『必読』ダイジェスト 中国工程機械工業協会が3月8日に発表したデータによれば、今年2月の掘削機販売台数は19,270台で前年同月比52.8%の大幅増となった。なかでも顕著な伸びを見せたのが輸出ではなく国内需要で、同月の国内販売台数は11,640台と前年同月比99.4%増、過去5年間で最高を記録した。
これは予想外のことだった。不動産が経済を牽引していたころ、掘削機の販売台数は中国経済の活況を測る重要な指標だった。掘削機の売り上げが大きく伸びることは、不動産市場の活況とGDPの大幅成長を意味していた。しかし2021年以降に不動産市場が低迷し始めると、掘削機が「爆売れ」するニュースは聞かれなくなかった。明らかに今回の掘削機の売上急増は、不動産とは関係がない。中国の不動産市場は現在も低迷しているからだ。今年最初の2カ月間、全国の不動産開発投資は前年同期比9.8%減、住宅施工面積も9.1%減り、新規着工面積は29.6%減と大きく落ち込んでいる。中国工程機械工業協会がデータを公表する前、市場関係者の間で掘削機の国内販売の伸び率は5〜10%程度と見込まれていた。では、掘削機「爆売れ」の背後でいったい何が起きているのか。
その答えは、先ごろ国家統計局が発表した最新の「建設業業務活動指数」にある。このデータによると、今年2月の同指数は前月比3ポイント近く上昇している。ここでいう「建設業業務活動」とは主に新農村建設、道路・都市建設、水利工事などを指し、不動産分野は含まれない。このデータを裏付けるのが、国家統計局が示した固定資産投資の方向である。固定資産投資の伸び率が最も高いのが農林・畜産・漁業や水利・輸送などの分野だった。今年に入って2月までの2カ月間、農林・畜産・漁業への固定資産投資は前年同期比14%増、水利管理は39.1%増となっている。
ここ数年、中国政府は国内の需要不足に対応するため、「二つの重点」建設を推進してきた。これは国家の重大戦略の実施と重点分野における安全保障能力の構築を意味し、多くの建設プロジェクトが新農村建設や水利工事などと関連している。2024年の「二つの重点」プロジェクトには、西部陸海新回廊、東北黒色土壌の高収穫農地、都市部の地下配管網、「三北」(西北・華北・東北)地域の防風(砂)林整備など合計1,465件の大規模プロジェクトが含まれている。財政部(財務省)が発表したデータによれば、2024年度の財政支出では農林・水利建設に関わる「農林水」支出がすべての支出の中で12.4%増と最も伸び率が高く、その規模は2.7兆元を超えている。
こうした政策が直接に掘削機の販売増加をもたらし、機種別ラインナップにも変化を生じさせている。国金証券の機械業界研究チームが進めた調査によれば、過去数カ月間、国内の掘削機需要では小型機種が約75%を占め、中型が約15%、大型が約10%となっている。小型掘削機が求められるのは、まさに不動産以外の分野である。
つまり、ここから政府主導のインフラ投資が、経済回復の刺激策として一定の効果を上げ始めているのが見てとれよう。
さらに言えば、掘削機の販売回復には外需も密接に関係している。その主な要因は、中古掘削機の輸出急増にある。ここ数年、三一重工、徐工(徐州工程機械集団)、柳工(広西柳工機械)といった中国国産建機ブランドの台頭や掘削機の電動化により、中国製の中古掘削機が海外で認知され始めている。税関総署のデータによると、2020年以前、中国からの中古掘削機輸出は多くても累計で1万台未満だったが、2021年以降に輸出台数は急増し、4年間であわせて31万台を輸出した。2024年には12万台を突破し、新品掘削機の輸出台数を初めて上回っている。
(『日系企業リーダー必読』2025年4月5日の記事からダイジェスト)
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