『必読』ダイジェスト 2024年9月以降、新築住宅の販売は下げ止まって安定の兆しを見せている。同時に、ながらく姿を消していた「地王(土地の王者)」が再び登場した。「地王」とは俗称で、不動産開発のための土地入札・競売で過去最高価格を更新した区画を指す。
2月8日、河南省鄭州市で春節後初の土地競売が行われ、1区画の住宅用地が87.5%のプレミアム率で落札、地元の不動産業界関係者から「新春地王」と称された。春節前には杭州でも新たな「地王」が生まれ、そのプレミアム率は71.25%に達した。さらに遡ると、2023年11〜12月頃から、土地市場ではプレミアム率が20%を超える区画が多数見られるようになった。都市別に見ると、杭州、合肥、成都、深圳、上海などの主要都市でこうした現象が広がっている。
統計データによれば、2月2日までに全国の100大・中都市における土地取引のプレミアム率は16.01%に達し、2021年7月以来の最高水準となった。
土地のプレミアム率は土地競売市場の需給関係や取引の活況度を反映する指標で、土地成約価格が原価を上まわる割合を示す(土地プレミアム率=競売成約価格-土地原価/土地原価×100%)。プレミアム率の上昇は不動産企業が今後の住宅市場の動向を楽観視し、積極的に土地を取得していることを意味する。
過去の全国100大・中都市における土地取引の平均プレミアム率のデータを整理すると、土地競売市場の動向が明確に3つの段階に分かれていることがわかる。
まず2016〜2017年は高プレミアム率の時期であり、当時の住宅市場は新たな回復期を迎え、住宅価格と地価がともに急速に上昇した。
次は2019〜2021年で、不動産市場が大きく変動した時期だった。2021年前半は、新築住宅市場の回復とともにプレミアム率も比較的高かった。しかし、2021年後半になると、政府による不動産業界の厳格な規制強化にともない、全国の土地競売市場は全体的に低迷し、プレミアム率は基本的に10%以下で推移している。
第3の時期は2022年で土地競売のプレミアム率は低水準で推移し、ほぼ0%に近づいた。多くの都市で土地の流札が発生し、競売にかけられた土地がまったく売れない状況が見られた。
2023年末になると、土地競売のプレミアム率に上昇の兆しが見られるようになった。不動産市場調査機関の克而瑞研究センター(CRIC)が発表した『2025年中国不動産リポート』によると、これにはいくつかの要因が関連している。
まず、土地競売のルールが調整され、例えば土地競売の価格上限が撤廃されるなど、より市場に即した価格形成が可能になったことが挙げられよう。
次に具体的な土地区画を見ると、高いプレミアム率を誇る土地は、通常、立地条件において希少性があることが多い。たとえば杭州のあらたな「地王」は(市轄区である)拱墅区に位置し、周辺のインフラが整っている。年末年始にかけて地方政府も新規供給される土地の平均的な質を向上させ、2025年の土地市場に向けた準備を進めている。統計データは平均値を基にしているため、「地王」や一部の高プレミアム率の土地が登場すると、全国の土地平均プレミアム率を押し上げることになる。
さらに一部の都市では、長期間にわたり土地供給が住宅販売に対応する敷地面積を大きく下まわった。このような状況では不動産企業が在庫を補充する必要があり、土地購入への資金投入が増加する。その結果、土地市場の活況も高まることになる。
今後の市場見通しについてCRICの『土地月報』は、「第1四半期には主要都市で引き続き高いプレミアム率を記録する優良な住宅用地が増える」と予測する。しかし、より多くの三・四級都市で土地供給のペースが回復するにつれ、平均プレミアム率は1月と比較してわずかに低下すると見込まれるという。
CRICの『2025年中国不動産リポート』でも、「一部の都市で高プレミアム率の土地が多数落札されたものの、現在の業界内競売は依然として比較的理性的である」と指摘。また、不動産開発企業が土地を取得した後、順調に投資・建設の段階へ進むかどうかは引き続き注視する必要があるとする。
(『日系企業リーダー必読』2025年2月5日~20日の記事からダイジェスト)
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