『必読』ダイジェスト 1月24日、2100社のドイツ企業を代表する中国ドイツ商会は、2023/2024年度中国企業景況感調査(Business Confidence Survey)の報告を発表した。同調査は昨年9月5日から10月6日までの期間にアンケート形式で実施され、会員企業566社が回答した。同調査から得られた主な結論は以下のとおりだ。
·半数以上のドイツ企業が、「今後5年以内に中国のイノベーターが業界をリードするようになる」と考えている。
約4割の企業が「イノベーションこそ中国市場の最たる魅力的なところだ」と考えている。この回答は長年にわたる統計の中で出た最も注目すべき変化と思われる。
現在、「中国企業が自社の属する業界でイノベーションリーダーになる」と考えているドイツ企業はわずか5%だが、ドイツ企業の46%は「今後5年以内に中国企業が業界のリーダーになる」と予想している。自動車業界では、「中国の競合他社がすでにイノベーションリーダーになっている」と考えるドイツ企業は11%で、「中国企業が今後5年以内に頑張って追いついてくる」と予想するドイツ企業は58%だ。
·半数以上のドイツ企業が投資を拡大し、昨年よりも小幅な成長を記録
調査対象企業で、「中国市場の投資面での魅力が減少している」と考える企業は54%だったが、その主な理由について企業の56%が「成長の見通しが限られていること」を挙げた。
しかし、同じだけの数、即ち54%の企業には「今後2年以内に中国での投資を拡大する計画」があり、この数値は前回調査時よりも3%上昇はしたが、2021年の71%と比べるとその違いはとても大きい。
企業の79%は、「継続的な投資は中国で競争力を保持するための必要条件」と考えている。企業の46%は「現地企業との協力によって競争力を維持する計画」だ。
·約半数のドイツ企業がリスク管理を強化
企業の44%が発生する可能性のあるリスクに対応するための措置をすでに講じている。そのうち、83%の企業が、「リスクの出所は地政学的緊張」と見ている。対応措置に含まれる手段として挙がったのは、「中国から独立したサプライチェーンの構築」(45%)、「中国国外に追加的な業務を設けること」(40%)で、さらに「現地化された開発」(34%)という回答もあった。
·中国経済発展の見通しには基本的に好感を抱いている。
8割以上の調査対象企業が「現在の中国経済のパフォーマンスは低下傾向にある」と感じているが、企業の64%が「現在の状況は一時的な経済の後退であり、今後1~3年のうちに回復に転じる」と予想している。ドイツ企業の42%は「今年の業界発展は好ましい状況を示す」と見ている。調査対象企業の78%が「今後5年間は安定した成長が持続する」と推測している。
「貴社は今後2年間のうちに中国を撤退するか」という設問には、企業の91%が「その予定はない」と回答している。同様の質問に対して2年前は、「その予定はない」という回答の比率は96%だった。
この他に、在中ドイツ企業のうち、33%が「法律の不確実性が主な挑戦の一つ」と感じており、企業の22%が「自社と競合他社を比べると自社が不公平な扱いを受けている」と語っている。特に公共調達の面で、過半数(53%)の調査対象企業が透明性の欠如や「(政府が)中国製品の購入に傾く」政策などの障害に直面しているという。
中国ドイツ商会の話では、今年度の見通しに対して企業は楽観視することを慎んでいるという。調査によると、ドイツ企業の42%が「2024年の業界発展に対して基本的に好感を抱いている」が、35%が「現状と変わらない」、23%が「今年の業界の状況はより悪化する」と考えている。
(『日系企業リーダー必読』2024年2月5日の記事からダイジェスト)