研究院オリジナル 2024年12月上半期、中国メディアの報道・論評が比較的多かった中日経済関係のコンテンツおよび日本企業は以下の通りである。
日産は中国トップの交代に活路を模索
12月11日、日産自動車は、現職のスティーブン・マー執行役最高財務責任者が山崎庄平氏に代わって中国マネジメントコミッティ議長に就任することを発表した。
日産による今回の人事異動の背景には同社が直面している重大な危機がある。日産の財務諸表データによると、同社の年度上半期の営業利益は前年比90%以上の大幅減益だった。今年11月、中国での日産自動車の販売台数は6万3000台で、前年より15.1%減少し、8カ月連続で下落した。
日産の内田誠CEOは、新たな人事配置によって必要な経験がもたらされ、対応措置の実行効率を向上させることができ、日産自動車を再び成長軌道へ回帰させることに寄与すると語った。
業界は、今回日産が行ったスティーブン・マー氏の中国復帰を妥当な選択と見ている。マー氏は豊富なグローバル企業管理の経験を有しているだけでなく、中国市場を総合的に理解している。2003年に日産と東風の合弁企業である東風汽車有限公司が設立された時、マー氏は日産本社が「東風有限」の事業を支援するために送り出した中核メンバーの一人だった。2012年に東風日産のバイスプレジデントに就任し、2018年まで6年間にわたってその職を務めた。在任中の6年間、中国での東風日産の年間販売台数は77万台から約117万台まで跳ね上がり、中国での過去最高の年間販売台数を記録した。
中国を離れていたとはいえ、スティーブン・マー氏は常に中国市場に注目していた。今年6月末、マー氏は最前線に踏み込み、一部の東風日産のディーラーを訪問して、これらディーラーの見方や提案に耳を傾けたが、マー氏はディーラーに対して、中国の国産製品や技術が東風日産および日産自動車と深く結びついており、中国の設計者および開発チームによって製作され、NISSANのエンブレムが入った多くの製品が消費者にお目見えすると語った。
現在、日産はこのプランに従って経営調整を積極的に展開している。今後3年間、新エネルギー分野での開発に100億元以上を投入し、同社技術センターの募集枠を4000人まで拡大し、中国の技術、規格および中国の速度に沿って製品を再編成する。2026年末までに、東風日産は新エネルギーの新型車を5車種投入する予定だ。
スティーブン・マー氏は東風汽車を、日産自動車を、中国市場を理解しており、マー氏が東風日産を指揮して、同社を身動きの取れない困難な状況から切り抜けさせることができるか否か、周囲は期待の眼差しで見守っている。
上場廃止した東芝は今後、中国でどのように歩むのか?
昨年末、東芝は証券取引所への上場を廃止し、74年にわたる上場企業の歴史に幕を下ろした。前世紀に中国の家電市場を席巻したこの企業は、中国での知名度が最も高い日本企業の一つだが、同社は今後中国でどのような道を歩むのか?最近、東芝中国社の社長兼総裁を務める八木隆雄氏は、中国の政府系メディアである中国新聞社の取材を受けた。
今年以降、東芝は人員構造と事業の重心を調整し始めた。八木氏は、事業の再編によって中国市場における東芝の重要性が揺らぐことはないと強調する。これまでと異なり、東芝はB2C(企業が個人消費者を対象にして行う取引)企業から、B2B(企業間の取引)企業へと転身を図っており、エコおよびデジタル化の分野で中国市場にサービスを提供することに重点を置いている。
東芝は中国が持続可能な発展を非常に重視し、二酸化炭素排出量ピークアウトおよびカーボンニュートラルの目標を提起していることに注目しており、中国の社会ではエコで低炭素な製品に対する需要がますます大きくなっているが、この状況は東芝の発展理念に大いに合致している。11月に上海で開催された第7回中国国際輸入博覧会で、東芝は地熱発電設備、仮想発電所(VPP)、気象レーダの観測データ解析技術など、いくつものイノベーションソリューションを公開し、「エコで、持続可能」のコンセプトを目玉に据えた。
この他に、電子部品(半導体)およびメモリも東芝が中国で進めている重点事業分野だ。八木氏の見立てによると、中国は世界最大の半導体消費国であり、中国における半導体需要の増加は東芝の半導体事業にとって大きな商機となる。例えば、新エネルギー自動車は半導体チップの「お得意様」であり、中国における新エネルギー自動車市場の急速な発展に伴って、パワー半導体の需要量も大幅に増加しているが、東芝は車載分野で様々なタイプの半導体製品を提供することができ、「この状況は東芝にとって好ましい市場のチャンスだ」。
八木氏は中国市場に対して大きな自信を示しており、事業の調整を経た後、東芝による中国事業の発展はより良いものになると確信していると語った。
三重の圧力によりヤクルトは20年の歴史を持つ上海工場を閉鎖
最近、ヤクルト本社は20年の歴史を持つ上海の乳酸菌飲料製造工場を閉鎖すると発表した。業界関係者は、ヤクルトが今、中国市場で巨大な圧力に直面していると指摘している。ヤクルトは2002年に中国市場に進出すると、瞬く間に人気を呼び、2018年には1日当たりの販売本数が約750万本まで増加したが、近年は販売数の減少が顕著で、2023年は1日当たりの販売本数が約500万本だった。
業界内の分析によるとヤクルトは主に3つの方面からの圧力を受けているという。
一つ目は、中国の乳酸菌飲料市場が近年全体的に低迷傾向にあることだ。中国のビッグデータ会社・馬上贏が手掛けるブランドCTのデータによると、乳酸菌飲料類は2022年から2024年まで、平均価格とシェアの両方で全体的に下落傾向が見られた。その主な原因は中国消費者の健康への意識や知識が全面的に深まった結果、乳酸菌飲料が「健康」の代名詞でなくなり、かえって他の飲料と変わらないのではないかという不安が消費者にもたらされたことにある。ヤクルトは新しい味や低糖タイプの商品を出したが、急速に変化する市場の中で、こうした努力をもってしても変化する消費者のニーズに遅れずについていくことができなかったのかもしれない。
二つ目は、プロバイオティクス商品はマーケティングに重きが置かれ、更新が早いが、それに対してヤクルトの商品は比較的にシンプルで、商品の開発サイクルが遅いため、様々なプロバイオティクス飲料によってジワジワと攻め込まれていることだ。中国市場では、蒙牛、伊利、娃哈哈、洽洽、康師傅など、ライバルは増える一方であるため、ヤクルトが持ちこたえるのは容易ではない。
三つ目は、通販の台頭だ。ライブコマースおよびソーシャルコマースは新たな販売チャネルになっている。ソーシャルサイトでは、プロバイオティクス飲料に関する評価やレコメンドの文章が山ほどあり、数千万人ものフォロワーを抱えるオピニオンリーダーのレコメンドが持つ力は驚くべきものだ。しかし、ヤクルトは依然として従来の販売チャネルに依存しているため、市場シェアが奪われ続けている。
業界関係者は、中国の消費市場にしっかりと根を下ろしたいのならば、ブランドの知名度だけでは不十分であり、消費者が抱える課題に焦点を合わせて商品イノベーションを継続し、チャネル統制力を向上させ、極限までコスパを追求し、新しいメディアおよびマーケティング方法を積極的に取り入れなければ、自社ブランドが長きにわたって市場の強者になれるという保証はないと注意を喚起している。
日本の中小医薬品企業が中国市場に進出するための最良ルートを模索
近ごろ、北京塩野義など11社からなるJPCG(日本商会中国医薬品部会)のメンバーで構成される日本製薬企業在中代表団が広東省に到着し、広東省薬品監督管理局および現地病院を訪問し、中国に進出する機会を模索した。
2021年8月に「香港・マカオ薬械通」政策が正式に施行された。2024年10月時点で、「香港・マカオ薬械通」は粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア)内の9つの市にある45カ所の病院をカバーしており、香港やマカオですでに発売されている89種類の医療機器モデルの導入に成功した。広東省薬品監督管理局の関連部門責任者の話によると、『広東省粤港澳大湾区内の9つの市における香港・マカオからの輸入医薬品および医療機器の管理条例』が今年12月1日から施行され、その象徴とも言える「香港・マカオ薬械通」政策の本格的な実施が始まった。
「香港・マカオ薬械通」政策によって審査フローが大幅に短縮され、効率が上がり、これによって日本の中小製薬企業が中国市場に進出する上で最良のルートの一つが設けられたと言っても間違いはない。現在、広東・香港・マカオの三地区が協力し合って医療、臨床試験および産業発展の中心地を共に構築しており、訪問先の現地病院は、日本には治療効果に優れ、長年にわたって使用されている医薬品が多く、これらは中国の患者がとりわけ緊急に必要としているものだと語った。これらの病院は「香港・マカオ薬械通」政策の助力を得て、日本の優れた医薬品を迅速に導入できることに期待を寄せている。
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