『必読』ダイジェスト シンガポールの『聯合早報』は4月25日、ウェブサイトに「老外又来了(外国人が戻ってきた)」と題する記事を掲載した。概略は以下の通り。


シンガポールから上海へ飛び、浦東空港の入国ロビーに足を踏み入れると、目に飛び込んでくるのは壁一面に掲げられたアリペイの電光広告だ。大画面にはアリペイと提携する複数の外国金融機関のロゴが表示され、その上には「アリペイ+ウォレットを使って中国を楽しんでください」という中英二つの言語を併記した広告キャッチ・コピーが目を引く。


その広告によれば、外国人観光客はQRコードをスキャンすることで中国大陸においてサポートされている「電子ウォレット」のリストをチェックできる。アリペイは浦東空港にサービスデスクを設け、外国観光客の「電子ウォレット」のセットアップのサポートをする。その広告の前では、外国人観光客が数人、スマートフォンを取り出し、操作を始めていた。


最近、空港だけでなく、上海の街中でも外国人観光客の姿が目に見えて増えている。むかしながらの観光スポットの豫園や外灘はもちろん、ネットで人気の「巨富長」(巨鹿路、富民路、長楽路の略称)地区でも久しぶりに外国人の姿が見られるようになった。


外国の旅行ブロガーが中国を訪れる動画も人気を集め、これらYouTubeブロガーの動画に中国人ユーザーが中国語字幕を付け、中国の動画サイトBilibili(ビリビリ)に再アップロードされている。これら外国人の多くは「144時間トランジットビザ免除」政策を利用して入国し、中国の任意の都市で6日間をすごしている。


このトランジットビザ免除を使って入国する外国人は、通常、入国地点の地域にのみ滞在することができる。外国人旅行ブロガーの多くは、国際航空便の数が最も多い上海を目的地に選び、最大6日間の「特殊部隊型ツアー――短期間の強行軍、弾丸旅行」を敢行している


Bilibiliで最も人気の「特殊部隊」ブロガーのなかには、性格は外交的というわけではないが、すでにアリペイや高徳地図などの中国製アプリをダウンロードはできている日本の若者のOsada(おさだ)がいる。あえて事前に計画を立てず、手ぶり身ぶりでコミュニケーションをとるカナダの夫妻「時差戦士」や、上海滞在後、さらにハルビンや西安、また新疆まで旅行するドイツの若者Ken Abroadもいる。


中国のネット民に愛されているのは、こうした多くのブロガーが、「自分の眼で見た中国が、既存イメージを覆した」と述べていることだ。彼らは上海の街路の清潔さに深い印象を受け、街中を走る新エネルギー車に興味津々だ。茶玉子や豆乳に魅了され、また「道すがら出会った中国人がみな親切だった」と感慨深く語る。


外国人の中国旅行には依然として共通の問題が多く存在する。多くの場所で現金やクレジットカードが使えず、主要な観光地の予約には微信(WeChat)が必要なことなどだ。


外国人の困惑や懸念を前にしても、中国のネットユーザーのなかには、「外国人は中国の習慣に従い、国情を理解すべきだ」と考える人もいる。また、「当局は友好的で便利な環境を整え、より多くの外国人を誘致すべきだ」と呼びかける声もある。


中国の複数の第一線都市のホテルでは、最近、地元警察から宿泊客がチェックイン時に課されていた強制的な顔認証手続きを廃止する通達を受けた。これは上海の国際的なホテルから始まったとされている。


中国は昨年後半から複数の国にビザ免除を実施し、成果を上げ始めている。中国国家移民管理局が最近発表した最新データによると、今年第一四半期に中国を訪れた外国人の数は昨年同期比3倍以上に増え、ビザ免除で入国した外国人はのべ200万人に達し、前年同期比266.1%と大幅に増加した。


中国の人々はさらに多くの外国人ブロガーが中国を訪れることを望んでいる。彼らが中国で経験する興味深い話題を期待するだけでなく、彼らの影響力を活用して外国人の中国に対する固定観念を打破したいと考えている。


昨年、外資の対中直接投資額は前年比8%減少し、外国企業が中国投資に依然として慎重なことが見てとれる。


短期間の中国旅行で得られた好印象を今後の長期投資への信頼に転化するため、より多くの外国人をいかにして中国に引き付けるかは、中国の内需が弱く外部の逆風が強まる状況にあって、さらに考慮されるべき課題だろう。何はともあれ、外国人が再び中国を訪れるようになりつつあるのは、良いことの始まりにちがいない。


(『日系企業リーダー必読』2024年5月5日の記事からダイジェスト)

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