研究院オリジナル 2024年8月後半、中国メディアの報道や評論は以下の中日経済関係の内容や日系企業について多く取り上げた。
安徽省が日本企業に「率直に語ってもらう」ための座談会を開催
8月23日、安徽省商務庁は合肥で日系海外企業座談会を開催し、安徽省に拠点を構える日系企業に希望を「率直に」語ってもらい、関連部門が現場で逐一回答した。
日立建機(中国)有限公司管理本部の糟谷嘉彦本部長は、合肥と日本を往復する直行便の本数を増やしてほしいと語ったが、これに対して安徽省交通庁の関連責任者は大阪の空港とのフライト増発に関する協議の進捗状況を詳細に説明した。
合肥恩斯克有限公司の重田淳社長は、自動車の産業チェーンの競争が激化しており、自社が擁する新エネルギー業界の最終顧客の大半が安徽省エリアに集中しているため、政府が地域の優位性を発揮して、全体的な産業チェーンの整理統合を加速し、製造コストを下げてほしいと語った。これに対して、安徽省発展改革委員会の関連責任者は、安徽省の自動車産業における需給マッチングプラットフォーム関連の状況を紹介した。
愛信(安慶)汽車零部件有限公司は製品の用途が変わると、購入した部品に関して仕入税額の振替を行う必要があることから、税金政策に対する疑問を提起した。安徽省税務局の関連責任者は、その場で直ちに説明と回答を行った。
消息筋によると、現在安徽省には190社以上の日本企業があり、近年安徽省には電子情報や新エネルギー自動車、装置製造、新エネルギーといった新興の産業分野が急速に台頭しており、一部の日系企業の注目を集めている。一例を挙げると、合肥阿雷斯提汽車配件有限公司の長峰隆司副社長は、過去数年間で安徽省の自動車産業はものすごい勢いで発展しており、当社の急速な発展をけん引していると語った。中国の新エネルギー自動車市場の持続的な拡大傾向を目の当たりにして、これらの企業はこの発展の流れに是非とも乗りたいと強く願っている。
トヨタ自動車が中国で開拓した新たな競争分野に希望の兆しが出現
8月20日、トヨタ自動車による水素燃料電池専用工場の一期プロジェクトが北京で正式に操業に入った。この水素燃料電池企業は北京億華科技股份有限公司とトヨタ自動車の共同出資により2021年6月に設立され、総投資額は約80億円に上り、双方の持ち株比率は50%だ。同工場はトヨタの技術をベースにしており、水素燃料電池システムの開発、生産および販売を担い、一期の最大年間生産能力は1万台に達し、二期プロジェクトは2026年に始まる予定だ。
これより前の8月8日、天津市政府の大きな支援の下で、一汽豊田の水素エネルギートラックプロジェクトの操業開始記念式典が天津市にある一汽豊田の工場内で盛大に執り行われた。
この数年間ずっと、トヨタは電動自動車で実質的な成果を上げておらず、同社は中国の新エネルギー自動車との手ごわい競争に直面し、水素エネルギー自動車で競争分野を開拓しようとしていると業界は見ている。
まず、トヨタは水素エネルギー分野で高い技術障壁を築いており、それを簡単に手放すとは思えない。次に、トヨタは水素エネルギー自動車がまだ普及していない要因が、水素ステーションの不足にあり、中国は水素ステーションを速やかに整備する点で条件が最も整った市場の可能性があると見ている。また、中国政府もこの分野に対してずっと推奨および支援を行っており、今のところ4つの省で水素エネルギー自動車の高速料金を無料にすることを公に発表している。陕西省はさらに高速道路での水素ステーションの設置に対して補助金を出すことを発表しており、補助金の限度額は30%で、水素ステーションの補助金に対する取り組みの強さは充電ステーション設置に対するそれを上回っている。
市場でも積極的な反応が見られている。国金証券の研究報告は、2024年に水素エネルギーおよび燃料電池業界が出荷の加速期に入ることを指摘している。データによると、2024年上半期、燃料電池自動車の強制保険加入台数は累計2433台で、前年比16.69%増だった。特に6月は、燃料電池新エネルギー自動車の販売台数が1000台を突破し、前期比124.72%増だった。今年7月まで、中国の水素エネルギー自動車の販売台数は韓国を上回って世界のトップに立った。これらのデータが明らかに示すように、中国の水素エネルギー自動車市場は今、徐々に開放されつつある。
日本の飲食企業が続々と中国市場に進出
8月21日、日本の回転寿司チェーン・スシローの北京1号店が開店した。午前11時30分、開店前から大勢のお客さんが店内に殺到し、待ち時間は10時間を超えた。現在、スシローの中国国内店舗数は45店に達している。
スシロー以外にも、今年5月、日本の飲食チェーンブランドの「和民」が広東省深セン市で居酒屋「三代目鳥メロ」を開店し、4年の歳月を経て直営店方式で再び中国国内に進出した。うどんチェーン「丸亀製麺」を経営するトリドールホールディングスは、4月に上海でラーメン店「ずんどう屋」1号店を開店し、さらに同じく上海で焼肉丼を主力とする「肉のヤマ牛」を初出店し、今後は香港などの中華圏で500店以上のチェーン店を開業する予定だ。
日本の飲食企業は次々に中国市場を有望視しているが、それには以下の要因が関係している。一つ目に、円安のために輸入食材のコストが上昇しており、海外での店舗拡大は日本の飲食業界にとって必然的な流れとなっていることだ。二つ目に、中国が100兆円を超える巨大な飲食市場を有していることだ。2023年、中国国内の飲食業界における売上額は前年比2割増の114兆円に達し、過去最高を記録した。2024年1月から6月までは前年比7.9%増で、力強い発展の活力が表れている。三つ目の要因として、日本の飲食を受け入れ、好む中国人が増えていることが挙げられる。
核処理水の排出への不満など、市場とは無関係な要素による影響を懸念する者もいるが、そのような不満を抱く者が存在するとしても、中国は13億人もの人口を抱えており、日本の海鮮が好きな者もいる。中国では、ある物を好む人の割合がそれを好まない人の割合より小さいとしても、市場の規模は非常に大きいと言える。
間もなく歴史となる操業20年のコニカミノルタ無錫工場
最近、日本の有名なオフィス機器メーカーのコニカミノルタは、2025年3月をもって中国江蘇省無錫市の工場の操業を完全に停止すると正式に発表した。同社の無錫工場は2004年に設立され、それ以降20年にわたって稼働してきた。同工場はプリンターおよびその部品の開発や製造、販売業務に特化し、世界のプリンター分野で極めて高い知名度を誇ってきた。
知り得たところによると、同社の無錫の生産能力は、サプライチェーンで生じうるリスクに対応するために、日本国内およびマレーシアの工場に移転される。実に、持続的な赤字は生産能力移転の主な要因になる。過去数年間、紙印刷市場は縮小の一途をたどっており、プリンターの販売業績も以前ほど振るわなくなっている。今年4月、同社は事業部門を調整し、プリンターの生産能力を削減することを発表した。このような背景の下で、同社の無錫工場は閉鎖されることになった。
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