研究院オリジナル 2024年12月下半期、中国メディアの報道・論評が比較的に多かった中日経済関係のコンテンツおよび日本企業は以下の通りである。


安川電機はなぜ中国における競争の優位性を失ったのか?


日本経済新聞の報道によると、安川電機は2024年6~8月期の中国での受注額が2年前のピーク水準の約6割だったが、その主な原因は中国国内企業の匯川技術(Inovance Technology)の製品に急速に取って代わられていることにある。


安川電機のΣ-7サーボモーターは常に工業自動化の最高傑作と目されており、中国市場でも圧倒的な技術的優位性を誇っていた。しかし、近年、中国の匯川技術はSV660シリーズサーボモーターを発売し、工業自動化における複雑な多軸制御のシーンへの対応が可能になった。性能面でΣ-7より精度が若干劣るとはいえ、ほぼすべての工業的ニーズを満たすことができる。


重要な点として、SV660は価格や納品期間、サービスの面で顕著な優位性を有している。Σ-7の高コストおよび長い納品期間は、予算が限られ、かつ効率に敏感な多くの顧客にとって、見ただけで敬遠する要因となっている。SV660の出現はこのような市場の空白部分を埋めるものとなった。かつてはΣ-7に対する畏敬の念にあふれていた工場の社長たちが、この国産サーボモーターを使用し始めることによって、元々安川電機が占めていた市場シェアが取って代わられるようになり、そして大規模な試用が次第に拡大していく中で、同サーボモーターが十分に使えるだけでなく、より高いコスト面での効果をもたらすことが明らかになった。


それに加えて、サーボシステムのエンコーダーは、これまでずっとドイツのIChausがほぼ独占的な地位を占めてきたが、今では中国国内メーカーの昆泰芯が販売するKTM58への入れ替わりが顕著であり、またKTM58は匯川SV660などの装置との最適な組み合わせを形成している。緑的諧波に代表される中国国産の波動減速機も、すでにミドルエンド市場において広範囲にハーモニック・ドライブ・システムズの製品を代替している。


基幹部品から完成品まで、中国の工業自動化は全ての産業チェーンで台頭し始めており、今後日本企業が直面する競争は中国国内市場だけでなく、グローバル市場にまで及ぶ。情報筋によると、一部のベトナムの自動車部品工場では匯川技術のSV660サーボモーターが採用されており、昆泰芯のKTM58エンコーダーもドイツの工場設備で使用されている。


市場での爆発的な拡大に備えて、第一三共ヘルスケアが中国で初めて工場を建設


12月11日、日本国内2位の製薬会社である第一三共ヘルスケアは、上海市張江に約11億元(約237億円)を投資して、抗体薬物複合体(ADC)生産棟を新築するプロジェクトを発表した。情報によると、同プロジェクトの所在地は上海市の張江ハイテクエリア(張江高科技園区)で、将来的なADCの開発、生産および品質管理のニーズを満たすために、生産施設や開発実験室、品質管理センターなどを含む施設が設けられ、同工場は2030年をめどに稼働する予定だ。第一三共ヘルスケアが中国でADCの工場を建設するのは今回が初となる。


今回の投資のタイミングは決して偶然ではなく、その背後には明確な戦略的思考が存在する。11月、第一三共ヘルスケアとアストラゼネカが開発したADCの新薬は首尾よく国家医療保険償還医薬品リストに収載され、2025年1月1日より正式に施行される。第一三共ヘルスケアによると、製品が同リストに収載された後の需要増加に対応し、製品供給と発売との連係を確保するため、上海での生産工場の建設を決定したとのことだ。


統計によると、世界全体における胃癌および肺癌の症例の1/3以上は中国で生じている。あるメディアは、市場の巨大な需要に加えて、医療保険のバックアップがあることから、今後第一三共ヘルスケアは中国市場で爆発的な拡大を迎えると見ている。


トヨタはなぜ考えを変えてレクサスを中国で生産することにしたのか?


12月末、情報筋によると、トヨタ自動車は間もなく中国上海市で単独出資による電動自動車生産工場の建設に入り、同工場は高級車ブランド「レクサス」の生産に特化する。


中国はレクサスの最も主要な販売市場の一つだが、トヨタはこれまでずっとレクサスを中国国内で製造する意思を示してこなかった。同社が考えを変えるに至った根本的な理由は、トヨタが全面的に実施する電動化へのモデルチェンジ戦略にある。トヨタはレクサスブランドに関して、2035年までに世界で販売する車種の100%電動化を実現し、2030年に電動車種の販売規模を100万台に到達させることを計画している。また、中国は整った新エネルギー自動車の産業チェーンと熟練した技術者を擁しており、トヨタは単独出資工場の建設に中国を選択したことによって、中国が持つこれらの優位性を十分に活用することができ、同車種に価格面での競争力を一層付与することができる。直接参考にできるのは上海にあるテスラのギガファクトリーであり、中国市場はテスラに対して部品の95%を提供しており、上海のギガファクトリーにあるModel 3の生産ラインは米国と比べてコストを65%も削減している。


広東省はレクサスにとって国内最大の販売市場であり、広汽豊田は重要な製造拠点であるにもかかわらず、トヨタはなぜ広東省ではなく上海市を選んだのかという話題が議論を引き起こしている。アナリストによると、トヨタの決定は主に以下の複数の面での考慮に基づいている可能性があると見る。一、上海は日本からの距離が近いため、トヨタの幹部が行き来しやすい。二、上海はテスラの誘致に成功しており、外資単独出資の自動車メーカーに対する扱いにおいて豊かな経験を蓄積している。三、上海は中間に位置しているため、全国への供給において利便性が高い。四、長江デルタには整った新エネルギー自動車の産業チェーンが形成されている。最近数年間に誕生した新エネルギー自動車ブランドの大多数が生産拠点を長江デルタに設けている。

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