『必読』ダイジェスト 10月12日、全国工商業連合会が2024年中国民間企業500強ランキングを発表した。このランキングは営業収入という単一で標準的な評価によるもので、本質的には「500大」であり、「500強」ではない。しかし営業収入はやはり企業をはかる上では重大な指標である。このランキングが今日の中国民間経済のありさまを観察するうえで最も権威があり、参考になるのは間違いないだろう。


地域分布――東部が8割を占める


民間企業500強の数がトップ10の省級行政区は、浙江、江蘇、山東、広東、河北、北京、上海、福建、湖北、河南であった。浙江省が唯一の100社を超えた省で、「民間経済第一省」の名に恥じない。甘粛・青海・チベットの3省にはランクインした企業はなかった。


民間企業500強の数がトップ10の都市は、杭州、深圳、無錫、蘇州、北京、上海、寧波、東営、邯鄲、紹興で、杭州が唯一の30社を超えた都市であった。


四大地域で分けると、東部が395社で80%近くを占め、中部が61社、西部が39社、東北はわずか5社であった。


このほか、ランクインした企業のうち、97社の営業収入が1000億を超えていた。1000億クラスの営業収入をもつ民間企業が10社を超えた省は、浙江省(21社)、広東省(12社)、北京(10社)、江蘇省(10社)で、1000億クラスの営業収入をもつ企業が5社を超えた都市は5つで、杭州(11社)、北京(10社)、上海(6社)、深圳(6社)、蘇州(6社)であった。


業界分布――製造業企業が6割強


大分類でみると、大多数の企業が製造業、総合、卸売・小売、建築、情報技術に属していた。製造業企業が312社で全体の6割強を占めている。


業界別にみると、企業分布が最も多いのは製鉄、総合、電気、卸売、非鉄金属、石油化学、化学工業、電子、インターネット、専門設備製造である。


製鉄、非鉄金属が計103社で五分の一強を占める。石油化学、化学工業、化学繊維の三つの「大化学工業」が合計58社で、採鉱業は8社、非金属鉱物製品(主にセメント、ガラス)が7社である。上述の重化学工業業界の合計は176社となっている。


ランクインした企業のなかでも、高い技術が必要とされる電気、電子、各種設備製造企業は計83社、電子と設備製造類企業は計42社であった。


ランクイン企業のうち、サービス業企業は93社で、総数の五分の一にも満たなかった。


このランキングから導く結論


まず、多くの大型民間企業は製造業に従事し、かつほとんどが伝統的な業界に属している。


伝統的な業界に属する製造業民間企業は、多くが国営企業の制度改革による産物で、典型的な意味の「ゼロから起業」した民間企業ではない。


民間企業500強のうち、相対的に質の高い雇用を提供できるサービス業、ハイテク製造業、総合類企業の合計はわずか200社ほどで、割合にして4割ほどしかない。実際には、中国のハイテク技術をもつ製造業企業はいまだほとんどが国有企業で、さらに大量のサービス業分野も国有企業がリードしている。このため、大卒生は一般的に民間企業にいきたがらず、理工系以外で雇用を吸収できる民間企業は極めて限られている。


次に、地域の経済活力をみると、民間企業が所属する業界はとても重要である。


中国人は一般的に民間企業が多い地域ほど経済が発達し、活力をもつ地域であると考えている。それはほぼ間違いではないが、絶対ではない。実際には、民間企業の所属する業界が地域の経済活力の決め手となることが多い。


たとえば、経済活力が最も高いと広く認められている浙江省と広東省をみると、よくわかる。


浙江省の企業の多くは多角化経営の総合的グループで、「ハイエンド」(より高い技術力が必要とされ、より現代化されたもの)の電気、電子、専用設備製造、インターネットなどの業界に分布し、最終消費品を生産するアパレル業界の大型民間企業も全国で最も多い。


広東省の企業が属する業界も比較的ハイエンドだ。電子企業でランクインしたのが6社あり、全国最多で、さらに3社のインターネット企業がある。広東省でランクインした非鉄金属企業は製鉄と石油化学がそれぞれ1社の計2社しかなく、民間企業の数が最多の5つの省のうち、冶金などの重化学工業への依存度が最も低い省となっている。


江蘇省の経済も発達しているが、相対的にいえば、浙江省や広東省よりも活力に劣るように思える。江蘇省の産業構造は浙江省よりも「重く」、18社の製鉄企業、3社の非鉄金属企業で、計21社に達しており、浙江省よりもはるかに多い。幸い電気業界の優勢が顕著で14社あり、全国でも最多の省となっている。総合、専用設備製造、アパレル、小売などもある程度競争力のある業界に属する。しかし、新興のインターネットや電子といった二つの業界では、江蘇省はそれぞれ1社しかランクインしておらず、浙江省や広東省と比べると明らかに劣っている。


北方の経済大省では、民間企業の所属する業界は「ハイエンド」にはほど遠い。山東省は重化学工業が盛んな省であるが、石油化学、化学工業、製鉄の三つの業界で25社を占め、全省のランクイン企業の半分を占めている。河北は製鉄がメインで、邯鄲では12社がランクインしているが、11社が製鉄企業となっており、唐山でランクインしている企業はみな製鉄企業だ。


中国人がメディアや北京・上海の街角で目にする民間企業と言えば、アリババ、テンセント、京東、レノボなどであり、すべてが立派な「高大上(高水準で、品位があり、ハイレベル)」で大企業のように感じられるが、実際には全国の大部分の地域の民間企業はそうは見えない。


(『日系企業リーダー必読』2024年11月5日の記事からダイジェスト)

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