『必読』ダイジェスト 11月上・中旬、「トランプ氏の再登場は中国経済にどんな影響をもたらすか」とは、世論を最も賑わす話題の一つとなった。政府系メディアの大半は上辺を取り繕うような態度で、「不利な影響はあるが、たいしたことはない」と報じた。多くの市場分析機関や研究員が数々の報告や論文を発表しているが、悲観的な見方を示すものが多く、中でも著名なエコノミストで、中国チーフエコノミスト・フォーラムの理事長を務める連平氏の先行きに対する見通しが最も厳しかった。
連平氏は11月6日(トランプ氏が当選した日の翌日)に発表した「トランプ氏の再登場は中国経済にどんな影響をもたらすか」と題する文章の中で、今回の出来事が「中国経済にとって極めて厳しい挑戦になる」という見解を示した。同文章によると、トランプ氏が再登場し、さらに共和党が上下両院を支配することになったため、今後4年間は米国がとる対中抑制の全体的な立場は変わらないどころか、競争と対抗がいっそう加速し、双方の争いが激化し、それによって中国経済に大きな挑戦と圧力がもたらされる可能性がある。その要点は以下のとおりだ。
中米関係の不確実性リスクが増大
第一期トランプ政権の取り組みから見ると、同政権の経済政策および対中政策には近視眼性、局所性、突発性、対抗性などの特徴が顕著に表れている。トランプ政権は対話によるコミュニケーションや系統的な交流などの従来の方法を通じて中米経済・貿易関係における不一致に対処することを望まず、むしろ極限まで圧力をかける戦略をとることによって対立と衝突を激化させようとしたため、第一期トランプ政権の頃、中米両国関係には大きな不確実性が生じた。今回の選挙におけるトランプ氏の対中政策を見ても、これらの特徴は根本的に変わっていない。従って、第二期トランプ政権も予測不可能なリスクが依然として高いだけでなく、ひいてはいっそう上昇することだろう。
米国が中国を最も主要なライバルおよび仮想敵とする可能性
また、ハリス氏と民主党の選挙綱領から見ると、中国は米国の戦略的なライバルと見られているとはいえ、その筆頭および最も重要なライバルではなく、現状としてはロシアとイランこそ米国の最も主要なライバルおよび仮想敵だ。従って、米国と中国が繰り広げる競争について言及した際、ハリス氏は中米の衝突を模索する必要はないことを強調したという。
しかし、共和党内の極端な派閥は国際政治での駆け引きと経済競争の2つの観点から、中国を最も主要なライバルおよび仮想敵に位置付けている。文章によると、この考えは第一期トランプ政権の後半にトランプ氏に対して大きな影響を与えたという。ウクライナ戦争に対するトランプ氏の態度から見る限り、トランプ氏はロシアを米国の主要なライバルと見なしてはいない。トランプ氏は選挙期間中にすべての国に対して10%の関税をかけることを提起したが、中国に対しては60%~100%の高い関税をかけると表明しており、その点からある程度、トランプ氏が中国を最も主要なライバルおよび仮想敵と見ていることが伺える。
中米貿易が急激に減少する可能性
また、中米貿易では、第一期トランプ政権の頃に貿易摩擦が発生してから、米国が対中輸出を対象に実施および強化した貿易保護の政策傾向は好転が見込めない状態になっているという。しかし、相対的に言って、バイデン政権の貿易保護政策はある程度コントロールされていたため、中米貿易に対する影響も部分的、構造的かつ漸進的だった。例えば、2024年に米国は主に中国のソーラーバッテリー、電動自動車、医療製品など一部の輸出製品に追加関税を課した。これらの製品が中国の対米輸出全体に占める比率は限られている。従って、2023年の中国の対米輸出総額に一定の減少が見られたとはいえ、依然として4577億ドルと高い水準を維持しており、対米貿易黒字も3104億ドルに上っている。
これに比べて、トランプ氏は中米貿易関係を対中圧力の重要な手段と見ており、政権がスタートすると、中国製品に対して全面的かつ強力な追加関税措置を実施する可能性がある。記事によると、「試算」では、追加関税措置がひとたび実施されれば、速やかに中米貿易は少なくとも10%減少すると見られ、つまり「急激に後退」する可能性がある。
この他にも、中米科学技術協力の面では、民主党が「スモールヤード・ハイフェンス(狭い庭に高い柵、安全保障に脅威のある分野に限定して厳しい措置を課す方針)」を堅持し、半導体や人工知能(AI)、量子などの分野において中国が米国企業および大学と技術協力をすることの制限を重点としていたのに対し、トランプ政権がスタートすれば、中米科学協力は全ての分野で著しく制限されるようになる可能性がある。
「デカップリング」のリスクがいっそう上昇
文章によると、中米両国間に明確な共同利益が欠けているため、今後「デカップリング」のリスクがいっそう上昇するという。
民主党候補者がクリーンエネルギーや環境保護、医療衛生などの分野での国際協力を重視していたのに対し、トランプ氏の対外政策は孤立主義を鮮明に打ち出しており、貿易および科学技術の保護主義を実行に移し、クリーンエネルギーの応用を退け、医療衛生や環境保護、犯罪の撲滅といった分野での国際協力にあまり関心を示していない。これによって今後4年間は中米両国間による協力の余地がいっそう縮小し、さらには双方による事実上の「デカップリング」に発展する可能性がある。
(『日系企業リーダー必読』2024年11月20日の記事からダイジェスト)
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