『必読』ダイジェスト 米国の対中「対等関税」政策が4月9日正式に実施されたが、当月の中国の対外輸出は依然として強靱性を保っている。


中国税関総署が5月9日に発表したドル建て統計データによれば、4月の輸出は前年同月比8.1%増加したが、前月の増加率に比べ4.3ポイント下がった。輸入は前年同月比0.2%減少し、減少幅は4.1ポイント縮小した。4月の貿易黒字は961億8千万ドルで、これも前月比64億6千万ドル減少した。


4月の貿易実績は輸出入ともに市場の予測を上回った。中国メディアが国内外15の市場調査機関の予測を整理した数値によれば、調査対象のエコノミストが予測した前年同月比増加率の平均予測値は輸出が2.5%、輸入は-5.6%で、貿易黒字は907億1千万ドルだった。


中国の輸出の強靱性が際立つ背景には、製造業の競争力が持続的に向上していることと多元化された市場配置がある。これは以下の点に表れている。


第一に、輸出構造の継続的な優勢が対外貿易の支えとなっている。データによれば、機電製品とハイテク製品の輸出は堅調な増加を維持しているが、労働集約型製品の輸出は弱含んでいる。4月の機電製品の輸出は1905億8千万ドルで、着実な成長を示した。具体的には集積回路、音響・映像機器およびその部品、汎用設備、液晶パネル・モジュール、船舶などの輸出がいずれも2桁の伸びを示し、増加の勢いが良好だった。労働集約型製品の輸出はやや低調で、輸出に負の影響をもたらした。輸出製品構造の変化は中国の製造業の転換・高度化の成果が外需で加速度的に現れており、輸出製品の技術レベルと付加価値も向上している。これが対外貿易における持続的な成長の基盤となっている。


第二に、貿易の多元化が顕著である。4月に米国の「対等関税」が実施され、二国間貿易に大きな影響をもたらし、当月の対米輸出は前年同月比20.9%の大幅減で、前月比29.9ポイント急減した。しかし、米国を除けば他の主要経済体への輸出は安定し、特にASEAN、中東・西アジア、ラテンアメリカ、アフリカ諸国向けの輸出は急増し、いずれも2桁増になった。EU、日本むけ輸出も堅調で、従来市場で手堅く伸びている。


第三に、対外貿易の新たな成長原動力が加速的に形成されつつある。新たな質の生産力が急速に発展し、ハイテク、スマート、環境保護などの製造分野で核心的な競争力を有する企業群を育成した。また、これにより産業チェーンの上下流にある多くの中小企業の成長も促進された。年初来、装置産業製品の輸出入が増加し、貿易全体の「半分の勢力」を占めた。同時に「越境EC+産業集積地」モデルが発展し、多くの中小企業に国際市場の広い舞台を提供している。


グローバル経済と中国の産業構造の発展を総合的に見ると、対外貿易は今後さらに多様化する傾向を示すものと予測される。


それは、第一に貿易地域の多様化だ。中国経済との結び付きが強く、補完性が高い国・地域とは二国間貿易が相対的に安定し、高速成長傾向が見られよう。他方、グローバル経済の減速や保護主義の影響を大きく受ける国・地域では、成長の減速が予想される。


第二は、輸出入品目の多様化だろう。ハイテク製品や重要部品など競争力のある品目は今後も安定した成長が見込まれるが、従来型の付加価値の低い工業製品や労働集約型製品は外部環境の影響を受けやすい。技術的蓄積を有し、国際競争力を備え、市場変化に柔軟に対応できる企業はグローバル展開のスピードを加速させる可能性がある。一方で、外部市場への依存度が高く、独自のイノベーション能力に乏しい中小企業は積極的な転換と変革を模索すべきだろう。


(『日系企業リーダー必読』2025年5月20日の記事からダイジェスト)

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