『必読』ダイジェスト 14日付の米ブルームバーグ・ニュース(Bloomberg News)のウェブサイトによると、中国では一時期、日本のサプリ・美容製品は消費者から安全と品質の「ゴールドスタンダード」と見なされていた。だが、今や日本製品はこの世界的に重要な消費市場で次第に輝きを失いつつある。
データ分析プラットフォーム「錬丹炉」によると、今年上半期、中国の2大電子商取引プラットフォーム「淘宝(タオバオ)」と「天猫(Tianmao Mall)」で、小林製薬のオンライン売上高が前年同期比で大幅に減少したという。少し前に、同社が紅麹を使ったサプリメントが複数の死者を出したのではないかとの疑いが持たれていた。「日本の福島原発の放射能汚染水の海洋排出」が消費者のボイコットを引き起こしたことで、資生堂などの化粧品メーカーの売上高も減少した。
かつて、日本ブランドは中国の消費者から高品質の代表とみられていた。今、事態はある程度において逆転が見られ、中国の消費者はより手頃な国産ブランドにシフトしているようだ。
上海灼見ビジネスコンサルティング会社幹部のマーク・タナー氏は、「日本ブランドが中国ローカルブランドと競争するためには、より努力しなければならないことは間違いない。中国ローカルブランドは往々にしてデザインが優れ、品質がよく、市場の変化により早く適応できる。彼らの製品はよりターゲットを絞ったものとなっており、より価値がある」と述べた。
「錬丹炉」のデータによると、化粧品大手資生堂とプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)傘下のブランドSK-Ⅱの中国EC(電子商取引)プラットフォームでの2023年下半期の製品売上高はいずれも2022年に比べて約40%減少している。2024年1〜7月の資生堂の「淘宝」と「天猫」での売上高は約4%減、SK-Ⅱの売上高は9%減となった。
資生堂によると、2024年上半期の中国でのコア利益は前年同期比10%減少した。廣藤綾子CFO(最高財務責任者)は、「福島の処理水排出後、中国の消費者は日本製品を購入したがらなくなっている」と述べている。
小林製薬はブルームバーグ・ニュースに対し、「4月から6月にかけて、中国のECチャネルでの売上高は前年同期比約50.9%減少した」と述べた。同社は、紅麹事件後の広告配信停止が販売に影響したとしている。
資生堂によると、中国市場での高級・奢侈品ブランドのパフォーマンスは依然として好調だが、ミドル・ハイエンドブランドのパフォーマンスはやや劣っている。
同社の広報担当者は「福島の処理水問題を含む多くの要因が中国でのわれわれの状況をさらに悪化させている」と述べている。
浙江省の会社員である夏小宝さんは、小林製薬事件で「日本のサプリに潜在的に有害な成分が含まれているかもしれないということに驚いた」と話す。38歳の夏さんはかつて日本の栄養サプリメントの熱狂的なファンだったが、今では中国とオーストラリアで生産された類似製品を購入している。
「以前は日本製の美白タブレットやコラーゲンドリンクをたくさん飲んでいたが、今は口にする気になれない」と夏さんは語る。
このような状況は中国人の大きな関心を引き起こした。長年、中国人観光客は東京から大阪までに至るまでの日本の薬局で健康食品(サプリメント)をたくさん購入してきた。新型コロナウイルスの感染拡大によって観光業が停滞する前には、中国人観光客は日本の医薬品株を安定的に上昇させる重要な要因であった。
中国メディアによると、小林製薬は紅麹を含むサプリメントに対する「初期の通報」に対する反応が鈍かった。また、「日本製の人気サプリメントには、好ましくない副作用があるため、他国で禁止されている成分が含まれている」と指摘する人もいる。
(『日系企業リーダー必読』2024年8月20日の記事からダイジェスト)
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