研究院オリジナル 2025年2月後半、中国メディアの報道・論評が比較的多かった中日経済関係のコンテンツおよび日本企業は主に以下の通りである。


日本企業が中国で競争の優位性を持つことは、国際競争力を有することに相当


近年、中国市場で受ける圧力がますます増大している日本企業は少なくない。この背後には、中国市場が過去30年以上にわたって経験してきた複雑な変化がある。


90年代、中国は10億人の人口が形成する大市場によって、日本企業を含む世界の大手企業からの人気を勝ち得た。当時、中国は多くの業界でまだサプライチェーンが整備されていなかったが、その中で日本企業は自社の非常に成熟した産業化を武器に、中国で際立った優位性を築いた。


現在、中国は市場大国であるだけでなく、世界全体を供給先とする製造大国でもあり、世界で最も整ったサプライチェーン体系を有する。多くの業界で生産能力の過剰が深刻であるため、企業は低い生産コストでより良い製品を生産せざるを得なくなっており、市場競争も異常なまでに厳しい。同時に中国はイノベーション大国でもあり、中国の消費層は巨大で、新しいものを試すことを好むことから、イノベーションの応用、技術の実用化の「土壌」を有してるため、中国はすでに世界市場におけるイノベーションの発信地となっている。


この視点から見ると、日本企業の中国における競争の優位性はかなりの程度、国際競争力に等しい言える。しばらく前、中国日本商会の本間哲朗会長はメディアに対して、もし日本企業が中国市場で力をつけることができるとしたら、それは日本企業が世界のどこに行っても素晴らしい発展を遂げられることを意味すると語った。


日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所長・東北アジア地区総代表を務める小野寺修氏はかつて、多くの日本企業が中国企業と協力して、調達ネットワークの多様化におけるモデルチェンジを推進し、現地市場に合った製品とサービスを提供することを模索しているという見解を示した。一部の企業は中国を研修センターとさえ見ており、中国市場での鍛錬によって自社の国際競争力を強化できると考えている。


資生堂は中国市場で「底打ちから上昇に転じた」のか?


2月10日、資生堂は2024年の財務報告を発表したが、同社の中国における売上高は0.8%と微増し、2023年から続く下降傾向が逆転した。2023年のALPS処理水の海洋放出によって、中国の消費者は日本製品に対して抵抗感を示すようになり、資生堂も中国市場で深刻な打撃を受けた。


しかし、業界関係者によると、2023年の基数が非常に低かったため、資生堂が今のところ安定した売上高を記録しているとしても、それはそこそこのレベルに過ぎず、「底打ちから上昇に転じた」とは言い難い。資生堂の藤原憲太郎CEOは中国市場に言及した際、「慎重に静観する」、「楽観的ではない」などの表現を用いた。その理由は、ALPS処理水の影響は過ぎ去ったとはいえ、中国経済の成長鈍化が消費のダウングレードを引き起こしているため、中国での高級コスメの販売が試練を迎えていることにある。資生堂の財務報告によると、同社による2024年の海南省におけるトラベルリテールの売上高は30%以上も下落した。


とはいえ、藤原CEOには大衆市場に戻る意思は少しもなく、むしろ中国市場における高級化のチャンスに照準を合わせることに固執しており、同CEOは中国で「野心に満ちた成長目標」を掲げず、むしろ今後もブランドの強化を優先していくという考えを示した。


日本のタイヤ最大手が中国市場で挫折を経験


日本のタイヤ業界の二大巨頭である住友ゴム工業とトーヨータイヤは、2024年度の世界全体における業績の伸びが非常に顕著だったが、両社ともに中国事業では挫折を経験した。


2月14日、トーヨータイヤは中国の子会社である通伊欧輪胎張家港有限公司の譲渡を発表したが、この出来事は同社が中国市場からの撤退を計画している可能性があることを暗示している。住友ゴム工業は2023年に中国市場向けのトラック・バス用タイヤの供給をすでに停止している。2024年、同社はさらに湖南省の工場での「年間1050万本のラジアルタイヤを生産するための二期プロジェクト」も中止した。


中国市場の競争構図に生じている変化こそ、日本のタイヤ最大手が中国市場を撤退する主要な原因だ。中国のタイヤ市場はすでに急速な成長から在庫競争へと転換している。また、中国国内ブランド(例えば玲瓏、中策など)が技術および品質の両面で急速な成長を遂げて、外資ブランドのミドル・ローコスト製品を徐々に代替しており、さらにミドル・ハイエンド市場をも脅かし始めている。トーヨータイヤの張家港工場は長年にわたって赤字が続いており、年間の赤字額は40億円に上る。この他に、中国自動車市場の成長鈍化により、タイヤ交換の市場需要も予想ほどではない。トーヨータイヤが2010年に中国進出を果たした時、市場の大きな成長に期待を寄せていたが、実際の業績は予想に届かなかった。


総合スーパーの王者・イオンはなぜ中国で8年連続赤字なのか?


近ごろ、「日本の総合スーパーの王者が中国で8年連続赤字」などの語句が、中国のインターネットで検索回数が上昇している。その理由は開業から13年になる永旺(イオン)深圳宝安中心店が2月最後の日をもって営業を終了することが発表されたからだ。この2年間、永旺超市(イオンスーパー)深圳新洲店、深圳新城市広場店など多くの長年親しまれてきた店舗が閉店した。全国的に見ると、永旺超市は北京、広州、武漢でも続々と店を閉じている。


イオンは1996年に中国国内市場に進出し、最初の頃は「吉之島」という名称で経営展開し、世界の消費者から人気を博したスーパーだったが、中国では2016年から8年間連続で赤字を計上し、ずっと回復の兆しが見られなかった。


中国の食品産業アナリストによると、1996年にイオンが中国市場に進出した頃、中国にはまだ整ったサプライチェーンがなかった。その中でイオンは日系ブランドや選び抜かれた商品、世界全体に広がる調達サプライチェーン体系を足がかりに、ブランドおよび規模の優位性を築いた。しかし、2010年頃から、中国のリテール業界における競争が加速し、過当な内部競争の段階に突入した。こうした競争の中でイオンは次第に持ち前のブランドの優位性を失い、店舗数の少なさや店舗面積が狭いといった弱点が際立つようになった。特に2018年以降、中国国内リテール業の急速な発展により、業界の構図に巨大な変化がもたらされた結果、競争の優位性はコンビニと大型ショッピングモールの2つに集中するようになったため、イオンのような「両者の中間」にあるスーパーの没落は、必然的なものだ。

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『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。

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