『必読』ダイジェスト 中国の労働者の労働時間は増え続けている。国家統計局のデータによると、2015年以降、全国の企業従業員の週間平均労働時間は増え続けており、2023年の週間平均労働時間はここ20年で最高の数字となった。2024年に入ってもこのトレンドが緩和されることはなく、さらに増える趨勢すら見せている。7月15日、国家統計局が発表したデータによると、6月の週間平均労働時間は48.6時間で、ここ6年の同期で二番目の長さで、2019年の同時期よりも2.9時間増えていて、「6日8時間」労働制で求められている1週間あたりの労働時間を超えている。このほか、今年1月、2月および5月の週間平均労働時間はすべて最近6年の同時期よりも長い。


中国人の労働時間は世界でも最高レベルにある。国際労働機関のデータによると、2022年で統計のある167か国のうち、週間平均労働時間が44時間を超える国は、中国・ブータン・アラブ首長国連邦・モンゴル・インド・ブルネイ・マレーシア・イラン・コロンビアの8か国である。


これと同時に、2022年に経済協力機構(OECD)が加盟国に対して行った調査データによると、調査対象となった加盟国の年間平均労働時間は1719時間で、中でもメキシコが2226時間で最高であった。OECDのこの調査には中国は参加していない。なお、中国政府の調査データによると、2022年の中国の年間平均労働時間は2490.8時間(国内の計算方法は52週×2022年の週間平均労働時間というもの)であり、メキシコの111.9%となっている。


労働経済学的にみると、週間平均労働時間が増え続けるということは、国家の経済発展の過程において避けられない現象である。垂直比較でみると、ここ数年労働時間が増え続けているという状況は他の多くのアジアの国々でも見られる。ボアオ・アジアフォーラム2024年年次総会で発表された「アジア経済の未来および一体化のプロセス2024年度報告」の予測によると、2024年の多くのアジア地区の全職務の週間労働時間の合計は全面的に2019年のレベルを超えている。


ここ数年、経済低迷の影響を受け、中国の企業はあまねく生存プレッシャーに直面していて、運営コストを削減して市場空間を勝ち取る必要があった。なかでも、労働コストの削減は運営コスト削減のための重要措置の一つだ。このため、企業が選べるのはリストラあるいは従業員の残業時間延長だ。同時にマクロ経済の成長圧力もミクロの個人にまで伝わっており、労働者は仕事を失わないようにするには、残業を受け容れるしかなかった。


注目に値すべきは、デリバリーや宅配便の配送員、ネット予約タクシーの運転手などのフリーランスの就業者グループは企業労働者の範疇には入っておらず、彼らの労働時間は中国統計局の週間平均労働時間の統計の中には含まれていないということだ。しかし、この膨大なフリーランスの労働者群は生活コストをまかなうため、往々にして労働時間を増やすことで収入増につなげている。


清華大学社会科学学院が発表した「2021年中国一線都市外出プラットフォーム調査研究報告」によると、ネット予約タクシーの運転手の毎日の平均労働時間は11.05時間で、週平均で6.45日車を出している。中国社会科学院社会学研究所が発表した「社会ブルーブック:2022年中国社会情勢分析と予測」でも、ネット予約配送サービス員、動画配信者、ネット文学の書き手など新業態に就く若者は週平均で6日、毎日9時間近く働いている。


労働時間の長さは世論の論議の的になりやすい。ネットにはいつも厳格な法律執行を主張したり、従業員に残業を強制する企業経営者を厳しく罰するよう政府部門に求めたりする人がいる。しかし、現実には、労働時間の延長は、中・低所得者が収入を増加させることのできる数少ないチャンスでもある。もし本当に残業禁止の強制執行を厳格に求めれば、必然的にマイナスの影響ももたらされるだろう。中国の現時点の発展段階を考えると、実際には政府が残業行為を強制的に取り締まるのは難しい。ここしばらくは、労働時間の増加は依然として解決できない難題であり続けるだろう。


(『日系企業リーダー必読』2024年8月5日の記事からダイジェスト)

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