『必読』ダイジェスト 『ウォール・ストリート・ジャーナル』中国語版サイトは3月31日に掲載された「人型ロボットはまだ期待されているような知能をもってはいないが、中国は先んじて事態を打開しようとしている」という記事で、取材先のある産業研究者の口を借り、「人型ロボットは中国のもう一つの電気自動車業界になる」と指摘した。
この記事ではまず、技術がまだ極めて初期段階にあるため、人型ロボットは応用やビジネスにおいてはまだとても未熟であり、「現時点では、人型ロボットはいまのところ極めて不器用で、人類と肩を並べて仕事する同僚としては、潜在的な危険性も備えている」と指摘。にもかかわらず、「最終的にロボットは製造業から採掘業、高齢者ケアや戦争など諸方面を徹底的に変えると支持者は考えている。ロボットは機能が万全の目・耳・手足をもち、シームレスに人類が設計した環境の中に溶け込むことができるだろう」
このため、中国政府はこの業界に大きな期待を寄せており、「“2027年までに中国が世界の人型ロボット分野のリーダーとなることを中国政府は願っている”と表明している。エンボディドAIは新たな1380億ドルの国家イノベーション投資基金の優先的投資プロジェクトに選ばれていて、この政策に鼓舞され、個人投資家や企業も続々とこの業界に参入している」
記事では続けて、「かつて見たようなストーリが再び目の前で展開されようとしている。中国企業は世界の大部分の電気自動車や船舶、ソーラーパネルを生産しており、政府のこれらの業界に対する補助と有利な管理政策がいずれも推進作用を及ぼしている」と論じている。
さらに米国のあるオートマティック技術専門家の話を引用し、「他のいかなる国に比べても、中国は人型ロボット開発を行う企業が多く、こうした会社はさらに多くの政府の支援を受けることができる。このため、彼らは優位性をもつといえる」
中国の優位性はさらに別の面にも表れている。それは、中国が膨大な数の工場をもち、人型ロボットはこうした工場で任務を行うと同時に、「リアルな世界に関するデータを吸収することができる」
中国のロボットのスタートアップ企業である雲深処科技(ディープ・ロボティクス)の程宇行販売総監の「中国の今日の急速な進歩の理由は、われわれが実際の応用と結び付け、リアルな場面において素早いイテレーションや進歩を遂げているためで、これについては米国とは比べ物にならない」という言葉が記事に引用されている。
またこの記事では、別のトップクラスの中国のロボット製造企業「優必選(UBTECH)」の実践が紹介されている。優必選は今、人型ロボットに自動車部品の仕分けと運搬を訓練しているところで、この企業は吉利(ジーリー)などの中国のトップクラスの自動車メーカーと協力関係を構築している。中国東部の浙江省にある工場のなかで、吉利傘下の高級電気自動車ブランドZeekr(ジーカー)の生産を助けるため、これらのロボットは今訓練を受けているところだ。
優必選の関係者は、「これらのロボットは業務において学ぶ速度が極めて速い」という。「フランス語を学ぶ大学生がフランスに一学期滞在するとフランス語のレベルが顕著に向上するのと同じで、現実の世界はロボットに実験室ではシミュレーションすることのできない問題をもたらしてくれる。たとえば、一箱の自動車部品の重量が均一でないという問題の処理などだ。実験室内で一か月をかけて解決する問題も、実際の環境の中に置かれれば、数日しかかからないこともある」
記事のなかで、バンク・オブ・アメリカのあるアナリストは、「中国の製造の実力ならば、現地で製造されるロボットのコストは最終的に他の国で製造されるロボットの半分になるかもしれない」と言っている。
このアナリストによると、現在中国の電気自動車企業の生産量は世界の70%程度を占めているが、中国の電気自動車業界をサンプルに推測し、「人型ロボットは中国のもう一つの電気自動車業界になると私は考えている」
記事の最後では意味深長に、「中国以外で、AI駆動の人型ロボットの販売を始めている会社は少ないが、十年前、中国以外で純電気自動車を販売していた会社も同じようにとても少なかった」と語られている。
(『日系企業リーダー必読』2025年4月5日の記事からダイジェスト)
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