『必読』ダイジェスト 7月18日付英誌『エコノミスト』に掲載された記事は、中国が西側企業の開発実験室(開発ラボ)であることを指摘しているが、同記事の内容を以下に抄訳して掲載する。


周知のとおり、中国は世界の工場であり、また世界の企業の巨大市場でもある。しかし、人々にあまり知られていないが、世界の開発実験室(開発ラボ)として中国が担う役割は次第に大きくなっている。2012年から2021年まで、中国の一定規模以上の外商投資工業企業に属している開発者のフルタイム当量(フルタイム職員の人数にパートタイム職員の人数を加えて、業務量をフルタイム勤務の仕事に換算した場合に、何人分に相当するのかを表すものだ)が五分の一増加すると、71.6人/年に達する。中国の一定規模以上の外商投資工業企業による開発への投資はほぼ倍増しており、3380億元に達している。さらに中国国内企業による投資を加えると、中国による開発への投資は欧州の水準に相当する。開発への投資が最も多いのは米国だ。


2022年、当時は新型コロナウイルスの厳格な予防抑制措置が講じられていたとはいえ、新たな外資系研究センターが25カ所も上海に設立された。昨年、中国の実際に用いた外資の金額が縮小していた頃、外資による開発への投資は4%増加した。この過程において、西側の中国国内にある開発センターが再編成され、中国国内市場を研究する機関からイノベーションの創出拠点へと変貌を遂げており、その成果は世界各地で販売される製品に応用されている。


海外企業のCEOたちは今、中国の人材とイノベーションに有利な監督管理制度こそ中国企業の世界的な成功の核心的要素であることを信じている。ある外交官は驚きを示しつつ、「新薬から空飛ぶタクシーまで、中国のように速やかに新技術を試す地域は世界で他に見当たらない」と語った。従って、中国経済の成長が減速し、地政学的な緊張が高まっている状況下で、グローバル企業は中国のサプライチェーンに対する依存を軽減するつもりではあるが、世界の各大手企業のCEOたちは、極めて重要な開発機能を自社の中国事業のうちに残しておくことを切望している。


昨年、ドイツのフォルクスワーゲングループが中国内陸部の都市である合肥に10億ドル以上を投資してイノベーション・センターを設けた。フォルクスワーゲンおよび他の大手自動車メーカーに部品を供給するボッシュグループは、蘇州に10億ドルを投じて開発製造基地を建設した。


今年2月、英国のアストラゼネカ製薬は、上海に世界開発センターを設立することを発表。3月、アップルは深センで新たな開発計画を打ち出した。4月、ドイツの化学・医薬品メーカーのバイエルは、上海での業務を増やし、「より多くの技術を中国から世界全体にもたらす」ことを表明した。


中国で海外企業が研究開発に多額の資金を投じる重要な理由は、中国が多くの若いエンジニアや科学者を擁するからだ。中国南部には新しい化学製品からAIまで、様々なスマート技術の開発を手掛ける小企業が沢山ある。中国は巨大な人材バンクであり、海外のグローバル企業はそれを大いに利用することができる。


中国の科学研究人材は非常に人気がある。これらの人材の優れた才能は西側の同業者に引けを取らず、そのうちの多くは西側諸国で学習および就職した経験がある。


多くの人々は、基礎研究と比べて、中国は技術の応用により重きを置いていると考えている。応用の分野において中国は世界で最も進んでいる。上海の海外企業でAIを研究している職員によると、中国は機械学習を大衆に普及させる分野において世界で先進的な地位を享受しているという。化粧品企業が中国で販売する商品の種類は一般的に他の地域よりも多く、同時に生産停止になる商品もずっと多い。あるマーケティングの専門家は、中国のこうした状況ゆえに企業は他の地方よりも早く消費者の反応を確かめることができると述べた。中国市場でのトライアルを経て、商品は国外でも販売することができる。


中国の監督管理は比較的緩いため、化粧品やアプリ、医薬品から自動運転技術までどの試験もさらに簡略化することができる。企業は互いに競い合い、他の国々との競争を経て、新興産業のトップランナーにまで上り詰めているが、それによって中国が提唱する「質の高い発展」が後押しされている。


アストラゼネカの幹部は、「特定の分野、例えば癌の細胞療法に関して、研究者が中国で展開した試験は、他の地域よりも早くそれが有効な治療法であることを突き止めた」と語っている。


有人ドローンの開発企業も同様に満足の意を示しており、「一部の中国の都市では指定区域内でのドローンの飛行テストが許可されている」と指摘する。


フォルクスワーゲングループは2022年に内モンゴルで有人ドローンのモデル機のテストを始めたが、従来型自動車メーカーによる有人ドローンのテストはこれが世界で初めてだ。


ある海外企業の幹部は、「もうサンフランシスコのことは忘れようと語った。もしテストプロジェクトを速やかに実施したいのならば、最良の選択は中国に来ることだ」と言う。「この開発天国から追い出されたくない」という西側企業の気持ちも理解できる。


(『日系企業リーダー必読』2024年8月5日の記事からダイジェスト)

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