研究院オリジナル 2025年4月前半、中国語メディアの報道・論評が比較的多かった中日経済関係のコンテンツおよび日本企業は主に以下の通りである。


中国での発展が頭打ちを迎えたと思われるユニクロ


4月10日、ユニクロは2025年度上半期の財務報告を発表したが、ファーストリテイリンググループの連結売上収益は前年比12%増で、ユニクロの過去最高業績を再び更新した。しかし、かつてはユニクロの成長を牽引していた中国市場は、今回の財務報告における業績は芳しくなかった。中国国内市場における収益は前年比で約4%下がり、売上高は前年比11%減だった。


中国市場におけるユニクロの減速は、実のところ以前からその兆しが現れていた。2024年度(2023年9月1日から2024年8月31日まで)、中華圏におけるユニクロの収益は前年比9.2%増だったが、営業利益は0.5%の微増にとどまり、成長が明らかに減速している。


ユニクロは、減速の主要な原因として、中国市場全体において消費マインドが低下していることや、さまざまな地区における気候の差が年を追うごとに拡大しているため、商品の組み合わせが各地のニーズを満たしていないことを挙げている。同時にマーケティングへの投資を拡大したことにより、販売コストや総合的な管理費用の上昇を招いたため、粗利率および営業利益率がいずれも下がった。


しかし、業界のアナリストの見解によると、減速の根本的な原因は、長年にわたる急速な拡大を経て、中国市場の規模がすでに頭打ちになってきたことにあり、成長ボーナスの減少は必然的なものだ。


ユニクロの拡大ペースに陰りが出てきたことを示す事実もある。2025年第2四半期、ユニクロの中国国内店舗数は10軒減少したが、それ以前の3つの四半期はいずれもプラス成長だった。業界の予想によると、今後ユニクロは中国市場でさらに多くの店舗を閉鎖する可能性がある。


住友ファーマはなぜ中国を撤退?


4月1日、住友ファーマはアジア事業の売却を発表した。今回売却される事業には、主に住友製薬投資(中国)有限公司、Sumitomo Pharma Asia Pacific pte.Ltd.および同社子会社が担う中国および東南アジア諸国の関連業務が含まれ、これらの業務は丸紅株式会社の完全子会社である丸紅環球製薬に引き継がれる。この出来事は、中国市場を30年にわたって開拓してきたグローバル製薬企業が中国撤退の道を歩み出したことを示している。


住友ファーマは1995年に中国へ進出した後、中国を同社の重要な事業展開市場の一つとし、中枢神経や抗感染、心血管、消化管の分野で素晴らしい市場パフォーマンスを示した。しかし、近年以降ずっと、同社は世間で話題になるほど重要な新薬を世に送り出しておらず、同社が中国市場で販売している製品のほとんどはすでに特許保護期間が過ぎている。中国の医療保険および集中調達などに関する政策の影響により、中国市場で同社が販売する定番製品の利益が大幅に圧縮されている。


いままで、日本の製薬会社は中国に直接投資して工場を設けたが、現在では中国での集中調達の面で圧力に直面し、日本の製薬会社は続々と戦略の調整に入っており、「製造販売」から「バリューチェーンの再編」に転換している。住友ファーマによる丸紅への売却以外に、第一三共も「直接運営」から「資本+貿易」に舵を切り、合弁による工場建設や技術ライセンスなどの方式でコストを削減している。同社はクラビット製剤の製造販売権を重慶薬発に譲渡し、ハイエンド後発医薬品およびイノベーション薬に注力している。


当然の帰結とも言うべきマクセルの中国工場閉鎖


4月2日、マクセル株式会社は中国無錫市にあるエネルギー工場(無錫マクセル有限公司)の解散を正式に発表し、中国市場における同社の28年間にわたる歩みに終止符が打たれた。無錫工場の閉鎖によりマクセルは12億円の直接的な損失を被ることになるが、業界は、このマクセルが経験した事柄をすべて当然の帰結と見ている。


その一つ目の理由は、技術更新の猛烈な勢いを誰も止められないことだ。マクセルが生産する角型リチウム電池は、かつて携帯電話やゲーム機など家庭用電子製品の基幹部品で、世界の産業チェーンにおける「隠れ王者」だったが、マクセルは技術更新のペースについて行けなかったため、中国国内電池企業に追い抜かれ、圧倒されてしまった。2023年、中国の角型電池市場の規模は31億4800万元に達しており、また市場の予測によると、2027年にこの数字は66億元の大台に乗る見込みがあるという。しかし、この拡大傾向は主に寧徳時代(CATL)やBYDなどの中国国内企業の主導によって形成されたものだ。同時に、自動車の動力電池や蓄電池などの新興分野でもマクセルは後れをとっている。


二つ目の理由は、現地化能力が生存のカギであることだ。海外企業にとって、中国国内の産業チェーン・エコシステムに首尾よく溶け込むことができるか否かが中国市場に軸足を置く上での重要な要素となる。中国では電池原材料の採掘および精製から製品、端末のアプリまで、すでに整ったクローズドループエコシステムが形成されており、このようなエコシステムが大規模な優位性を生み出しているため、海外企業が従来技術で差別化競争を実現するのは非常に難しい。マクセルのような現地化されたサプライチェーンに自社を適合させる面で弱点が存在する海外企業は、市場競争における劣勢がさらに加速することだろう。


日本企業は海南自由貿易港独自の発展チャンスに注目すべき


4月9日午前、「日本企業発展センター」の除幕式および戦略的協力の調印式が海南省三亜デジタル経済産業パークで盛大に実施され、沖縄物産公社の代表を務める大成和人氏をはじめとする日本経済貿易代表団の一行が調印式と関連協力の協議に参加した。


「日本企業発展センター」の中心的な位置付けは、中国市場へ進出する日本企業のための「ワンストップ式」サービス窓口であり、行政との橋渡し、政策コンサルティング、市場開拓などの面での支援を提供し、日本企業が効率よく海南自由貿易港の建設に溶け込めるように援助する。当日、日本企業5社が産業パークと戦略的協力協定に調印した。大成氏は、このプラットフォームを通じて、沖縄のハイクオリティな食品や工芸品など特色ある製品を中国市場に投入し、海南自由貿易港のロケーションおよび政策の優位性の後押しを受けて、さらに事業を東南アジア市場にまで拡大させたいと語った。


業界は、海南自由貿易港の政策的優位性および地域的な包括的経済連携(RCEP)のチャンス、さらに中国の地方政府が重要視しているという観点から、日本企業は海南自由貿易港独自の発展チャンスに注目すべきだと提案している。

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