研究院オリジナル 2024年7月後半、中国メディアの報道や評論は以下の中日経済関係の内容や日系企業について多く取り上げた。
20年ぶりに三菱電機が再び大連の工場建設に投資

7月、三菱電機株式会社の代表執行役兼執行役社長を務める漆間啓氏が大連市を訪れ、中国共産党大連市委員会書記および大連市長との会議に出席し、投資配置について話し合った。関連の報道によると、今回同社傘下の三菱電機大連公司は20年の時を経て再び大連を工場用地として選び、第四工場を新設することを決定した。同工場の建設は2025年9月に着工し、12月には正式に操業に入る見込みだ。

三菱電機大連公司は1994年に設立され、同社製品の約6割が中国国内で販売されており、また日本や東南アジアなど世界各地にも幅広く輸出されている。

三菱電機が大連にさらに投資する理由は、中国が培い、発展させている新たな質の生産力やエコで低炭素かつ質の高い発展の推進が、新たな市場の需要や新たな投資のチャンスをもたらしているからだ。大連は中国東北部における対外開放の主導的存在および窓口として、日本と緊密な貿易関係を築いているため、同市は三菱電機にとって中国での戦略配置における重要拠点の一つとなっている。漆間社長は、今後三菱電機による新製品の開発、生産、販売が大連で行われることを強調した。

蘇州の執政者が日本企業の幹部と会見し、明確なシグナルを発信

中国共産党蘇州市委員会の機関紙『蘇州日報』の7月17日付の報道によると、同市委員会書記の劉小濤氏が7月16日、日本精工株式会社の代表執行役社長兼CEOの市井明俊氏一行と会見した。上述のニュースは当日発行された新聞のトップを飾った。明らかに政府側はこの会見の重要性を意識的に強調している。

劉小濤氏は、蘇州市が外国人投資家の合法的な権益を全力で保障し、外国人に対してより便利で、心地よく、安全な環境を提供し、協力におけるウィンウィンを実現することに努めるという考えを示した。今回の日本企業との会見は劉氏にとって7月5日以来2回目となる。これより前の7月5日、劉氏は日本国際貿易促進協会の訪中代表団一行と会見した。

先月蘇州で発生した日本人襲撃事件について、『人民日報』は外国を敵視する言論や行為を厳しく糾弾し、「中国による対外開放の門戸は閉ざされることなく、むしろますます大きく開かれている。過去の中国経済の発展は開放という条件の下で実現したものであり、これからも我々はさらに開放していく」という見解を示した。

それから半月ほど後に、中国共産党蘇州市委員会書記は繰り返し日本企業の幹部と会見し、外部に以下の非常に明確なシグナルを放った。まず蘇州が対外開放を堅持し、外資を呼び込む決意であること、もう一つは一部の者たちによる「中日対立をたきつけ、極端な民族主義を煽る」行き過ぎた言論に対して実力行使で反撃することだ。

これに呼応するように、中国メディアも蘇州の日本企業を紹介する記事を続々と掲載している。例えば、『毎日経済新聞』が掲載した記事は、2023年末時点で、世界上位500社に入る企業のうち175社が蘇州に投資しているが、そのうちの47社は日本企業であり、各国の中で最も多いと指摘した。『経済観察報』の記事は、蘇州市全体に累計3000社以上の日系資本企業が進出しているが、同市は日本企業が最も集中している都市であり、また蘇州市は日本の8都市と友好都市を締結していると報じた。

日本製鉄はなぜ中国の合弁企業から撤退したのか?

最近、日本製鉄は宝山鋼鉄との合弁による宝鋼日本製鉄汽車板有限公司から撤退した。同合弁企業は2004年に設立され、日本製鉄と宝山鋼鉄による折半出資で、合弁期間は20年間であり、今年の夏に期間が満了する。日本製鉄は保有する全株式を宝山鋼鉄に譲渡する。

今回の合弁解消の主な理由は、メディアの報道によると、日本製鉄側がこれ以上の事業の成長が難しいと判断したからだという。日系自動車メーカーは宝鋼日本製鉄汽車板の主要顧客だったが、中国の電動自動車の台頭による影響を受け、中国におけるトヨタやニッサン、本田の販売台数は3年連続で減少している。この他に、中米の長期的な対立も影響を及ぼしており、日本製鉄は経営資源を中国から成長の見込みが高い米国やインドに移す。

中国メディアの『界面新聞』によると、日本製鉄の撤退は必然的なもので、中国の鉄鋼業界発展の黄金期や高度成長期はすでに終わりを迎えており、今や生産過剰による後退期に入っている。今年上半期の業績を予告した上場鉄鋼企業11社のうち黒字だった企業はわずか1社に過ぎず、残りの10社はみな赤字を計上し、これら企業の総赤字額は77億元を超える。

ある分析によると、今回の日本製鉄との合弁解消は宝山鋼鉄に対してあまり大きな影響を及ぼさないと見られる。両社の業務提携は長年にわたり、現在でも日本製鉄は技術面で一定の先進性を有するが、宝山鋼鉄と日本製鉄との間にはもはや以前ほどの大きな差がない。注目すべき点として、宝山鋼鉄は近年、日本製鉄の重要取引先の一つであるトヨタ自動車と提携を結び、トヨタ自動車に電磁鋼板を供給しており、電磁鋼板は新エネルギー自動車の駆動モーターに使用される基幹材料だ。日本製鉄は2021年、宝山鋼鉄がトヨタ自動車に供給している電磁鋼板が自社の特許権を侵害したとして裁判所に提訴しており、同訴訟は現在も続いている。

不動産の衰退により建設機械メーカーの加藤製作所も中国から撤退

約130年の歴史を持つ建設機械メーカーの加藤製作所は7月12日、江蘇省昆山市にある油圧ショベルの製販子会社の解散および精算を発表した。同時に同社は福建省アモイ市にある別の合弁会社も精算する計画だという。

中国の不動産の衰退により、建設機械の需要が後退しており、また低価格をウリにする地元メーカーとの競争も激化しているために、加藤製作所の昆山工場は3月以降操業を停止している。実のところ、過去2、3年間、同社の経営はずっと困難な状況にあった。

2004年、加藤製作所は中国に子会社を二社設立し、現地生産を開始した。中国経済の高度成長に伴って、建設機械の需要も拡大し続け、2010年頃に最盛期を迎え、中国事業は同社全体の発展をけん引した。しかし、不動産市場の後退と中国国内メーカーの低価格製品の販売によって、建築設備の需要が減少すると、加藤製作所の事業も低迷し始め、今では事業の継続が困難な状況に陥っている。

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