ファーウェイが2023年にMate 60 proを発売した時、中国国内企業の中芯国際(SMIC)が製造した7ナノチップが使用されていることが報じられ、市場に激震が走った。しかし、コンサルタント会社のテックインサイツ(TechInsights)が行った分解報告で、2024年11月に発表されたファーウェイの新機種Mate70に使用されているチップが先行機種と何の違いもないことが分かった。同報告によると、この状況は「中国におけるチップ技術の発展が停滞している」ことを示している。
2024年12月17日付米国ブルームバーグの報道によると、ファーウェイが新発売したMate 70 Pro Plusに搭載されたプロセッサには、去年のMate 60 Proと同様、7ナノ技術が使用されていた。このKirin9020と名付けられたチップはファーウェイによって設計され、これまでと同様にSMICによって製造されたものである。
「かねてより、Mate 70 Pro+には5ナノ技術で製造されるKirin9100チップが採用されるという噂があったものの、実際に同機種に採用されたのはKirin9020で、同チップはSMICによって7ナノ技術で製造されたものだ」とテックインサイツは分析を通じて明らかにした。
このことは、技術的な角度から見て、ファーウェイが半導体製造のリーダーであるTSMCよりも約5年遅れていることを示している。TSMCは2018年に7ナノチップを世に送り出している。
同時にノゲーラ氏は、「再設計と経験の蓄積により、このチップは昨年のものよりもパフォーマンスは向上している」という考えも示している。
海外メディアは一般的に、米国の輸出規制のためにSMICは技術水準と生産能力の向上に困難を覚えていると見ている。2024年12月17日付『ニューヨーク・タイムズ』の報道によると、ワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所」の半導体技術専門家と思われる人物は、「輸出規制の主な影響は中国の進歩を歪めることではなく、むしろSMICの生産能力の向上を難しくしていることだ」と語った。現在のSMICの成果を見る限り、米国は今のところこの目標を達成しているようだ。
『ニューヨーク・タイムズ』の報道によると、米国政府はSMICが他の国々から購入できるウェハ製造装置の種類を制限することによって、徐々に締め付け措置を講じ、SMICの発展速度を減速させていった。米国はオランダおよび日本政府に対し、自国企業にSMICの最先端工場に基幹的な機械設備を提供させないよう促した。このことはSMICが時代遅れの機械に頼らざるを得ないということを意味する。最先端のチップを製造した時でさえ、SMICが使用したのは2018年より前に完成していた製造プロセスだった。
SMICの発展ペースを一層遅らせるために、米国のバイデン政権は2024年12月に中国に輸出される先進技術に対してより広範囲な制限を実施することを発表した。更新後の関連規定では100社以上の中国企業がエンティティリストに追加されたが、その企業の多くはチップの製造に必要な器具や機械を生産する企業だ。
中国メディア「中関村オンライン」の報道によると、ファーウェイグループで上級取締役を務める余承東氏はセミナーに出席した際、「ファーウェイMate 70シリーズのスマホに搭載されているチップはすでに100%国産化が実現されている」と打ち明けたという。
余氏は、ファーウェイMate 70シリーズに搭載されているスマホのチップはみな、中国国内に生産能力を備えているとして、「これは、ファーウェイがMate 70シリーズから、国外チップへの依存を完全に解消したことを示している」と語った。そして、「このことは科学技術製品の成功を意味するだけでなく、ファーウェイが歩む技術イノベーションの道における重要な道しるべでもある」と述べた。
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