『必読』ダイジェスト 6月17日、英フィナンシャル・タイムズのサイトで『中国ブランドの世界的な影響力の拡大』と題する報道が公開された。その抄訳を以下に掲載する。


中国ブランドが今、世界市場の構図を塗り替えており、国際的な消費者層の中でその影響力を拡大している。


欧州におけるBYD製電動自動車の販売台数はすでにテスラを上回っており、またブラジルで販売されているバッテリー式電気自動車の10台中7台はBYD製だ。スーツケースからスマート洗濯機まで各種商品に企業ロゴを刻印してきたスマートフォンメーカーの小米(シャオミ)は、自社が計画している輸出製品のリストに電気自動車を加えている。そして、今年最も売れたLABUBUのぬいぐるみは、中国のポップマートが世に送り出した商品だが、同社売上額の約40%は海外市場によるものだ。


アジア太平洋地域のブランドに注目する複数のブランドコミュニケーション機関の統計によると、過去18か月間、国際販売を模索し、新たな市場に参入する中国企業の数は過去18カ月で著しく増加した。オグルヴィ・アンド・メイザーでアジア太平洋地区CEO、WPPコミュニケーションサービスグループで中国地区総裁を務めるクリス·ライトマン氏は、「中国以外の市場で成長を模索する企業が牽引することにより、かなり顕著な加速傾向が現れている」と語る。


ライトマン氏は、「電子商取引を通じて中国以外の市場に転向することで、中国ブランドは巨額の流通コストを支払わずに済む」と付け加えた。中国企業はデジタル技術をより重視し、かつAIを速やかに応用することができ、このことはデジタルマーケティングに対する中国企業の取り組みに反映されている。同氏は、「ショート動画やフェイスブックなどのサイトは中国ブランドの海外進出に対して肝要な役割を果たしている」と語る。


電通グループで中国チーフモデルチェンジ・マーケティングディレクターを務める銭憶琳氏の話では、中国企業の海外進出によって、「中国式」のデジタル技術を重視するブランド構築モデルが日増しに鮮明になっているという。


昨年夏に開催されたパリ・オリンピックとサッカーの欧州選手権大会で、中国企業は世界で知名度を上げる貴重な機会に恵まれた。乳業大手の蒙牛とECグループのアリババはすでに長期的なスポンサー契約を結んでおり、また新たなスポンサーとしてスマートフォンメーカーのvivoや自動車メーカーのBYDなども加わっている。


喜茶及び霸王茶姫などはティーカフェを開設し、オリンピックの観客を引き寄せた。2024年サッカー欧州選手権のグローバルスポンサー13社のうち5社は中国企業で、BYD、アントグループ、vivo、海信(ハイセンス)、そしてアリババ傘下のECサイト・アリエクスプレスだった。


20年以上も中国企業と協力してきた経験を持つライトマン氏によると、BYDなどのような明らかに世界で認められ、知名度もあるブランドでもまだブランド構築の初期段階にあるという。同氏は、「BYDのマーケティング活動は“消費者に自社製品の具体的な特性を伝える”ことに重点が置かれている」と語った。


中国のグローバルな関係は、中国ブランドがどの市場を開拓目標にするかに影響を及ぼす1つの要素となっている。市場マーケティング会社のS4 Capitalで最高事業成長責任者兼業務執行取締役を務めるスコット・スピリット氏は「中国ブランドは摩擦が少なく、中国との関係が友好的な市場に進出する傾向がある」と語った。


これこそ、企業が海外進出の重点を中東やブラジル、東南アジアに転換している要因だ。スピリット氏によると、「義鳥市場のビジネスマンは今、アラビア語やスペイン語を学んでいる」


昨年、アリババグループで最も急速に成長したのは国際ECであり、それにはアリエクスプレスやラザダグループ(マレーシア)、ダラズ(南アジア)、トレントヨル(トルコ)などのサイトが含まれる。今年、同グループはAIおよびクラウドサービスへの転換を図っており、コンサルティング会社・カンターのブランドランキングで、アリババは中国ブランドの中で2位にランクインし、世界ブランドベスト100ランキングで29位に入った。


ベスト100ランキングにおいて、中国ブランドの中で最高位だったのはテンセントの11位だ。テンセントグループで国際公共事務およびグローバルポリシー責任者を務めるダニー・マルティ氏は、中国ブランドの世界的な見通しに対して楽観的に構えている。マルティ氏は「各地域の消費者はみな質の高いコンテンツや素晴らしい製品、満足の行く体験を得たいと思っている。アジアは世界で人口が最も多く、デジタル時代が世界的な影響力の構図を根本から変えた。アジアのブランドが世界市場で頭角を現しているのは決して意外なことではない」と語っている。


(『日系企業リーダー必読』2025年7月5日の記事からダイジェスト)

大手企業を含む多くの日系企業が購読している『必読』

『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。


現在、『日系企業リーダー必読』の購読企業は、世界ランキング500にランクインした日本企業を含む数十社にのぼります。


サンプルをお求めの場合、chenyan@jpins.com.cnへメールをください。メールに会社名、フルネーム、職務をご記入いただきます。よろしくお願いいたします。



メールマガジンの購読

当研究院のメールマガジンをご購読いただくと、当方の週報を無料配信いたします。ほかにも次のような特典がございます。

·当サイト掲載の記事の配信

·研究院の各種研究レポート(コンパクト版)の配信

·研究院主催の各種イベントのお知らせ及び招待状

週報の配信を希望されない場合、その旨をお知らせください。