日本国内の対中世論が厳しいものとなり、2018年10月の安倍訪中で改善したかに見えた日中関係は、来年の国交正常化50周年を祝うムードをなかなかつくり出せない状況だ。

こうした状況を打開するために、相互理解が非常に重要なことは言うまでもない。現在の日本国内の日本語で書かれた中国関係の書籍や記事は、中国の問題点をクローズアップし、「中国はとんでもない国」というイメージを読者に持たそうとしている。中国語を読めない読者は、それが事実だと信じ、「歪められた中国像」が形作られる。それは日本人の対中感情に影響を及ぼすため、日中関係の発展にマイナスとなる。

中国は所得格差やモラル格差など問題が少なくない。だが総じていえば、中国の改革は成功しており、人々の生活水準は大いに高まってきた。

私は北京に20年住んでいるが、来たばかりの頃とは比べ物にならないくらい便利になった。例えば、買い物する時、以前はレジの前は行列ができ、会計に時間がかかったが、今はキャッシュレス決済が普及したため、さほど時間がかからない。さらにいえば、中国はインターネットショッピングが発達しているため、日々の食事の材料や日用品もネット上で購入できるようになった。このような変化が起こるのは、20年前には想像もできなかった。日本の一部専門家がいう「中国崩壊論」では、こうした変化が起きた要因は説明できないだろう。

日中の相互理解の促進は何も政治レベルの話だけでなく、民間レベルでの交流も重要な役割を果たす。日中関係の歴史を振り返ると、国交正常化以前の日本政府は「中国敵視」政策をとっており、政府間の交流は限られていた。一方で、中国との交流促進を目指す民間団体が当時の日中交流で重要な役割を果たした。日本政治の右傾化が強まり、日中友好ムードが盛り上がらない現在、両国の民間交流、とくに、「知」の分野の交流は両国の相互理解を促進する上でプラスとなる。

「知」の交流というと、権威ある学者・専門家同士の交流が頭に浮かぶ。もちろん、学者間の学術交流は、中国の日本研究、日本の中国研究の発展を促進することができる。それだけでなく、日本を知る中国人、中国を知る日本人が「等身大」の日本、中国を発信することも両国の相互理解を促進する上で重要だ。

情報発信は伝統的なメディアで行なった方が多くの人の目に触れやすく、影響力を持ちやすいが、誰でも気軽に発表できるわけではない。SNSが発展した現在、ネット上で誰でも情報発信ができるようになった。

だが、ネット上の情報は玉石混淆で、中には信頼性を欠くものもあり、受け手は高いリテラシーがなければならない。知中派の日本人、知日派の中国人が「リアルな中国、日本」を客観的に伝えることを目的とする媒体があれば、客観的な声をより多く紹介でき、草の根レベルでの「知」の交流がより進むだろう。

日中両国の事情に明るい陳言氏が運営する日本(中国)企業研究院のホームページは「リアルな中国、日本」を広く人々に伝えることを目的としており、このホームページが「知」の交流のインフラとして、日中の民間交流、とりわけ、「知」の分野の交流で重要な役割を果たすことを期待したい。

日本企業(中国)研究院 フェロー 吉田陽介

大手企業を含む多くの日系企業が購読している『必読』

『日系企業リーダー必読』は中国における日系企業向けの日本語研究レポートであり、中国の状況に対する日系企業の管理職の需要を満たすことを目指し、中日関係の情勢、中国政策の動向、中国経済の行き先、中国市場でのチャンス、中国における多国籍企業経営などの分野で発生した重大な事件、現状や問題について深く分析を行うものであります。毎月の5日と20日に発刊し、報告ごとの文字数は約15,000字です。

現在、『日系企業リーダー必読』の購読企業は、世界ランキング500にランクインした日本企業を含む数十社にのぼります。

サンプルをお求めの場合、chenyan@jpins.com.cnへメールをください。メールに会社名、フルネーム、職務をご記入いただきます。よろしくお願いいたします。

メールマガジンの購読

当研究院のメールマガジンをご購読いただくと、当方の週報を無料配信いたします。ほかにも次のような特典がございます。

·当サイト掲載の記事の配信

·研究院の各種研究レポート(コンパクト版)の配信

·研究院主催の各種イベントのお知らせ及び招待状

週報の配信を希望されない場合、その旨をお知らせください。