『必読』ダイジェスト 「低空経済」という言葉は3月に発表された国務院の「政府活動報告」に初めて登場したことで、各地で頻繁に話題になっているが、実はこれまで各地方が重点的に発展させてきた新産業の一つである。大まかな統計によると、広東、江蘇、山東、四川、安徽、江西など少なくとも26省が「低空経済」に関する内容を現地の2024年度「政府活動報告」に盛り込んだ(省級政府が「政府活動報告」を発表するのは一般的に毎年2月)

「低空経済」とは何か。低空経済とは、一般的に垂直高度1000メートル以下、または3000メートル以下の低空空域の範囲内で、民間用有人・無人航空機を媒体とすることで、有人・積載・その他作業などの多くの場面における低空域飛行活動を牽引し、関連分野の融合発展をリードする総合的な経済形態を指す。簡単に言えば、「ドローンによる宅配便」「空飛ぶタクシー」「ドローンによる測量マッピング」「空中環境モニタリング」「農業用ドローン」「映画・テレビの空撮」などがこれに当たる。

なぜ「低空経済」を発展させるのか。それは「新たな質の生産力」の要求に合致し、高いイノベーション力、伝統的な経済成長モデルからの脱却という特徴を備えているからだ。さらに、各方面の公的研究機関によると、「低空経済」は巨大な産業のブルーオーシャン(市場に競合相手がほとんどいない状態)だ。中国民用航空局が発表したデータによると、中国の低空経済の市場規模は2025年までに1.5兆元(約30兆円)、2035年にはさらに3.5兆元(約70兆円)に達する見込みだ。

中国の「低空経済」発展はすでに比較的良好な基盤を備えている。データによると、2023年、中国の従来型有人機の飛行時間は135.7万時間、無人機の飛行時間は2311万時間に達した。現在登録されている中国国内のドローンは118万機で、うち、中・大型ドローンは10万機に上る。全国のドローン生産メーカーは2200社に達した。そして重要な点は、2024年1月1日に「無人航空機飛行管理暫定条例」が正式に施行され、中国の無人機産業が「依拠すべき法律がある」規範化発展の新たな段階に入ることを示している。

現在の低空経済の水準が高いのはどこか。関連メディアの統計データを見ると、深圳、広州は同産業が最も発達した都市で、低空経済関連企業はいずれも4000社を超えている、西安、北京、成都の発展水準も良好で、低空経済の関連企業はいずれも2000社を超えた。

なかでも、深圳は「低空経済」の第一の都市になる可能性が最も高い。深圳は「ドローンの都」と呼ばれ、DJI(大疆創新科技有限公司)、豊翼科技、Autel Robotics(深圳市道通智能航空技術)、ALLTECH(科衛泰)など産業チェーンの先頭に立つ企業が集まっている。特にDJIは民間用ドローンの世界トップ企業だ。公開情報によると、深圳の消費者向けドローンは世界の約70%、産業用ドローンは世界の約50%の市場シェアを占めている。ヘリコプターの飛行数は2万回を超え、飛行規模は全国をリードしている。

2023年、深圳の「低空経済」の年間生産額は900億元を超え、前年比20%増となった、深圳では2023年、ドローン航路が77路線新たに開通し、ドローン発着拠点が73か所新設され、完成した無人貨物機の飛行数は60万回で、飛行規模は全国1位となった。今年1月3日、深圳は全国初の「低空経済」地方立法である『深圳経済特区低空経済産業促進条例』を打ち出した。深圳が「低空経済」発展において先見性のあることがうかがえる。

広州は「低空経済」の発展においても、ローカルの関連企業が数多くあるが、それらは主に空飛ぶクルマ、農業用ドローン、無人・有人航空機などの関連企業だ。

ある民間産業研究機関は最近、「低空経済」の「リーディングカンパニー」20社を発表、そのうち上海が5社、北京が4社、深圳が3社、広州、成都、紹興が各2社、蘇州、杭州が各1社となっている。4つの一線都市には「低空経済」分野で比較的大きな発展の潜在力があり、このほか成都、紹興、蘇州、杭州も一定の発展の潜在力を有することがわかる。各地の計画やメディアの報道を見ると、珠海、蕪湖、長沙などの都市も「低空経済」発展において比較的大きな強みがある。

『広東省製造業の質の高い発展に関する第14次五カ年計画』は、広州、深圳、珠海を拠り所とし、ドローン専用チップ、飛行制御システム、動力システム、センサーなどの重要技術のブレークスルーを実現し、ドローン産業を強化することを打ち出した。現在、深圳と広州はすでに初歩的な規模のドローン生産チェーンを形成しており、珠海は「二つの航空展(アジアゼネラルアビエーション〔ゼネアビ〕展が奇数年に、中国国際航空宇宙博覧会が偶数年に開催される)」の優位性により、より多くの着地試験の主導権を得ることができる。

蕪湖は中国初の通航産業総合モデル区として、現在、産業チェーンの川上・川下企業200社近くが集積しており、2023年の全市低空経済産業の生産額は約400億元に上る。2023年までに、蕪湖は航空用新素材、汎用航空完成機、臨空経済、低空運営などを網羅する産業チェーンを形成し、研究開発、製造、運営・維持などの企業を200近く集め、12の「低空」製造細分分野の「シングルスチャンピオン」を育成した。

2021年11月、中南地域初のA類飛行サービスステーションが長沙に設立され、今年1月4日までに湖南省の2700平方キロメートルの試験運用空域に飛行計画の申告、航空気象、航空情報、動態監視、警報・救助協力など多くのサービスを提供している。汎用航空機製造産業チェーンにおいても、長沙はかなりの産業基盤を備えている。

(『日系企業リーダー必読』2024年4月5日の記事からダイジェスト)

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