間もなく中国各省・市の2024年GDPの数字が発表される。もし予想外なことが起きなければ、上海のGDPは5兆元(約107兆円)を突破する。


上海の土地面積は6340平方キロメートルで、群馬県(6362平方キロメートル)とほぼ同じ大きさだが、上海の人口は2475万人で、群馬県(202万人)の12倍以上だ。上海のGDPは東京(2020年:109兆円)に非常に近づいているが、面積は東京(2194キロ平方メートル)の約3倍で、人口も東京(1420万人)の1.7倍だ。上海は東京を超えたいと思っているが、特に一人当たりのGDPで東京を超えるには、今後もさらなる努力が求められる。


一般的な中国人の印象として、上海はサービス業が発達している。上海は金融、貿易、海運の中心地だ。しかし、デジタル経済の発展に伴って、新興産業分野でも上海は急速な進歩を遂げており、例えば低価格ECサイトの拼多多は上海で設立された。近年ではテスラが上海を製造の中心地として、飛躍的な発展を遂げており、中国の電動自動車産業全体の進歩をけん引している。


この数年間でかなり多くの製造業企業が上海を離れて、中国国内の他の省に移転したが、それでも上海の製造業が全体に占める比率は依然として25%であり、上海は製造業の分野で中国上位三都市の地位をキープしている。


大学や研究所、科学研究要員の数から見て、上海は北京にかなわず、科学技術イノベーション企業も深センほど多くはないが、上海は元々中国三大科学技術イノベーションセンター(北京、上海、粤港澳大湾区)の一つで、集積回路やバイオ医薬、AIの分野で中国において先進的な地位を占めており、国産大型旅客機や造船業、原子力発電設備などの重工業分野でも、上海の集約度は非常に高く、中国の他の地方は一時的であっても上海を代替することができない。


最近、ほぼ毎月上海を訪れており、時々上海周辺の都市で下車して、江蘇や浙江の民間企業を見に行くことがある。これらの地域と北京には大きな違いがあるとますます感じるようになっている。北京は非常に発展しているが、北京周辺の都市は、経済水準の面で北京との差がまだまだ大きい。しかし、上海周辺の都市は、ほぼすべてが同じ経済水準にある。粤港澳大湾区の発展は目覚ましいが、基本的に「点(部分的)」であり、「面(全体的)」ではない。上海は言わば華東地域の「省都」のようであり、地域全体の発展をけん引している。


上海に続いて、北京(2023年GDP:4兆3700万元、人口:2185万人)が2年又は3年後に5兆元の大台を突破する可能性があり、深セン、広州、重慶も北京のすぐ後に続いている。


上海が5兆元の大台を突破した後、極めて大きな刺激が他の4都市にもたらされ、都市間における新たな経済規模の競争が今、静かに繰り広げられている。


筆者は日本企業(中国)研究院執行院長の陳言です。中国日本商会HPから転載しました。

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