア(高齢者の介護等)、モビリティ、カーボンニュートラル等の分野に多くのビジネスチャンスがある。
二つ目のパートで、陳言氏は中国の高齢化問題について主に論じた。2019年に中国の65歳以上の人口は総人口の12.6%を占めたが、2035年には29.83%に拡大して、現在の日本と同じ比率になり、約4億人という膨大な規模になることが予想されている。中国ではさらに、高齢化に関して東西と南北の地方で異なる特徴が見られ、即ち東部と南部では高齢者の介護の問題が比較的深刻であるが、西部と北部の高齢化では経済問題を重視する必要がある。
三つ目のパートで、陳言氏は地方政府(山東省済南市、江蘇省宜興市、南京市溧水)の介護プロジェクト及び日系企業の参入状況について具体的に紹介した。
最後の四つ目のパートで、陳言氏は中国のヘルスケア市場がまだ開拓が始まったばかりであるのに対し、日本は高齢化に関する産業の先進国であり、豊富な経験を有し、中国に提供できる技術を有していることに言及した。介護分野における中国の国民の日系企業に対する評判も非常に良い。介護ケア設備、関連のITシステム、サービスそして新薬の開発において、日系企業が市場開拓できる余地は非常に大きい。
今回の講演には、旭化成や田辺三菱製薬、大塚製薬、住友製薬、参天製薬、日健中外製薬、第一三共、栄研生物科学技術、日美健薬品、興和製薬、東レなどの企業から30人余りが参加し、講演の後に中国の薬品市場、中国の介護などに関して質疑応答が行われ、陳言氏は参加者からの質問に詳しく回答した。
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