『必読』ダイジェスト 米国・情報技術イノベーション財団(ITIF)のウェブサイトの2024年9月16日付の発表によると、同財団が20カ月にわたって中国の10の先進技術分野のイノベーション能力に対して行った調査から、中国は2つの分野で世界のイノベーションの最先端を行っており、他の4つの分野では世界のフロントランナーと遜色がないことが分かった。
ITIFが発表した調査報告によると、「十分な数の証拠」が、まだ全面的に先行しているわけではないとはいえ、中国企業がイノベーション能力の発展では速やかに成果を上げており、また10年前後のうちに米国および他の西側諸国に追いつく、又は追い越す可能性があることを示している。
ITIFは中国の10の業界のイノベーション能力を調査したが、その調査の範囲にはロボット、化学工業、原子力発電、半導体、ディスプレイ技術、電気自動車および電池、AI、量子コンピューティング、バイオ医薬品、工作機械が含まれる。
財団のロバート・アトキンソン(Robert D. Atkinson)代表は、「長きにわたって、外部は中国に対して一般的に、中国が製造の強国であるとはいえ、模倣することに長けているだけで、科学および技術で画期的な成果を獲得するイノベーション能力には欠けているという見方を持っていた。しかし、もし中国がイノベーションで米国および同国の西側の盟友よりも先行する、又はそれらの国々に匹敵するレベルに達するなら、中国が世界全体において決定的な優位性を獲得する可能性は非常に大きくなる」と語った。
ITIFが調査した各分野で、中国は原子力発電の分野でトップレベルにあり、電気自動車および電池では先進レベルに匹敵し、ロボット、ディスプレイ、AI、量子コンピューティングの分野では先進レベルに近づいているが、その一方で化学工業、工作機械、半導体、バイオ医薬品では後れをとっている。装置の輸出規制の影響を受けて、中国は半導体分野の進歩が妨げられているとはいえ、量子コンピューティング分野の発展の速度は驚くべきものだ。
報告は、もし中国が首尾よく世界のイノベーションのリーダーになれるならば、世界の技術および経済の力の中心が移り出すことだろう。その潜在的な結果として、中国は西側の制裁や他の貿易手段による制約をそう簡単には受けなくなり、中国の軍事力および発展途上国に対する影響力は強くなる。それと同時に、米国の技術および生産の基盤が弱体化し続け、米ドルの価値が大幅に下落し、米国の貿易赤字は拡大するかもしれない。
アトキンソン氏は、「中国の貿易および技術政策の趣旨は、技術力と経済力をめぐる世界的な競争に勝利することであり、その主要な目標は先進分野でイノベーションを実現することだ。しかし、米国では、同国が先進産業での主導的な地位をめぐって競っていることを認める人は非常に少なく、或いは認めているとしても米国が必ず勝つと思っている。中国の科学および技術システムには確かに長所があり、米国はそのシステムの優れた点を取り入れるべきだ」と語った。
報告は「中国が如何に独自のイノベーション・システムを発展させたか」について詳しく紹介しており、「このシステムが自国の優位性を強化したのと同時に、ライバルを速やかに置き去りにした。その対応策として、財団は米国が中国モデルの主要な特徴を学ぶ必要がある」という見解を示している。
ITIFは米国の政策制定者に対して、研究の向上や実験での税の減免、新しい機械および資本設備に対する投資税額控除の実施、国家級産業研究機関の設立などの重要な提言を行った。
アトキンソン氏は、「多くの米国の政策決定者、専門家、有力者は自身の目の前で生じている事実から目を背けているだけだ。中国がまだ全ての先進分野で先行しているわけではないと示す証拠はあるものの、中国は20年前の「アジア四小龍(アジアNIES)」に似ていることを示している。ただ、中国は小さな龍ではなく巨大な龍である。もし西側諸国が先進的な業界で占めているシェアを失い、その力が弱まっていくならば、その時には中国が台頭することだろう」と語る。
(『日系企業リーダー必読』2024年9月20日~10月5日の記事からダイジェスト)
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